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スコーンと葛餅に共通すること

スコーンは「そのもの」を味わうものではなくて、クロテッドクリームとジャムを美味しく食べるための媒体だと思う。コーヒー屋さんやパン屋さんに売っている三角形で、チョコチャンクやクランベリーが入っているタイプもあるけれど、自ら購入するような魅力を感じない。(美味しいところがあったら教えてください)ちなみにシフォンケーキやパウンドケーキは「生地そのもの」をを味わうお菓子だと認識しており、自ら購入することもある。

原作から大好きな『きのう何食べた?』のドラマで、カフェにてスコーンを頼むシーンがあった。このスコーンに渦巻き状に積み上げた生クリームが添えてあって私は平常心を失った。なぜ、なぜスコーンに生クリームが。スコーンにはクロテッドクリームとジャムでしょうがぁ!と北『北の国から』の田中邦衛のようにやるせない気持ちで思った。気持ちの行き場がないので、友人に話し、SNSに投稿したところ、「スコーンにはクロテッドクリームだよね」「スコーンにクロテッドクリームを載せることを知らなかった」というコメントのほか、「クロテッドクリームを先に、ジャムを後乗せするのがデヴォン式、ジャムが先なのがコーンウォール式みたい。アガサ・クリスティーはお酒を飲まないから、食事中はクロテッドクリームをミルクで割ったものを飲んでいたそうよ」という情報まで届いた。SNSすごい。

私はかつてデヴォン州のエクセターという街で語学学校に通っていたことがあり、紅茶とスコーン、そこにクロテッドクリームとジャムを添える「クリームティ」を嗜んでいた。もちろんロンドンでもクリームティを楽しむことはできるが、クロテッドクリームは英国最大の乳牛生産地域であるデヴォン州の名産であり(Wikipediaより)、デヴォンが本拠地だったのだ。私の場合、おいしさに加えて、エクセターのホストファミリー、語学学校の友達、連れて行ってもらった素敵なカフェといった思い出もあって、ひときわ執着が強いのだろう。思い入れがなかったとしても、スコーンにはクロテッドクリームとジャムがめっぽう合うので、まだ味わったことがない方はぜひ食べていただきたい。

スコーンのように、本体を美味しいと思わない食べ物がもう一つある。それは、葛餅。私は自分のお宮参りが川崎大師だったので、川崎大師参道の名物として知られる葛餅を母が時折買ってくる。黒蜜ときなこがかかっているところはまあいい。かかっていない灰色の葛餅だけを食べるとうぇっとなる。味がない。消しゴムを思い出す。東京土産を探していた時おいしいと評判の発酵葛餅を食べた。うぇっとならなかったけれど、おいしいとは思わなかった。ちなみに黒蜜ときなこは、残ったお皿に牛乳を入れ溶かして飲むくらい好き。葛餅の餅部分はあまり味がないので、黒蜜ときなこを食べるための媒体ではなかろうか。発酵葛餅を超える何かが開発されない限り、私は自腹で葛餅を買わないだろう。

黒蜜ときなこつながりでいえば、わらび餅と信玄餅は本当においしいと思う。(信玄餅の工場に行って、信玄餅の詰め放題をしたい)餅に味がついているから。餅単体でもおいしいから。自分で買う。この話を友人にしたら「葛餅もわらび餅も信玄餅も同じくくりで、自分では買わない」と言われた。えええ、そうなの?全然違うよ!「葛餅-わらび餅・信玄餅」には私にとって大きな隔たりがあるというのに。本当に人によって隔たりがあるんだな、と思った。

私はちなみに豆大福の豆が要らない。よく名物になっているから豆大福愛好家が全国にたくさんいるんだろうけど、ごめん、ちょっとわからない。ちなみにところてんは本体に味はないけれど、味がなさすぎるのと喉ごしが良いので、黒蜜でも酢醤油でもどちらもOK。同じ葛でできている水まんじゅうは好き。(本体があんこだし、葛部分が食感に変化をもたらし、良い効果を出しているから。)水ようかんは好きじゃない。(ようかんより味が薄いから)ういろうも、すあまも好き。あんこはこしあん。

※写真は、ミルク寒天にきなこと黒蜜をかけたものです。
#エッセイ #随筆 #スイーツ #クロテッドクリーム

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