見出し画像

#1_11 アイドルと運営(大切な3つのことと必須な1つのこと)

#1系統では「アイドルとは何か」をもとに、アイドルの歴史や存在意義みたいなものを深掘りしつつ、その価値提供、顧客体験の本質を探索していきたい。

その中で、過去に歌(#1_6)・振り付け(#1_5)・顔(#1_3)・レス(#1_4)・ワンマン(#1_7,9)・方針ストーリー(#1_8)などを取り上げている。

今回はアイドル運営に着目し、アイドルグループが成長するうえで最も重要であり、経営戦略として非常に分析しごたえがある経営母体に対して、3つの大切なこと・1つの絶対に必要なことに分けて議論を深めたい。


大切な3つのことと必須な1つのこと

私がいいアイドル運営において大切なこと・必要なことは主にこの3点+1点だと考えている。
※ここにおいてMECEではないが、様々な友達とこの話をしたうえで、ある程度のMECEは保てているように感じている。


大切なこと①:クリエイティブ能力

これは大きく言えば「センス」の一言だと思っている。
楽曲、意匠、ダンス、、、数え上げれればきりがないが、これは基本的に何かを創り上げるという観点において、質の高いものを作れる能力であると考える。

大切なこと②:マーケティング能力

これは①で創り上げたものをより価値ある形で生活者に届けることである。
もちろんSNS戦略なども一つであるが、一番は「どうオタクに見えているか、魅せられるか」をどこまで考えられるかだと思っている。

特に地下アイドルでは顕著であるが、アイドルという産業はファンマーケティングであると結論付けても過言ではない。
その中で、常にファン側であるオタクがどのようなことをしたら喜ぶのか、どのようなことをしたら熱量が増えるのか、これをないがしろにした時点でそれはどこまで運営のセンスが良くても自意識過剰であり、欅坂46時代の平手友梨奈レベルの圧倒的なセンスに頼ったりしない限りはいいものにはならない。

大切なこと③:メンバー管理

ここでのメンバー管理はただのメンバー管理ではなく、メンバーの3か月後の成長曲線を描いてあげられるか、成長をフォローできるかが重要であると考える。

もちろんいかにメンバーを管理できるか、といったことも大切にはなるが、”いい”運営という点で考えると、いまアイドルが頑張っているのは当たり前なわけで、そこに対してどの方向に頑張らせてあげるか、その勝ち筋を第三者視点で伝えてあげることだと考えている。

必須なこと:関係値の構築

なぜこれだけ別になっているかは次の章で述べるのであるが、関係値としていかに横のつながり・上下のつながりを持っているかである。

残念なことに、今の地下アイドル業界における夏フェスの出演・対バンの順番はそのグループの人気と同時に、そのイベントのイベンターとの関係値によるところも非常に大きい。
また、その出番が次の人気につながるわけで、関係値を起点とした好循環をいかにつくっていけるか・持続できるかも重要であるが、まずはそもそも関係値がなければその地点にすら立てない人も多いわけである。
過去に某セルフプロデュースアイドルのPが「事務所ばかり見られて実力を見られないのは不公平だ!」的なことを言っていたが、そもそもイベンターは別に実力だけでグループを呼ぶよりも、人気なグループとそのバーターを呼んだほうが来場客数は増えるわけで、気持ちはわかるがそれはプロデューサーとしての怠慢であると考えてしまう。

大切であるが必須でない、とはどういうことか?

今回4項目について議論しているが、ここは明確に3+1として議論を進めている。
この2つには限りなく大きな差があると考えている。

それは「アウトソーシングできるか、できないか」である。

ここで記載している中で最初に述べている「クリエイティブ能力」「マーケティング能力」「メンバー管理」は別に運営が自分たちで行わなくても外部に委託してもいいと思っている。

例えばクリエイティブ能力であれば、アイドル業界のほとんどのグループでは楽曲・意匠・ダンスの制作についてすべてアウトソーシングをしている。逆に楽曲を内製化しているほうがレアケースであると言わざるを得ず、アウトソーシングしている場合もオーダーの次第でまったく異なる。
完全に内製化している事例と言えば、作曲家ヤマモトショウさんがPを務めるfishbowlなどは内製化をしているといえよう。
一方で、高嶺のなでしこはサウンドプロデュースをHoneyWorksが全面で行っており、これはアウトソーシングと言えよう。

アウトソーシングと業務内製化

アウトソーシングとは?

アウトソーシングとは、社内の業務の一部を外部に委託することを指します。
大小はあまり関係ないが、特に小規模ビジネス・個人事業主において、1法人の中に経理・法務・人事…など法人内で必要であるが、それを自社のリソースだけで賄いきれない領域は多数存在する。

例えば代表的なものでいえばAppleのiPhoneは製品計画や販売は自社で行うものの、その間の生産に関してはOEM企業へ外注している。
業種によってアウトソーシングできる領域は異なるが、主に下記のような専門性を多く問われる領域でのアウトソーシングは非常に目立っているといえる。

アウトソーシングの対象となる業務
出典はこちら

アウトソーシングのメリット

まず一番の大きなメリットとして従業員(加えて経営方針)でコア業務に集中できる点である。企業というのは専門的なところも含めて扱うべき領域は非常に多い一方で、その企業のコアコンピタンスは特定領域の一点であることもよくある話である。
その中で、そのコアコンピタンスに集中することで、企業全体の肥大化を防げると考えられる。

また、外部の専門的な知見やノウハウを活用できる点である。一握りの大企業であれば優秀な人材を自社内に囲い込むことも可能であるが、往々にしてほとんどの企業では人材を囲い込むことは非常に難しい。

また、囲い込まないことのメリットとしてすぐに契約を切るなど、人材の流動性が多用できるため、これは裏を返すと経営的な状況に応じて、流動的に経営方針を変更できる点も大きい。

アウトソーシングのデメリット

やはり一番大きなデメリットは、同社内でノウハウを蓄積できないため、一度アウトソーシングをすると内製に戻した際に同じクオリティを担保し続けることは難しいといえる。

また、情報漏洩のリスクはあり、企業内の重要な業務であればアウトソーシングを見送ることも一つの方針となる。

地下アイドル運営におけるアウトソーシング戦略と供給

地下アイドルに限らず、中小企業・個人事業主においては、なるべく人的コストがかかるものはアウトソーシングしていくことが重要であると考える。
そのため、法務・経理などの専門的なものはもちろんアウトソーシングをした方が効率的になる可能性が非常に高い。

一方で、運営(プロデューサー)がどこまで対応するのか、という問題にもなるが、例えばプロモーション施策はそういったところの専門会社に依頼する、だったり、メンバー管理も外部のモチベーターを招聘して、セミナー形式などでメンバーのモチベーションを向上させる、などもあり得る。
もちろん個人事業主だからこそなるべく内製化してコストを削減させることも一つの手であるが、そのグループがどこまで目標にするのか、どこまで投資するのか、を前提としたうえでアウトソーシングに頼るのも一つの手である。

一方で、関係値に関してだけは、どうしてもアウトソーシングができないものとなる。
ただ、類似的なものとしてどこか大手の事務所に所属するなど、事務所の看板を立てにすることも一つの手である。

まとめ

「クリエイティブ能力」「マーケティング能力」「メンバー管理」、そして必須の「関係値」の4項目を自分の力・よその力もフル活用することで、グループ全体の価値向上を図っていくことが、いい運営であると私は考える。

閑話休題

めちゃくちゃ休んでてすみません。やっと仕事が落ち着きました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?