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『霊能動物館』加門七海

本屋で加門七海さんをみつけると「おっ!」と思う。同時に「怖くありませんように」と思う。私はオカルトや不思議な話、古代文明や妖精・天狗といったロマン・メルヘン系は好きだが、呪い・怨念とか怖いのは無理。場合によっては恐ろしいこともあるのだが、見えないものを見たりする感覚を持ちつつ、文献を徹底的に調べ、フィールドワークをする加門さんの本は面白い。江戸に張り巡らされた結界の時は地図に一つ一つマーキングして形をあぶりだしたりしてワクワクした。今回は不思議な力を持つとされる動物の本。

始まりは「狼」。私の周りでもちょくちょく話を聞く三峯神社。眷属として狼をお借りできるそうだが、どうも本当に何か一緒についてきてくれるという。日本人と狼、犬の関係とは。そして狐、馬、猫、鳥、人魚など。中でも私が面白かったのは「狸」の話。狐は人間しか化けないが、狸は人はもちろん列車や道具など無機物にも化け、しかも完璧に人をだますと気づいてもらえないので、ばらそうとする、とか。弘法大師が好きだったからか、四国にはたくさんの狸がいるとか。他には「憑き物」として管狐(『地獄先生ぬ~べ~』でいずなちゃんが使っていたな・・・)などの列島分布や考察など。ちなみに、最後に上野動物園の元園長の解説が。この視点もいい。

それぞれの動物にまつわる不思議なエピソードには、割と最近のものもあったりする。恐ろしい目に遭うのは嫌だけど、ファンシーな体験はしてみたい!と都合よく思う。また本屋さんで出会うのをとても楽しみにしている。

94 霊能動物館


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