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痴漢のモチベーションはどこから来るのか

世界中をまわっている旅人が、JR埼京線に乗っていると、一人の男がドアの近くで難しい顔をして女性の尻を触っていた。旅人はその男のそばに立ち止まって、

「ここでいったい何をしているのですか?」

と尋ねた。

「何って、見ればわかるだろう。痴漢に決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここで尻を触らなきゃいけないのさ。あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日尻触りさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。

「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」

旅人は、その男を駅員に突き出して、旅を続けた。

丸の内線に乗り換えて一息つくとと、一生懸命痴漢をしている別の男に出会った。先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。

「ここでいったい何をしているのですか?」

「俺はね、ここで電車が揺れた時だけ手に尻が触れる奇跡の空間を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は気持ちを落ち着かせていられるんだ。ここでは、気持ちを静める仕事を見つけるのが大変なんだ。俺なんて、ここでこうやって仕事があるから落ち着いて生活することに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」

旅人は、男を駅員に突き出して、歩き続けた。

また、次の路線に乗り換えると、別の男が活き活きと楽しそうに痴漢をしているのに出くわした。

「ここでいったい何をしているのですか?」

旅人は興味深く尋ねた。

「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る新しいカルチャーを造っているんだ!」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」

旅人は、その男たちを全員駅員に突き出して、また元気いっぱいに歩き続けた。日本は本当に痴漢が多い。

【追記】
変な方向にモチベーションの高い奴は、まじで質が悪い。


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