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ばあばがいいボクと、おしゃべり上手な女の子と、忙しい給食の時間


2歳の男の子こうちゃん(仮名)のお母さんは妊婦だった。体調が優れず出産前に入院。1週間近く会えていない中、昨日弟が無事に生まれた。


おばあちゃんが同じ保育園で保育者をしているが、給食の時間は離れてしまうので、こうちゃんはこの時間にグズる。


普段わたしと対角線上でご飯を食べるのだけど、泣いてごはんの気分になれない!状態。


とりあえず、隣においでと誘うと、リュックを置いておくロッカーに背を向ける形でわたしの斜め隣にきた。わたしは4人テーブルの右下に座っていたので、ロッカーが右側。こうちゃんからすれば後ろの状態。こうちゃんはいわばお誕生席のような形で座って、わたしが口に運ぶごはんを少しずつもぐもぐしながら、食べるスイッチが入ったのか、ほぼ全部食べ切った。



そんな中、おしゃべりが巧みなゆうこちゃん(仮)が、先にごはんを食べ終わり、自分で片付ける!とのことでスプーンとフォークの入ったケースをリュックに戻そうとするが、こうちゃんが邪魔でリュックまで手が届かない。


「こうちゃん、ゆうこのリュックとって〜♡」


本当にハートが飛び出すような、♫をつけていいような、軽快な言葉口調でたのみごと。


こうちゃんも、表情を変えずスッとゆうこのリュックをとって、手渡し。ゆうこがしまい終わると、当たり前のようにハイっとリュックを渡して、こうちゃんがロッカーに戻す。


2歳になったばかりの子たちが、上手にお願いごとをして、やりとりするんだなぁと感心してしまった。


こうちゃんは結局給食に一番時間がかかり、他2名からも続々と、「とって〜」の繰り返し。



あとからばあばにこのことを話すと


「えーっ!邪魔!とか言われなかったんだねぇ」


と感心していた。


たしかに誰もこうちゃんのことを

邪魔!と言う子はいなかった。



大人になると、自分のしたいことやりたいことが遮られた時、方法が分からなくなるとイライラしがち。けど、上手に頼めば、みんなで助け合えばいいんだな〜と子どものやりとりから気付かされる事って、保育者ならあるあるかもしれない。



このやりとりは本当に微笑ましくて、保育者も誰も、

ゆうこに対して

「自分で取りなさい!」とは言わなかったし、

こうちゃんに対しても、

「そんなところで食べないで、自分の席に戻りなさい!」という人もいなかった。


ある程度のゆとりっていうのは、こういう事かなぁとも思う。ルールに従ってあんまりにもガチガチにやりすぎると、大人もイライラするし、子どもからの発信も減ってしまう。子どもって、発信して、受け止められての繰り返しで大きくなっていくと思っているから、このエピソードは忘れたくない。(多分忘れないけど)



基本的にこうちゃんは、泣いている子がいたらヨシヨシしてあげるし、自分が手に持っているおもちゃもその子にあげたりする。(だいたい泣いてる子はそのおもちゃには見向きもしないんだけど)



優しさがみんなにも伝わってるのかな。


今日の夕方こうちゃんが、ばあばが掃除で居なくなってしまい泣いていると、女の子がたくさん寄ってきて、ぎゅーしたりヨシヨシしてあげていた。


ばあばも、「モー!!また泣いてる!!!」っていう雰囲気だったけれど、



「いつもこうちゃんが優しくしてるから、みんなからも優しくしてもらえるんですね」


っていうと、ばあばの「モー!!」が表情からスッと消えた。よかった。




子どものやりとりエピソードで、忘れられない瞬間っていうのはものすごく沢山ある。これからもそんな瞬間をたくさん見ていきたいなぁ。


こうちゃんの真似をして手当たり次第リュックを引っ張り出していたまほちゃん(仮名)は、わたしのリュック!!取らないで!!って、一歳上のお姉さんに怒られてました。






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