【Z世代・若者に見てほしい】マルハラスメントの何が問題か

序論

マルハラスメント」という言葉がネット上でにわかに注目を集めている。この現象について、その根拠や実態、そしてその言葉の使用が適切かどうかについて問題提起をしたい。

この言葉は、特定の世代、特に中高年がSNS上で送るメッセージの文末に句点をつけることに対して、若者が感じる威圧感や恐怖心を指す。しかし、これに対してはいくつかの問題点を指摘できる。

問題点

まず、この概念がどれだけの根拠を持っているかが判然としない点である。句読点の使用は、小学校の初期の段階で学ぶ基本的な文法の一部であり、ビジネスメールや学術的な文書など、様々な形式のコミュニケーションにおいて普遍的に使用されている。したがって、句点を文末に使用すること自体に特別な意味を見出しているわけではないというのが、大多数の人々の認識だろう。

次に、マルハラスメントという用語が示す現象が、同世代間のチャットコミュニケーションの一つの特徴に過ぎないという点である。実際に、SNSでのやりとりは、非公式でカジュアルなコミュニケーションが多く、その文脈では文末に句点をつける慣習が少ないといえる。しかし、これが世代間のコミュニケーション全体に影響を与えているかどうかは、さらなる実態把握と検証が必要である。

さらに、ハラスメントという言葉を用いること自体が問題を引き起こしている可能性がある。ハラスメントは、加害行為を指す言葉であり、中高年が無意識のうちに若者に威圧感や恐怖心を与えるような行為をしているという認識を生み出しかねない。現時点で「ハラスメント」といえるほどの具体的な被害が発生しているとの事情は見出し難い。にもかかわらず、この言葉を安易に用いることは、若者と非若者世代との間に不必要な緊張感を生じさせ、実際には存在しない問題を大きくしてしまう可能性がある。

もう一つ考えたいことは、メディアがマルハラスメントという新概念を取り上げる背後にある意図と、それがもたらす影響についてである。

メディアの目的

1つ目は、世代間の対立の演出である。メディアはしばしば世代間の対立や争いを描くことで視聴者や読者の関心を引きつける。マルハラスメントのような新概念は、世代間の違いを強調し、視聴者・読者に対してより多くの関心を集める効果がある。

2つ目は、話題提供と議論の活性化である。
新しい話題や概念は、SNSや日常の会話の中での議論を刺激する。メディアはこのような世代にまつわる話題を定期的に提供することで、自らのプラットフォーム上での活動を促進し、関連するコンテンツの消費を増やすことができる。

3つ目は、視聴率やクリック数の追求である。
異なる世代間で議論や対立があるとされる話題は、興味を引くため、より多くの視聴者や読者を惹きつける。メディアは視聴率やクリック数を最大化するために、こうした話題を取り上げることがある。

また、もたらす影響について言えることは、まず不必要な緊張の創出である。メディアが世代間の違いを過度に強調することで、実際にはそれほど問題となっていないことに対しても、不必要な緊張や誤解を生じさせることがある。

次に、ステレオタイプの強化である。
特定の世代に対するステレオタイプや先入観を強化することにつながる。マルハラスメントのような報道を鵜呑みにする中高年世代が、若者全般に対して偏った認識を持つリスクがある。

最後に、マイノリティ意見の過剰な拡大を挙げる。若者の中でも少数派の意見や経験を取り上げて一般化することで、実際のところ多くの人々にとっては重要ではない問題が大きく見えることになる。これにより、社会全体の認識が歪められることがある。

結論

結論として、マルハラスメントという現象に対する認識は、メディアによる過剰な取り上げや、一部の人々の意見を全体化することによって生じたものかもしれない。このようなメディアの取り上げ方は、社会的な誤解や偏見を強化し、不必要な緊張を生じさせることがあり、批判的な視点でその内容を評価することが重要である。

こうした世代間の違いにまつわる問題は、世代間コミュニケーションのあり方について真剣に考えるきっかけとはなり得るが、その際にはより慎重なアプローチが求められる。また、世代間の違いを認めつつも、より建設的な対話と個別的な理解を促すための工夫が必要であることを示している。

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