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【Sottoの穴】 第1回 ~見た目で価値を測られる社会~

「Sottoの穴」2019年1月26日に開催したシンポジウム「比較社会漂流記」に際して、Facebook上で連載した全5回のコラム集です。 Sottoのスタッフたちと、シンポジウムコーディネーターの野呂さんに「比較社会の苦しさ」をテーマとして執筆してもらいました。

 執筆・・・(龍谷大学准教授・野呂靖)

 数年前のことになるが「人は見た目が9割」というタイトルの本が話題になった。私もさっそく買って大いに影響をうけた。できるだけよい印象をもってもらえるよう、服装に気をつけたり表情をつくったり、言葉遣いを変えたり。さんざん試してみて、それで疲れ切っていつしかやめてしまった。

 最近では「人間の印象は出会って3秒で決まる」などという恐ろしい内容の本も書店に並んでいる。たぶん同じような内容だろう。いかに人に好かれるか、尊重してもらえるか。両書に共通するのはそうした他者からの承認を過剰に気にする考えであり、しかもそれは文字通り一瞬で決まるというのだ。

 一瞬で評価される社会。それは、すぐに結果を出すことが求められる社会でもある。さまざまな評価の指標のもと、私たちは幼稚園から高校・大学まで延々と評価されつづけて生きている。いや、社会に出て働いてからのほうがもっと過酷だろう。何ができ、何ができないのか、何をして、何をしていないのか。常に他人の目にさらされ続ける。
そしてこの評価は最期息を引き取った後も続く。「どのような死に方をしたのか」という指標によって。 

 人の人生は、その存在の意味ははたして3秒で決まるのだろうか。なぜ人は、自分や他人を評価し続けて生きていくのだろうか。なぜ、その人そのものの生と死をトータルで受け止められないのだろうか。シンポジウムではぜひこの点を考えていきたい。

~団体について~
私達はNPO法人京都自死・自殺相談センター Sottoです。
「死にたいくらいつらい思いをもつ方の心を居場所づくり」を活動理念に掲げて京都で活動しています。
電話やメールでの相談受付、死にたいほどのつらさを抱える方の居場所づくりや、年に一度のシンポジウム開催などを行っています。
団体としての思いを以下の記事に書いていますので、よろしければ併せてお読みください。

あいさつ

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