プリニウス

『プリニウス』 1-8巻 ヤマザキマリ、とり・みき

私は人の名前が覚えられない。直接会った日本人の名前も難しいのに、昔の人や外国人は難易度が高すぎる。でも、歴史には面白い話がありそうだし、人生の役にたったりするらしいので読みたい。そこでマンガなら頭に入るかもしれないと、『プリニウス』を読んでみた。

プリニウスは西暦23年-79年に生きた古代ローマの博物学者で政治家、軍人。ローマ帝国の属州総督をしながら各地を巡り、百科全書『博物誌』を記した。古代ローマNo.1の知識人にして、風呂好きの愛すべき変人で、『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんが「どうしても、この男が描きたかった」という男である。このマンガはヤマザキマリさん単独ではなく、とり・みきさんとの共作で、イタリア人も驚く緻密な背景や博物誌に出てくる架空の生き物(人魚?半魚人?やアフリカ大陸に住むというペラペラの人など)はとり・みきさんが描く。ストーリーもヤマザキマリさんによるネームを、とり・みきさんが編集者のようにブラッシュアップしていくらしい。二人の合作による本書には、彼女たちの「とりマリ対談」が必ず収録されている。

プリニウスの舞台は悪名高きローマ皇帝ネロの時代。ネロは母を殺し、妻のオクタヴィアを流刑にし、新しい妻ポッパエアと暮らしている。ネロはプリニウスを身近に置きたがるが、プリニウスはそんなネロの支配を逃れるためにお膝元ローマを離れ、 属州総督として各地を歩く。

とりマリ対談にも書かれているが、プリニウスの史料が完璧には残っていないので、そういったところは脚色しているそう。いきなりインディージョーンズ風に探検したりするのは、びっくりするけれど、ずっとシリアスなのもしんどいので楽しい息抜きだと思う。他にもプリニウスの猫の視点でプリニウスの暮らしを眺める回などもあって、マンガ家2人が楽しんで描いているのがわかる。

この文章を書くにあたって、Wikipediaを読み返したら、けっこう理解ができる!マンガを読んでいなかったら、ちっとも頭に入ってこなかったと思う。マンガすごい!

漫画287-295 『プリニウス 1-8巻』 ヤマザキマリ、とり・みき

マンガサイト『アル』にレビューを書きました。
古代ローマNo.1の知識人、風呂好きの愛すべき変人とローマ帝国を探ろう!

▼ヤマザキマリさんのエッセイ。


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