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#3_9 乃木坂46のブランド継続性を、選抜の加入期と卒業から考える回①ブランドの人依存

2021年10月25日、乃木坂からまた一人さみしい卒業があった。

ブランドというのは隆盛もあれば衰勢もある。
乃木坂はこれで終わりではないが、圧倒的な乃木坂のメンバー卒業に、坂道のオタクではない者としても残念でならない。

しかし、ここで多くの人がなぜか感じてしまったのではないだろうか?
「乃木坂、終わったな…」と。

これはコンテンツブランドにおけるブランドの人依存が大きくかかわってくるのではないかと考えられる。
特にアイドルに関してよく見られる「人依存」に対して、分析してみたいと思う次第である。

ブランドの人依存とは?

ブランドというのはそもそも箱として存在している
例えば「TOYOTAの中のプリウス」であって、「プリウスのあるTOYOTA」ではないのである。
これをより抽象化していて説明すると、ブランドとは1団体や企業、もしくは事業が操作できる最大領域で作られるものであり、その中の個人は企業事業のブランドの中に帰属しているのである。

一方で、アイドルやアニメを代表とするコンテンツブランドに関しては、往々にしてその個人のブランドと共存している
例えば「鬼滅の刃といえば炭治郎」がいて、切っても切り離せない存在といえる。
これは鬼滅の刃というブランドと炭治郎というブランドが共存しているといえる。

ここで重要なのは、「個人ブランドがコンテンツブランドを超えてしまうと、ブランドの人依存が起こってしまう」ということである。
一番わかりやすいのが認知率であり、例えば、炭治郎が鬼滅の刃そのものより認知率が高い状況のとき、漫画内で炭治郎が死んでしまったらその後の毀滅の人気はおそらく落ちてしまうだろう。
(筆者注:筆者は鬼滅の刃を読んでないので、本当に死んでたらごめんなさい、それはネタバレではなくただの予言です)

アイドルにおけるブランドの人依存

ここからはアイドルにおけるブランドの人依存の危険性を唱える。

ただ、これは単純で、「メンバーの卒業がブランドの紐づく」ということである。
これは、ブランド力の強いメンバーがグループのブランドを押し上げることにつながるが、そのメンバーの卒業は同時にグループからファンを引き抜くことにつながるだけでなく、グループ自体の露出度の減少等により認知率が下がっていってしまうのである。

例としては地下アイドル含め山ほど存在するが、ここではAKB48とモーニング娘。という、時代を作った2グループで分析する。

AKB48
やはり時代としては「前田敦子vs大島優子」「指原莉乃vs渡辺麻友」の2つがあり、今までのアイドルの中でも例外的に山が2つ存在したグループといえる。
ただ、指原卒業前からAKBの露出は確実に減少しており、いまやAKBの現状を知るものはすら全盛期と比較するとかなり減ってしまったといえる。
ちなみにAKBのマーケティング分析は直近に記事にしたのでぜひこちらもご覧いただきたい。

また、Googleの検索数をもとにしたGoogleトレンドでデビュー期から今までを見ても、2011年6月(第3回総選挙、前田敦子1位返り咲き)を100として、そこから検索数は徐々に下降線の一途をたどっている。

Googleトレンド

モーニング娘。
ミニモニ、ゴクミなど、圧倒的な人気を博したモーニング娘。も例外なく人気メンバーの卒業でやはり人気に陰りが見えてきた。
しかし、その後モーニング娘。の話題が回復していたのをご存じだろうか。
今のモーニング娘。は過去のブランド像を捨て、非常に高いダンスパフォーマンスで人気が高まっている。
ここで重要なのは、今まで個として売り出していたものが、ダンスという箱として売り出し始めた(そして成功した)ことにある。
最初の認知度の向上には個の存在も重要だが、その後については集団でも十分通用する事例である。
Googleトレンドは下記の通り。

Googleトレンド

改めて考える、コンテンツを「好きになる」と「好きであり続ける」の違い

この記事でも書いた通り、顔含め「好きになる理由」と「好きであり続ける理由」は異なる。
その中で、個人ブランドでコンテンツブランドに流入した人は、個人は「好きであり続ける理由」であるものの、コンテンツブランドに関しては「好きになる理由」でしかない
その中で、乃木坂はかなり世代交代ができたとはいえ、残念ながらそれがオタク間ではなく世間一般までに浸透できたかは不明である。
そして、生田卒業時にファンを辞めると言ったオタクでは少なくとも世代交代はできていなかった。

ここでもう一度オタクたちに問う。
「乃木坂のメンバーが好きなあなた、本当に推しだけでなく"乃木坂"自体も愛していたか?」

次回(おそらくこのまま記事を書いて明日投稿する)はデータをもとに、乃木坂ブランドの人依存を見ていきたい。

続編はこちら。

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