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【アニメ『平家物語』をイッキ観したので超超超オススメしたい】

 
 こんにちは(o・ω・o)オタクです。


『平家物語』

 
 というアニメをイッキ観したので、レビューとオススメnoteを合わせて書きたいと思います。

 
『平家物語』というタイトルを知らない日本人はかなり少ないと思います。
 本当に若い世代はもしかたしら学校でも習わなかったりもするのかもしれませんが。


祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声、諸行無常しょぎょうむじょうの響きあり。
 娑羅双樹さらそうじゅの花の色、盛者必衰じょうしゃひっすいの理をあらはす。
 おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
 たけき者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」

 
 この有名な文章で綴られる物語です。
 Wikipediaによりますと、

『平家物語』(へいけものがたり)は、日本の鎌倉時代に成立したとされる軍記物語で、平家の栄華と没落、武士階級の台頭などを描いたもの。
作者は不明。

 とのこと。
 一説には、僧や琵琶法師が語り紡いだと言われています。


◆アニメ『平家物語』

 監督は山田尚子監督
 脚本・構成は吉田玲子
 音楽は牛尾憲輔
 制作はサイエンスSARU

 まーー、この時点でカエルとしてはパーフェクトな布陣なのですが。
 
 山田尚子監督が京都アニメーションではない制作チームとアニメを作るということで、アニメ放映前から話題になりました。

 
□あらすじ

 平氏一門へいしいちもんたいらの一族のお話です。
 
 よく、平家物語と言えば、『平氏 対 源氏』の争い。そして源氏による平家退治として語られますが、アニメ『平家物語』では、平の一族が暮らし、栄華を極め、驕り高ぶり、衰退していく。
 という、本当に平一族の物語となっています。
 
 そしてこの物語の主人公、語り部として登場するのが、びわと名乗る少女。琵琶法師の子です。

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 彼女の浅葱あさぎ色の右目には未来が視えるという力が宿っており、「平家はいずれ滅びる」と、平重盛たいらのしげもりに言います。

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 また、重盛の右目は過去の死者の姿を写します。
 重盛はびわにそのことを話し、親を失い天涯孤独の身になったびわを平家に迎え入れます。
 そしてびわは平家の一族と深い関わりを持ち、一族が滅んでいく姿を傍らで見届けます。


 というお話。
 
 ネタバレしない内容としては(目の力は一話冒頭で語られるのでネタバレではない)このくらいの説明でしょうか。
「平家が滅びる」という史実は変わらないので、最初から全てのネタバレがされているとも言えます。
 
 ですが、本当に面白いのは、

「平家って、こういう人たちがいたのか」と知ることができるという所。
 
 もちろん、登場人物の性格や行われる会話はフィクションを多分に含む訳ですが、平清盛たいらのきよもり

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 などの有名な人物や、安徳あんとく天皇の母親である平徳子たいらのとくこ(清盛の次女)

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 などのあまり一般では知られていないキャラクターなどの人生も深く深く描かれています。

 他にも、(左から)平維盛これもり資盛すけもり清経きよつね有盛ありもり

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 など。本当に平家物語を書物で読んだことのある人しか知らないようなキャラクターまで。物語に深く深く関わってきます。
 
 アニメ後半では平家が滅びる大きな要因である源氏も登場するので、有名な源頼朝みなもとのよりとも義経よしつねも平家の敵役として登場します。
 
 平家物語として有名な登場人物はもれなく出演します。


◆ココスキ『平家物語』


□美しい『

 本記事冒頭に載せたPVを見ていただくと分かるのですが、

 絵柄が昨今のアニメーションとしてはかなり淡白です。薄いと言ってしまってもいいくらい。
 
 淡白な絵柄なのですが、緻密で美しい『ココスキな見どころの一つです。

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□平家が切り開いた新たな時代

 一般的に『悪者』として認知されているように思う平家の一族。
 ですが、武士の一族でありながらまつりごとの奥深くまで達するという偉業を果たした一族でもあります。
 
 平家は平安時代末期に政権を握った一族です。
 その後は鎌倉幕府(鎌倉時代)……と時代が移っていく訳ですが、平安時代、天皇と濃密な姻戚関係を結んだ藤原氏一族などは平安貴族と呼ばれ、貴族が国の政を牛耳っていました。

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戯れる平安貴族たちの図
 
 平家は横暴で謀略を図ったかもしれませんが、日本という国に新しい時代をもたらした存在とも言えます。
 
 そんな平家一族が、どんな政略・知略・謀略を行ったのか、そしてどう滅びに向かっていったのか。スポットを浴びたキャラクターたちはどう死んでいったのか。
 
 その栄えと滅びのわずか15年。
 
『ただ春の夜の夢の如し』と言われるその一瞬の描かれ方がとても素晴らしいと思います。


□源氏にスポットが当たらない

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 源氏と言えば、源義経、武蔵坊弁慶むさしぼうべんけい静御前しずかごぜんなどの超超有名どころ。

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 が、見栄えするであろう源氏にはほとんどスポットが当たりません。
 義経は平家と壇ノ浦で最期の戦いをする訳ですが、それでもメインは平家一族。

 とことん平家の物語です。

 その潔さたるや……!!!

 とことん平家の人々の生涯を描くことに注力していることで、キャラクターの深堀りがすごいすごい。
 どれくらい桓武平氏かんむへいしについて調べたのだろう……。
 
 ちなみに『平氏』と一言に言っても実は『桓武平氏・仁明にんみょう平氏・文徳もんとく平氏・光孝こうこう平氏』と4つの流派が存在しています。
 その中でも最も栄え、有名になったのが桓武平氏というワケです(知らなかった)


□特に好きだった5話の演出

 ココはネタバレになっちゃいますが、5話の絵コンテ・演出を担当したモコちゃんという演出家?の方が担当した回がめちゃ好きでした。
 
 
 重盛の息子、維盛これもり(いちばん左の子)が、

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 戦の凄惨さを目の当たりにして、恐怖・トラウマを抱えるというシーンなのですが、

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 戦の風景であるにも関わらず、『血しぶき』や『刀で人を切る』など行為は描かずに、
 
 どんよりした曇り空の下で、煙が上がる中、異様な紫色の戦火に染まった戦場と、そこに群がる烏、それを見つめる維盛の"目"だけのカットと零れ落ちる涙、で『戦の凄惨さ』を演出
しているというシーン。
 
 そして戦に敗れ逃げ帰った維盛は、髑髏しゃれこうべとそこに咲く花の悪夢で目覚めます。

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 髑髏に群がる花はおそらくマーガレットかデイジー(ヒナギク)
 マーガレットの花言葉は「私を忘れないで」
 デイジーだとすれば「平和」「希望」

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 あからさまに悲惨な光景は描写せず、色や戦場で起こる光景、そして維盛の感情を表す目の描写。
 ダメ押しの悪夢で、血のついた髑髏に咲く希望の花。
 
 この回は、「超ヤベーな、この演出家」って思っちゃいました。
 
 アニメ『平家物語』自体、全体のクオリティと、魅力に溢れ面白い作品ですが、このモコちゃんが担当してる回は特に刺激が強かったです。 
 なお、モコちゃんは最終話てある11話も絵コンテを山田尚子監督と共に担当してました。
 
 
 
 
 いやぁ、良いアニメーションを観た。
 

全世界に、各国のアニメーションが溢れる現代だからこそ、日本のアニメーション文化の一つの結晶である『平家物語』を全世界の人類に観てもらうべきなのではなかろうか?
 
ハリウッド映画がハリウッドでしか生まれないように、山田尚子監督の『平家物語』は日本でしか作られない故に。

 
 って思いました。
 
 
 てことで『平家物語』のレビューとオススメはここまでです。
 
 このアニメは、現時点ではフジテレビのサブスクサービス『FOD』のみで配信されています。

 初回登録の2週間は無料で全話視聴できるので、マジでぜひぜひ観てほしいです。
 ぜひぜひ観てほしいので。
 本当に良い作品なので。


 以上です。
 
 
 全世界の全人類に日本の『平家物語』を観てほしいわー(o・ω・o)

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