見出し画像

わんこ先生

麦は生きている。非常に生きている。強く、というよりも、ただひたむきに生きている。
麦はひたむきに生きるということを教えてくれる。ご飯がお皿に盛られると飛び跳ねて喜び、ぼたぼたと口からこぼれる水も気にせず、散歩だよといえば笑顔で走り回り、帰路に気づくと少し寂しそうにする。

激動の日々に適応するため、どうやって生きていけばいいのかという処世術を至るところで目にする。成功者の動向に注目し、真似をし、生き延びる方法に頭を悩ませている。私もその一人だ。しかし、麦を見ていると「どうやって生きるか」よりも「生きるとはどういうことなのか」を考えさせられる。そして、私にとってはそれを考える行為そのものが、生きるという営みにおいてとても大切な要素を秘めているように思う。

犬だって先生だ。
麦よ、ありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?