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優しい手(海を越えるアサギマダラさん)

小学校に入る前だから、5歳か6歳の頃だと思います。 当時の私は体が弱くて、風邪をひくといつも高熱を出して寝込む程重くなっていました。 頻繁に熱を出す私に、両親は大変だったんじゃないかな。

私が熱をだすと、いつもお母さんが看病をしてくれていた。 でも、印象深かったのはお父さんの話。

お父さんは仕事から帰ると、真っ先に私の部屋に来て、 ただいまも言わずに、「辛かったね」と優しく言いながら、ぎゅーっと強く抱きしめてくれる。 そして、ゆっくりゆっくり、上から下へゆっくりと、何度も繰り返し背中をさすってくれた。 「大丈夫だよ、大丈夫だよ」そう言いながら、私が落ち着くまで何度も繰り返して。

幼い時の事を思い出すと、いつもこのシーンが浮かぶ。 背中に感じる手の感触やぬくもり、耳元でささやかれるくすぐったい感じまで、 リアルに思い起こす事が出来ます。ずっと昔の事なのに不思議だなって・・・

今、大人になった私には癖がある。 それは、私の大事な人たちが弱ってしまっているとき、 そっと寄り添って、その子の背中をゆっくりさすってあげる癖。 「大丈夫だよ、大丈夫だよ」って囁きながら。

終わり

※この内容はインタビューを元に、加筆修正を加えて作成しています。

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