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木の芽時は春うごめく~蕗の薹の白和え~

3月。
今年は寒暖の差があまりに激しく、陽気につられて啓蟄を前に虫やカエルが出てきてしまったかと思えば、真冬のような寒さに着ぶくれしてガタガタ震えるなんてことも多々。
それでも順々に春の兆しがやってきています。

梅の花が終わったかと思えばさくらんぼの花が咲き、桜のつぼみは日を追うごとにぷくっぷくっと膨らむように。地面を見れば、そこかしこからオオイヌノフグリやホトケノザなどの草花が顔をのぞかせ、冬の荒涼とした景色に徐々に徐々に色が戻ってきます。

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まさに木の芽時。

よくよく地面に目を凝らすと、いつも蕗が生える辺りに、ぐんぐん丸く膨らんで膨らんでいかにもエネルギーが爆発しようとしているものが。
これが、蕗のつぼみである蕗の薹(ふきのとう)です。

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出てくる土地の性質によるのでしょうが、せいぜい花びらがほころびはじめたなくらいまでを収穫。完全に花開いてしまうと、苦みが強く、お子ちゃま舌の私にはちょっと荷が勝ちすぎてしまいます。
ちなみに蕗の花は、花が開きしばらく経つと花茎が伸びてきて、いわゆる「薹が立つ(とうがたつ)」という状態に。蕗や菜の花などの薹が立ったものは食べ頃を過ぎた状態なので、結婚適齢期を過ぎた人を指す慣用句として使われます。悪かったわね。

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薹が立ちました。

青々しい独特の香りと苦みがある蕗の薹は、薄衣の天ぷらにしたり、甘辛の味噌と合わせたりして、春の到来を味わいます。

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今回は、白和えに。

蕗の薹はさっと湯がいて水にさらし、水から上げたらぎゅっと絞って水を切る。

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お豆腐は茹でたらキッチンペーパーに包んで上からお皿などで重しをして水切り。同様に、茹でた糸こんにゃくや戻した干し椎茸もしっかり絞って水気を切っておく。白和えは水切りがポイント。

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細かく切った蕗の薹、干し椎茸、糸こんにゃく(今回は余っていたナッツもついでにin)には白だしで軽く味付け。別のボウルで水切りした豆腐を崩し、白ごまペーストとすりごま(隠し味に酒粕を入れるのが好み)を混ぜ、塩・砂糖で味を調えたら、具材を混ぜ込む。

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丁寧に作ろうとすれば手間暇かかるもんで、レンジを活用したり、ごまは加工品を使ったりと、手を抜けるところは抜いちゃって。それでもなかなかの出来になりました(自画自賛)。

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蕗の薹の苦みが甘い和え衣に包まれて緩和され、香りはごまに全然負けておらず、いいハーモニー。

以前ちょろっと書きましたが、春に出てくる菜は冬の間に溜め込んだものを排出してくれるデトックス効果があるそうです。

停滞していた冬を越え、動物たちが動き出し木々が芽吹く目覚めの春。
三寒四温という言葉の通り気温の変化が激しく(2020年は20度近くまで気温が上がり桜が咲いたかと思えば急にぼた雪が降りだし、気温差が大きいです)、また、卒業・入学、異動・入社など環境の変化が現れやすい季節でもあります。
私は木の芽時になると、ニキビができやすくなり、どこか腹の底がもぞもぞソワソワしたような気持ちになりがちです。春の芽生えの気配に突き動かされているのでしょう。
“蠢く”という字なんて、春の下で虫たちがもぞもぞしているようですよね。

うまく春の季節野菜を摂り、春らしい伸びやかな心身にしたいものです。
私の芽も出ろー!


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