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PdM(プロダクトマネージャー)とは? 【PdM 編 #1】

1. 概要

この投稿では「PdMの広義」の解説の他に、「PdM の範囲、役割、価値」など、PdM に関する大まかなポイントを、私自身のこれまでの CPO(Cheif Product Officer)や PdM(Product Manager)の経験をもとにご紹介します。

これにより、PdM の価値の理解や、PdM の普及、PdM 議論の発展、そして世の中のプロダクトのグロースに少しでもお役に立てれば幸いです。

2. 前提

2-1. 対象範囲

この記事の対象範囲は IT 系に限りますので、以下の項目等については、適宜補完や読み替えください。

  • PdM の言及範囲は IT 業界となります。

    • 工業製品等を扱う製造業界は対象外

  • Web という接頭辞を省略して表現する事があります。

    • マーケティング(Web マーケティング)

    • マーケター(Web マーケター)

    • デザイン(Web デザイン)

    • エンジニアリング(Web エンジニアリング)

    • エンジニア(Web エンジニア)

    • etc…

  • この投稿では、toB、toC、あるいはプロダクトライフサイクルにおけるフェイズなど、プロダクトの性質や状態の違いによるポジションの細分化は言及せず、広義のプロダクトマネジメントとして解説します。

2-2. 対象者

この投稿では、以下のいずれかの方々を対象としています。

  • IT 業界関連の方

  • PdM について詳しく知りたい方

  • PdM 志望者・実務者・経験者

  • プロダクトやチームに課題を感じている方

  • プロダクト開発・運用に課題を感じている方

2-3. 目的

この投稿の目的は以下となります。

  • PdM の広義の解説

  • PdM の範囲、役割、価値などの狭義の紹介

  • PdM の価値の理解の促進

  • PdM の普及

  • 世の中のプロダクトのグロースへの寄与

3. はじめに

私は今でこそ、各社の CPO(Chief Product Officer)や、CTO(Chief Technical Officer)、CAIO(Chief AI Officer)や CMO(Chief Marketing Officer)、COO(Chief Operating Officer)などの CxO を歴任してきましたが、なぜ広範の責任者を担えるようになったかの理由の一つは、私自身が多くのプロダクトの PdM を経験してきたからだと考えています。

なぜ、多くのプロダクトの PdM を経験してきた事が、このようなキャリアに繋がったかですが、PdM は、ビジネス、セールス、マーケティング、デザイン、エンジニアリング、カスタマーサポート等(以下、各専門領域)のプロたちで構成されたプロダクトチームをまとめなければなりません。

そのためには、各専門領域のある程度の知識、技術、経験、これらをまとめる戦略、戦術、マネジメントに精通し、各専門領域のプロたちと、それぞれの領域についてよりよく対話を進める必要があります。

彼らが、専門外の人に説明するような一般的な言葉に丸めることなくです。
そして、各専門領域を全方位リレーションして、施策の計画・設計、実行、検証、改善を繰り返し、メンバーやプロダクトの生産性を上げるなど、プロダクトチームを最適化する知識や技術、マネジメント、方法論を身につけ、プロダクトのグロースを推し進める必要があります。

このように、PdM としてこれらのことを身に着けたことが、私自身の広範なキャリアに繋がったのではないかと考えていますが、そもそも「PdM になる」ということ自体が、以下のようなキャリア形成に繋がる可能性が十分にあることなのではないかと考えています。

例)PdM のキャリア形成の可能性

  • CPO(Chief Product Officer)

  • CMO(Chief Marketing Officer)

  • COO(Chief Operating Officer)

  • BO(Business Owner / 事業責任者)

  • PO(Product Owner)

  • PMM(Product Marketing Manager)

  • etc…

しかし PdM は、マーケター、デザイナー、エンジニア等といった各専門職のポジションに比べ、具体的に何の役割を担い、何の効果があるのか、一般的に理解されづらいポジションだと未だによく言われますが、実はとても本質的で重要な役割を担っています。

以降のセクションでは、「PdM の広義」の解説の他に、「PdM の範囲、役割、価値」などの PdM に関する大まかなポイントを、これまでの私自身の経験をもとにご紹介していきます。

4. PdM とは?

PdM とは、Product Manager / プロダクトマネージャーの略称で、プロダクト(製品やサービス等)の開発・運用をマネジメントするポジションなどを指します。
(※ PDM / Product Data Manager とは異なります。)

例えば、プロダクトの企画、開発、あるいは運用段階等において、ビジネス要件、開発要件、運用要件などを固めながら、施策の計画、設計、実施、検証、改善等を繰り返し、それらの進捗管理から、ファシリテーション、プロダクトやプロダクトチームの生産性向上などを担います。
また、プロダクトの成長フェイズだけでなく、維持、縮小、終了フェイズなどにも必要に応じてあたります。

製造業やメーカーでは、以前からプロダクトマネージャーというポジションは存在しましたが、近年の IT 業界、特に SaaS 企業や Web プラットフォーム企業を中心に、PM(Project Manager / プロジェクトマネージャー)との混同を避けるため、PdM という略語とともに普及してきています。

(※「PM と PdM の違い」については、今後予定している PdM 編の他の投稿でご紹介していきます。)

5.  プロダクトとは?

「プロダクト」という言葉は、PdM だけではなく、CPO などのポジション名でも使われますが、この「プロダクト」という言葉を、皆さんはどのように捉えられていますでしょうか?

ひと昔前の日本では、プロダクトとは工業製品のような「物理的製品」のことを指すことが多かったように思います。
今でも「販売する製品や商品」というイメージが一般的には強いように思います。
しかし、プロダクトという言葉は、様々な場面であらゆる対象に使用されているのが実情です。

近年の IT 業界では、データやソフトウェアなどの物理的実体のない「無体物」もプロダクトとして扱われる事例が増え、特に SaaS 企業や Web プラットフォーム企業においては顕著です。
また、パッケージ化されたサービスや、オンラインサービスなど、「販売形態やサービスそのもの」もプロダクトとして扱われる事例も増え、例えば EC サービスそのものをプロダクトとして扱う組織もあります。
さらに、EC サービスだけでなく、人材紹介サービス、アパレルレンタルサービス、印刷サービスなどの Web サービスを展開している各某企業でも、「商材と Web を連動させたサービス形態」をプロダクトと捉えている企業も実際に目にします。

また、「Production = 制作すること」「Produce = 制作する」などの関連語を見てもわかるように、「制作物あるいは成果物」をプロダクトと捉える事例もあります。

さらに、商用物に限らず、OSS のような「非商用の提供物」もプロダクトとして扱われる事例をご存知の方もいるでしょう。

このように、プロダクトという言葉は、工業製品のような「物理的製品」や、一般的イメージの強い「販売する製品や商品」に限らず、様々な場面で使用されています。

6. PdM のプロダクト範囲

前セクションでは、使用例をあげて「プロダクト」という言葉の前提の解説をしましたが、実際に PdM が対象範囲とするプロダクトには、どのようなものがあるでしょうか。

これは、組織の方針、状態、背景等によって、様々な定義や解釈があっていいと思います。
なぜなら「PdM のプロダクト範囲」について、普遍的に成立する概念・正解というものは存在しませんし、その定義自体は目的を達するための手段に過ぎないからです。
ただし「組織にフィットした最善の定義」であったほうが、その組織にとって有益性を高めてくれることでしょう。

ここからは、私自身のこれまでの経験則に基づき、より生産性を高めてくれるであろう PdM のプロダクト範囲の定義をご紹介します。

私が定義する、PdM のプロダクトの範囲には、「物理的製品」「販売商品」「SW・アプリ製品」に限らず、「EC サイトやコンテンツメディア等の Web サービス」、更には「コーポレートサイトや採用サイト等の Web サイト」等を含めていますが、これに似た定義の組織もだいぶ増えているようです。

このような定義にする理由は、商材とサービス(役務)を職務分離することによる非効率性や、「各専門領域の思考特性の違い」による活動の停滞等といった、生産性低下に繋がるような課題を滞留させるよりも、これらの課題を PdM のワンストップマネジメントによって解決できる体制にする方が、直接的あるいは相関的な生産性、売上、利益、LTV、CV などの向上や、プロダクトやプロダクトチームの成長の確度をより高めることができるからです。

コーポレートサイトや採用サイトが分かりやすい例ですが、これらを取りまとめるポジションとして Web ディレクターがアサインされるケースをよく見かけますが、もちろん間違いではありません。
Web ディレクターの定義も組織によって様々ですし、制作や CV などの KPI 達成活動についてはある程度コミットできると思いますが、生産的かつ持続的なチームマネジメントまで取り組んでいる事例はおそらく少ないでしょう。

また、EC サービスやコンテンツメディアは、PdM がパフォーマンスを発揮できる領域の一部であり、このことについてピントがあわない意思決定者もまだ多いようですが、おそらく前述した「プロダクト」という言葉の印象により「PdM = SaaS のような販売商品のマネージャー」のように、バイアスがかかってしまっている事例も多く見受けられますので、次章では PdM の具体的な役割について、さらに深堀りして解説していきたいと思います。

7. PdM の役割

PdM は、ビジネス、セールス、 マーケティング、デザイン、 エンジニアリング等の各専門領域のプロたちで構成されたプロダクトチームにおいて、その各専門職たちを繋げながら、ファシリテーション、タスクコントロール、スケジュール管理等の生産性を向上し、プロダクトのユーザー満足度やユーザー体験を上げながら、プロダクトを成長に導くためのプロダクトチームビルディングや、プロダクトチームマネジメントが求められます。

したがって私は、以下のように PdM の役割を大きく 3 つに分類し、これらを段階的あるいは並行的に実施していくようオススメしています。

  • リレーショナルマネジメント(関係性マネジメント)

  • グロースマネジメント(成長性マネジメント)

  • プロダクティビティマネジメント(生産性マネジメント)

また、担当するプロダクトが toB なのか toC なのか、あるいはプロダクトライフサイクルのフェイズによって、ホールプロダクトマネジメントや、プロダクトマーケティングマネジメントなど、更に PdM の役割を細分化することは可能ですが、この投稿ではこれらも広義のプロダクトマネジメントとして解説します。
(便宜上、PdM というポジション名で解説していますが、このような役割について違うポジション名でも良いと思います。)

7-1. リレーショナルマネジメント(関係性マネジメント)

「リレーショナルマネジメント(関係性マネジメント)」とは、全方位への関係性構築、関係各所への調整、およびファシリテーションなどを含む、チームマネジメントのことをさします。

 全方位への関係性構築

  • 関係各所への調整

  • ファシリテーション

  • 各専門職の思考特性の違いの吸収

  • etc…

そして、このリレーショナルマネジメントの過程において、重要な項目の一つが「思考特性の違い」の理解と吸収です。

7-1-1. 思考特性の違い
前述のように、PdM は、各専門職どうしを繋げてファシリテーションをしていくことが必要とされますが、そのためには各専門職の「思考特性の違い」を理解し、それらを吸収する必要があるでしょう。

なぜなら、各専門職どうしは、各領域の「思考特性の違い」によって衝突しやすく、そられが繰り返されることで、プロダクト生産活動が停滞しやすくなるため、PdM がプロダクトを成功に導くためには、この「思考特性の違い」により引き起こされる問題を解消する必要があるというわけです。
(※ ここでいう思考特性とは、仕事柄の立場や職務上の思考の特性の話であり、個人の人格レベルにまで言及する話をたまに耳にしますが、決して個人の人格の話ではありません。)

では、なぜ各専門職どうしで「思考特性の違いが生じるのか?」を簡単に解説します。
各専門職は、プロダクトの成長という方向性は同じでも、そのために課せられたミッションの特性には、かなりの違いがあります。
例えば、マーケターは定量的価値、デザイナーは審美的価値や情緒的価値、エンジニアは機能的価値に重きを置くミッションが課せられる傾向にあります。
そして、各専門職は「1 日の稼働時間 x 日数」という生活の大半の時間を、それぞれのミッション達成のための脳の働かせ方に費やします。
したがって、彼らがジュニアからシニアに成長していくにしたがい、各専門職のミッションのための思考特性を色濃く持つようになり、時間軸とともに「思考特性の違い」が大きくなっていくという傾向にあります。
このように、専門職によって「思考特性の違い」が出るようなことを、職務上求めているということでもあります。

そして、この「思考特性の違い」によって、衝突も生まれやすくなります。
これは、それまで PdM が存在しなかったチームに、私が CPO としてアサインされた現場でよく耳にした実例になりますが、例えば定量的な計画、検証設計、実施、検証、改善をミッションとするマーケターにとって、デザイナーのユーザーに対する視覚的な印象を重視する(定量的に可視化しづらい)取り組みについて「何の価値があるのか理解できない」というような会話をよく聞くことがあります。

また、ミッションの性質上、マーケターは短期的な効果、デザイナーは中期的な効果を追うことが多くなる組織もありますが、マーケターによる直近の定量的な施策を継続して優先した結果、デザインの一貫性が崩れていき、デザイナーのモチベーションが下がるといったこともよく耳にします。

さらに、ビジネスオーナーが直近の定量的価値に重きを置く場合、マーケ主導の施策ボリュームの割合が増大する傾向にあり、その結果上流工程からのトップダウンの傾向が強くなることで、内製デザイナーや内製エンジニアは施策の提案どころか社内受託化してしまい、自社プロダクトに対する主体性を失い、ワークエンゲージメントや会社へのロイヤリティは低まり、ストレスや不満を溜め、マーケター & デザイナー & エンジニアによる綱引き、マウンティング、イニシアティブ合戦などが横行し、施策がなかなか進まずにプロダクト開発が停滞するなど、チーム状態は悪化の一途を辿るケースも珍しくありません。

ここまでは、ほんの一例に過ぎませんが、このようにお互いがお互いの「思考特性の違い」を受け入れないままコミュニケーションを続けていくことで、大小様々な潜在的・顕在的問題を引き起こす可能性を高めていってしまうでしょう。

ここで PdM として大事なことは、それぞれの「思考特性の違い」に悲観せず、むしろ当たり前であることを理解し、耳を傾け、ファシリテーションで吸収し、方向性を示しながら、メンバーをより良く活かしつつ、プロダクトをグロースさせる役目を担っているということを理解することでしょう。

(※「思考特性の違い」の更なる詳細の解説ついては、この投稿のテーマから外れるため、今後予定している PdM 編の他の投稿でご紹介していきます。)

7-2. グロースマネジメント(成長性マネジメント)

「グロースマネジメント(成長性マネジメント)」とは、プロダクトやプロダクトチームをグロース方向に向けたマネジメントのことを指し、以下はその抜粋となります。
(※具体的な内容については、この投稿のテーマから外れるため、今後予定している PdM 編の他の投稿でご紹介していきます。)

例)

  • プロダクトライフサイクル

  • コアプロダクトマネジメント

  • ホールプロダクトマネジメント

  • プロダクトマーケティングマネジメント

  • ユーザージョブマネジメント

  • VoC 体制化

  • CJM・SBP・ペルソナマーケ・ストーリーボード等のナラティブマーケ

  • カスタマーサポート・サクセス連携化

  • ユーザー体験、ユーザー満足(NPS 等含む)リサーチ化

  • 事業とプロダクト線形化

  • プロダクトプロセスマネジメント

  • グロースステップ化

  • KGI / KPI 等の設計・実施体制化

  • MVP、リーン開発等のアジャイル開発手法導入

  • グロース施策案のリスティング(課題抽出)

  • グロース施策案の仮説分析

  • グロース施策の優先順位の決議

  • グロース施策工数見積もり妥当性チェック

  • タスクコントロール

  • スケジュール管理

  • グロース施策の計画、検証設計、実施、検証、改善 PDCA サイクル

  • etc...

7-2-1. プロダクトマーケティングマネジメント
「プロダクトマーケティング」の領域には「プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)」というポジションも世の中には存在し、「プロダクトマーケティングマネジメント」と「プロダクトマネジメント」は、それぞれ「社外マーケティング活動」と「社内プロダクト開発活動」とに分ける考え方もありますが、「プロダクトマーケティング」は「プロダクトマネジメント」活動と非常に相関性の高い領域でもあり、PdM はただプロダクト開発タスクを回すだけでなく「プロダクトマーケティング」を体系的に理解しておくことで、プロダクトをよりグロースに向けやすくなるかもしれません。

この投稿では「プロダクトマーケティング」については、詳細まで触れませんが、ユーザーが心から使いたいと望み、繰り返し使いたくなるようなプロダクトを開発するために、ユーザーの片付けるべき課題の文脈を理解し、その遂行を妨げる障害物を把握するための引き出しとしても、「プロダクトマーケティング」の観点は PdM にとって非常に有用だと考えます。

7-3. プロダクティビティマネジメント(生産性マネジメント)

「プロダクティビティマネジメント(生産性マネジメント)」とは、プロダクトやプロダクトチームの生産性を向上させるマネジメントのことをさし、以下はその抜粋となります。
(※具体的な内容については、この投稿のテーマから外れるため、今後予定している PdM 編の他の投稿でご紹介していきます。)

  • ブレインストーミング導入

  • 集合知の活用

  • 心理的安全性の確保

  • 羊飼い型マネジメント

  • ボトムアップ体制化

  • 商材と役務のサイロ化防止

  • ワークエンゲージメント向上

  • 目標制度の適正化

  • 評価制度の適正化

  • 主体性マネジメント

  • キャリアパスマネジメント

  • ベクトルマネジメント

  • メンバーエクスペリエンス

  • ナラティブマネジメント

  • etc...

8. PdM の価値

PdM といっても、その価値の定義は組織や業種業態によって様々ですが、マーケター、デザイナー、エンジニアといった各専門職に比べ、一般的には理解されづらいもののようで、その価値を理解してもらうことは、簡単ではないでしょう。
そのためか、PdM について中間コスト的な印象を持たれたり、PdM を配置した方が生産性が上がる状況下でも PdM が配置されていなかったりというケースによく出会います。

ただし、スタートアップのような(資金的・人的)リソースに余裕がない場合、あるいは数人規模のチームの場合においては、PdM に特化した人材は必ずしも必要はないと考えますが、しかしそのような場面でも、明確な意識ないものの、社長等が PdM 的な役割を実は担っていた、というようなケースはよく見かけます。

PdM の価値を一言でいうと、各時間軸における「プロダクトやプロダクトチームの相互生産性の最大化」といえるでしょう。
(※相互生産性の解説については、この投稿のテーマから外れるため、今後予定している PdM 編の他の投稿でご紹介していきます。)
相互生産性を低下させる阻害要因を取り除き、より効率的に時間軸を意識した相互生産性の向上のためのあらゆる方法を PdM はとるべきでしょう。

PdM の効果を可視化、定量化する方法はいくつもありますが、その中でも KPI を紐づけた指標を掲げ、その達成度合いを測るのが一番わかりやすいでしょう。

また、組織の状態によっては、可視化しづらい PdM の取り組みもたくさんあると思います。
例えば、プロダクト開発の停滞が課題だった場合には、施策実施数を月次対比して可視化したり、プロダクトチームのワークエンゲージメントや主体性が課題の場合には、メンバー提起の施策採択数を月次対比して可視化するなど、PdM の取り組みの効果が理解されづらいからこそ、しっかり可視化を進めていくことをオススメします。

(※更なる詳細については、この投稿のテーマから外れるため、今後予定している PdM 編の他の投稿でご紹介していきます。)

9. まとめ

この投稿では「PdM の広義」の解説の他に、「PdM の範囲、役割、価値」など、 PdM に関する大まかなポイントを、これまでの私自身の経験をもとにご紹介しました。

特に、SaaS 企業や、Web プラットフォーム企業では、PdM ポジションが確立してきていますが、PdM について「組織にフィットした最善の定義」をし、適正に配置することで、組織にとってより有益性を高めてくれるポジションであるということを、少しでもご理解いただければ幸いです。

また、PdM の役割は多岐に渡りますが、特に「思考特性の違い」によるプロダクトチームの課題については、(程度はありますが)どの組織でも共通して抱えている傾向にありますので、これをきっかけに少しでも解決が進むことを願いつつ、この投稿が、PdM の価値の理解、PdM の普及、PdM 議論の発展、そして世の中のプロダクトのグロースに少しでもお役に立てれば幸いです。

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