「 (25) 」2023/08/22

恥かしながら最近毎朝新聞を読むようになった。
社会の情勢を知らなすぎる自分に向き合うことを避けてきたが、
今が一番若い自分。これ以上無知を積み重ねることをやめようと決心した。


私の年齢は25歳。生まれてから25年の歳月を重ねてきた。

名前の後ろ、(25)の記載にどうしようもなく目が留まる。
同じ歳月を重ねて、彼は、彼女は、そこに辿りついたのか。
なんとも言えない不思議な感情に駆られる。

アフリカ移民の記事を読んでいた。密航斡旋業を営む男性(25)。

生まれる場所は自ら選ぶことはできない。
あまりにも不条理だ。ひどい話だ。

日本のある家庭に生まれた私。
ギニアのある家庭に生まれた彼。
25年を生きてきた。
「(25)」に私の人生が、彼の人生が閉じ込められている。
新聞には決して拾い上げられることのない、25年の日々がある。

25年前彼を優しく抱いた誰かがきっといるはずで、
家族には恵まれていただろうか、
どんな夢を持っていたのだろう、
初恋はきっと素敵なものであったに違いない。
どうしようもなく、私はこんなことを想像してしまうのだ。

今日もチュニジアで懸命に命を繋いでいる彼が、何か小さな生きる希望を胸に抱くことができますように。

私もここで、生きる。

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