読書日々(Pさん)

 フローベールの、『ボヴァリー夫人』を読んでいる。今の所、良いドラマなのかもしれないが、それ以上のものを感じ取ることが出来ていない。まだ冒頭なので、これから何かあるんだろうか。蓮實重彦に『ボヴァリー夫人論』を書かせるほどの何かが。
 ここに、蓮實重彦から金井美恵子に至る、なんだかんだ正当化しているけれども完全に斜陽になった豪奢な生活への憧れ、ヨーロッパの賛美みたいなものを感じて、どうにも息苦しいというか、何というか。

 フーコーの『肉の告白』を買った。フーコーが晩年に書いた、世に出さずにしまって、これは読まんでもいいといって死んでいった原稿である。『性の歴史』と題された本の、四巻目である。
 フーコーの遺言通り、読まないと佐々木中は言っていたけれども、興味本位で買ってしまった。これによって、フーコー解釈も変わるだろう、と言っている人もいる。僕は、あらゆるフーコーの本が読みかけで止まっているから、まず門前にも立っていないかもしれない。『言説の領界』は読んだ。いわばカントの『プロレゴメナ』みたいなものだから、読みやすかった。しかし、内容はほとんど忘れた。

 ヒュームの『人間知性研究』の、とあるバージョンの翻訳を読んでいるけれども、大学教授かどうか知らないけれども、翻訳があんまりなので読み進めるのをやめたい思いがある。前にも語ったことがあるかもしれないけれども、いかにもその人自身の文章のセンスのなさを覆い隠すような学識、額の脂の臭いがこっちにまで移ってきそうな文章というのがある。これが臭ってくるともう駄目だ、絶対に読めない。

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