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加藤和彦の軌跡を辿る映画

 1960年代から90年代、日本の音楽史をかえた不世出の音楽家・加藤和彦の軌跡を辿る初の音楽ドキュメンタリー映画「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」が2024年5月にTOHOシネマズシャンテほか全国で順次公開されることになった。
 今回、高橋幸宏が加藤和彦に寄せた思いから映画化の企画が立ち上がった。日本初のミリオンヒットを生んだザ・フォーク・クルセダーズ(フォークル)結成秘話、サディスティック・ミカ・バンドの海外公演やレコーディング風景を交えた映像が映し出される。
 さらに「ヨーロッパ三部作」(『パパ・ヘミングウェイ』、『うたかたのオペラ』、『ベル・エキセントリック』)に隠された逸話も。
 日本のポップスの金字塔で今も多くの人たちに愛される「あの素晴らしい 愛をもう一度」が新たにレコ―ディングされたバージョンで披露される。
 きたやまおさむ、松山猛、朝妻一郎、新田和長、つのだ☆ひろ、高橋幸宏、小原礼、今井裕、高中正義、クリス・トーマス、泉谷しげる、坂崎幸之助、吉田拓郎、松任谷由実、坂本龍一、コシノジュンコらが出演。


 加藤和彦は1947年、京都に生まれた。67年、フォークルの「帰って来たヨッパライ」でプロデビュー。盟友きたやまおさむによれば、加藤は当時から「楽器のテクニックもセンスもずば抜けていた」。
 そして、加藤はサディスティック・ミカ・バンドを経て、ソロ、作曲家、プロデューサーとして活躍してゆく。70年、サディスティック・ミカ・バンドの福井ミカと結婚。77年に再婚した安井かずみとは「作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦」の名コンビで、数々の作品を多くのミュージシャンに提供した。二人の時代の先端をゆくライフスタイルも世間の注目を集めた。
 また、映画『だいじょうぶマイ・フレンド』(83)をはじめとした映画音楽、歌舞伎で初めてオーケストラを取り入れた「スーパー歌舞伎」、サディスティック・ミカ・バンドやフォークルの再結成、坂崎幸之助とのユニット「和幸」、「VITAMIN-Q」結成等、精力的な活動を続けた。
 2009年11月死去。享年62。
 きたやまおさむは2023年10月に産経新聞で連載した「話の肖像画」でこう書いていたー「彼が録音スタジオとして使っていた部屋の壁に額装された1枚の写真だけが残されていたのです。それは、昭和42(1967)年10月1日、京都府立勤労会館でやったアマチュア時代のフォークルの解散コンサートのステージ写真でした」。
 

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