塾の先生との付き合い方

戦略的中学受験のすすめ⑦

正直、中学受験は過酷です。
やらなければいけないものでもありません。
でも、あえてやると決めたならば、受験のプロである塾の先生との付き合い方が大切になってきます。親と先生が上手くタッグを組めると、子供にもいい影響を与えることが可能になります。

そもそも、大手塾は大手塾の、個人塾は個人塾のいいところがあります。それぞれ一長一短なので、この塾がいい!というものではありません。みんなが行ってるから○○塾でいいや、ではなく、その子の性格も考慮したほうがいいと思います。
負けず嫌いな闘志むき出しタイプの子は、順位を全面に出して競争させる塾が向いているでしょうし、逆にマイペースな子がそんな塾に入ったら、プレッシャーに押しつぶされてやる気をなくしてしまうかもしれません。

そしてどんな塾であれ、親は塾の先生とのコミュニケーションを適度に取るべきではないかと思います。
塾も商売ですから、たとえテストが返されるたびに毎週毎週、親から電話がかかってきても対応してくれます。でも先生も生身の人間です。毎週毎週「うちの子どうでしょう??」の電話がかかってきたらどう思うでしょうか・・・?私だったら正直メンドクサイです。

かといって、逆に親から全く何もアプローチがなかったらどうでしょうか…?子供に何も問題なければいいのですが、例えば成績がガタ落ちしているのに音沙汰なしだったら、特に大手塾の場合、この子の親は受験に積極的ではないのかもと思われ、特に目をかけてもらえることもなく、大勢の生徒の中に埋もれてしまう、なんてことがあるかもしれません。

我が家の場合、大手塾でしたが、個別に先生に直談判したことが数回ありました。全て息子に発破をかけてもらうためです。

1回目は、5年生から6年生に切り替わる2月の受験期間。6年生のサポート期間のために、5年生以下は塾が10日間ほどお休みになります。

この10日間、息子は勉強のべの字もしませんでした。もちろん宿題はでています。ですが当時、学校のクラス全員でやる大縄に熱中していた息子は、ここぞとばかりに毎日毎日大縄に明け暮れ、とうとう10日間、テキストを1ページも開かずに新6年生を迎えようとしたのです。

はらわたが煮えくり返りそうになるのをグッとこらえ、息子に聞きました。
私「宿題はやる約束でしょ!いつやるの?もう塾やめるの?」
息子「やるよやるよ。塾はやめないよ~」

私「じゃあ聞くけど、これから受験生になるわけだけど、今のあなたは受験に対して何%の力を出してるの?」

息子「ん~…3%かな」

私「ハッ?3%?!ちょっと!!そのたった3%のためにこっちは諭吉を何十枚使ってると思ってるの?!だったらやめたら?!」

息子「だからやめないって~」

……軽い。軽すぎる。
これからいよいよ受験生になる、という自覚がまーったくないっ!!

でもここでこれ以上怒ったところで、親子げんかになってお互いイヤな気持ちになって、いいこと何もない…!

そこで私は塾宛にメールを送ることにしました。
(ちなみに、この「今〇%」は受験期間、便利な言葉でした。本番を100%にするために、今は〇%にして、ここで〇%…と、長期間を過ごすうえで、子供に理解してもらいやすいのでオススメです)

「長文失礼します。。」
から始め、私のフツフツと煮えたぎる腹のうちを、ババーンとメールにぶつけました!

・この10日間の休みの間、テキストを1ページも開かなかった
・息子は自分の力の3%しか出してないらしい
・親が言っても全く響かない
・受験はやめないと言っている
・是が非でも先生のほうから息子に、ドカンと一発気合い砲を放ってほしい
・そして私がメールを送ったことは内密にしてほしい

これらを伝えました。
電話でもよかったのですが、メールのほうが全員の先生が目を通すので、親の気持ちを均等にくみとってもらえるのではと思ったのです。

その日のうちに先生からお電話があり、
「お母さま、大丈夫ですか・・・」と心配していただき、再度希望を伝えると「わかりました。お任せください」と心強いお言葉が返ってきました。

息子は塾であったことを話さないのですが、どうやらバシッと気合いの入った言葉をかけてもらえたようです。

あと、受験生後半の秋ごろから始まる過去問の取り組みでも先生に対応をお願いしました。普段の宿題と違い、過去問は取り組む学校と年数が各自で異なるため、基本的に生徒側で予定を立てなければいけませんでした。

スケジューリングは、中学受験において親の大切なしごとです。
でも予定を立ててカレンダーに書き込んでも、宿題のように絶対やらなければいけないことでもないため、優先順位がどうしても低くなってしまいます。やっと取り組んだと思っても自分の得意科目ばかりやったり、適当に解いていたり、見ている親からすれば突っ込みどころ満載のやり方をしていたのです。

もちろんアドバイスはしましたが、ガンコな息子は素直に聞き入れません。親子バトルは避けたかったので、塾に電話をかけ、過去問のスケジューリングや解き方を先生から口をきいてもらえるようにお願いしました。もちろん、親から連絡があったことは内緒にしてもらいました。

子供からしても、しょっちゅう先生から呼び出されていたら効き目が半減してしまいますが、たまに呼び出されるとドキッとするはずです。その時に注意された言葉は、親の言葉の10倍以上の効果があるように思います。

単なる人生のステップの一つである中学受験のために、子供が自信を失ったり、親子関係が破綻するようなことは絶対にしたくない!という思いが私には強くありました。

先生側からも保護者会等で「我々を使い倒してくださって結構です」とも言っていただいていました。
ほどほどの距離感で、先生という立場を使わせてもらう。
子供には「塾の先生は受験のプロなんだから、プロに聞くのが一番よ」と伝えておく。そして親の言葉を先生に代弁してもらう。
塾の先生をうま~く使うこと。

これも親の大切な役割なのではないかと思います。

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