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山鳩とスズメの大群

一昨年の秋、山鳩の鳴き声に誘われるようにして餌付けを始めた。餌付けを始めて直ぐ、スズメの多いことに気がついた。朝、外を見ると山鳩の姿はなくて、電線にはスズメばかりが並んでいた。
スズメが多いなとは思ったが、私は、いつものように、裏庭に回り餌台に鳩用の穀類を撒いておいた。
しばらくして、裏庭に行ってみると、餌台の上は見るも無惨に食い荒らされ、辺り一面にトウモロコシばかりが散乱していた。どうやら、スズメが食い荒らしたようであった。         当の山鳩はというと、暫くしてからやって来たらしい。スズメが食い散らかしたモロコシや麻の実を平らげて、裏庭をまるで掃除でもしたかのように綺麗にしていった。

それから一月も経ったろうか、朝、いつものように餌袋を下げて家の角を曲り、裏庭に足を踏み入れた途端、ブワッと勢いよく風が巻き上がるような炸裂音が上がった。裏庭で餌を待っていたスズメが、一斉に飛び立ったのである。
私は、思わず足を止めた。その迫力は、近在のスズメというスズメが、すべて集まったと思われる程の凄味があった。
一、二羽では、可愛いスズメだが、数集まればこの凄みがある。
山鳩の餌を掠め取るスズメは、邪魔と言えば邪魔だが、餌に群がる地味な小鳥を見ていれば、そこには、必死に生きようとする健気な姿が見えてきた。

朝起きると、外を見る。
目の前を、五、六羽のスズメが、続けざまに横切った。道向こうの電線には、すでにスズメが並んでスタンバイしている。
遠い電線には、丸い姿の鳥が二羽。おそらく、山鳩であろう。
今朝は、撒き餌は中止にしようかな。私は、パジャマ姿で考えてしまった。

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