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孤高の上海ハニー(ジュリア)

3歳か4歳の頃 おじいちゃんとよく散歩に行っていた
当時中国に住んでいたのだけど、
当時の中国の道路事情は未開発で、舗装されていないとか、
突然穴が開いているとかがざらだった。
おじいちゃんは私が転ばないようにと、
いつも手を引いて誘導してくれていた。

その日もいつものようにおじいちゃんと散歩に行ったのだけど、
なぜか私は手を引っ張られて誘導される事が許せなかった。

「私より先を歩かないで!!」

そう叫びながら、おじいちゃんの手を振り払い地団太を踏んだ。
昨日までは何も思わなかったのに、この時急に嫌になった。

一人っ子で、何でも自分が優先されていた。
いつも自分が一番だった。
それなのに自分の先を歩いている人がいる事が許せなった。
それが自分のおじいちゃんでも。

おじいちゃんは「はいはい」と私をたしなめて、
前に行かないように私の横を歩いていたのだけど、
わたしはおじいちゃんが少しでも横からはみ出して私の前に出るたびに、
猛烈に怒るというのを、自宅に帰るまでずっと繰り返していた。

この時の感情は今でも鮮明に覚えていて、
私が一番じゃなきゃ気に入らないと強く思っていた記憶がある。

そしてその気持ちは今もあるのだけど、
その気持ちはいつの間にか表に出さなくなった。
理性的になるってのが大人になるって事かもしれない。
だけど、あの日のようにもう一度思うがままに振舞えば、
人生というデコボコ道も、上手く歩けるようになるかもしれない。

※この文章は、インタビューを元に加筆修正を加えたものになります。

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