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東南アジアに来て7年、子供はどうなるか


日本の学校を辞めてマレーシアに来た子たちは、その後どうなるのか。
私は「東洋経済オンライン」やAERAの取材などを通し、合計100組ほどの親や子にインタビューしてきた。インターナショナル・スクールのツアーも仕事上行っており、自分自身も子育てを通じ、多くの親子と関わってきた。子育ては実に一人一人違う。子供の性格も親の性格も違えば、マレーシアの場合教育機関もそれぞれかなり違う。
そんな中で、最近、一定の傾向のようなものがあることに気づいた。結論から言うと、長年いると、その子本来が持つ個性が際立ってくる子が大変多いのだ。
あくまで傾向で現時点での荒削りな仮説でしかないが、これから来る人たちのために共有しておきたい。(全6100文字)
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(目次)
初めのハードルは英語
日本で英語を学んで伸び悩む例もある
語学の上達は子供の性格にもよる
「孟母三遷」になる人々
いろんなことをやらされる
マレーシアのティーンが穏やかなのはなぜか
「自己決定力」が鍛えられる
個性が際立ってくる
Fall in loveしてしまった子たち
オーダーメイドになっていく教育


マレーシアで学ぶ日本人の子たちが増えている。来た事情や年齢は実にそれぞれ。転勤、日本脱出、教育移住、親の東南アジア進出というものもある。なかには当初転勤で来たものの、現地が気に入って母子で残っている人たちも少なくない。

ほとんどの日本人家庭ではインターナショナル・スクールに子供を入れる。マレーシアには複雑な事情もあり、インターナショナル・スクールが100校以上ある。日本と違い、外国人のためではなく、マレーシア人のために作られているものが多い。

マレーシアでは普通の中流家庭が子供をインターナショナル・スクールに入れるのが珍しくない。日本人にとっては、多様な環境の中で英語が学べ、ビザも出るので人気が高い。

一方で、公立などのローカル学校に子供を入れる日本人の親は少数派だ。複数言語が必須で、卒業資格試験も厳しい。クラスの人数が多い、子供が多すぎる、授業が午前と午後に分かれている、ビザが出ない、などさまざまなハードルがあるのだ。けれど、ローカルの親にはいまだに公立の方に軍配をあげる人が多いのも事実だ。

初めのハードルは英語

日本人の子供にとって、まず最初の関門は英語である。

「子供を連れて来れば、すぐに英語なんて覚えるでしょう」と思ったら甘い。実は英語を母国語としないマレーシアですら、日本人にとって英語のハードルは結構高い。

小学生でも、英語が結局できなくて、なじむのを諦めて帰ってしまう人も少なくない。中学生になると、本人の自主性なしには二進も三進もいかない感じになる。

余談だが、「日本語が不自由な児童達」が日本でも話題になっている。「英語力ゼロの子」は、その逆バージョンを考えればすぐにわかるだろう。

英語がわからないまま現地の学校に入り、結局語学が伸びないままに置いていかれる子もいる。誰もが「英語で教える学校に放り込めば自然に英語ができるようになる」というわけではないのだ。

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