人工知能入りの電気シェーバー(Pさん)

 こんにちは。Pさんです。僕は以前には人工生命を作るプログラマーになりたくてプログラミングを勉強し始め、試行錯誤していたのですがなかなか生命が作れず途方に暮れ、諦めて小説を書くことにしたという経歴を持っているのですが、昨今の「AI」「人工知能」「ディープラーニング」の流行にはいつも眉にツバをつけて接しています。今、ユーチューブの動画を見ようと思って開いたら「人工知能が刃の動きを制御する電気シェーバー」なるものの宣伝が最初に挟まれて、え、何それ? となりました。
 まず、必要なのか? 人間は確かヒゲ剃りを自分の体表に合わせて動かすくらいのことは出来た筈だが……
 それから、それは本当に人工知能と言えるものなのか? ある種の制御構造があるらしいのは察せられるが、例えばある持ち主の手に渡った電気シェーバーが、その持ち主のヒゲの剃り順、アゴの形状を記憶し、次回の当て方に生かすとでもいうのか? あるいはあらゆるアゴの形状を既に習得していて、最初のアゴのひと当てで持ち主のアゴの全形状についての予測を完了し、以後の刃動きに生かすとか?
 あるいは日照と湿度温度、時間などから算出し、本日最高の剃り技術を提供するといった機能があるのだろうか?
 そんなのは冗談として、とにかく何を予想し何を記憶したとて、それを人工知能と呼ぶには、ヒゲ剃りはさすがに大げさすぎる……。
 しかし翻って、じゃあ何を知能と見なすのか? 文章を書けることか? それを逆に問われたときには、ネットでよく見かける、「なんかこう……もっと……あるだろ」という気分に陥るのみです。とりあえずヒゲ剃りではない。
 画像認識とや音声認識でたしかに目ざましい成果を出して久しい人工知能周りの技術、今となっては取りざたすことも古びて聞こえはじめていますが、画像認識にしろ音声認識にしろ、人間の感覚を探求し、それに奉仕するという目的しか持っていないのであれば、まだそれは新しい何かをもたらすには至らないんではないのかな? と具体的な技術も知らないのに大上段から構えた物言いをするPさんは、今日もこんなものを書いて過ごしているというわけです。
 ちょうど広告表示が終わり、ノンストップの勉強用BGMが再生されはじめた所です。

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