miri(㍉)

#彼は彼であって彼じゃない #ブログをやめた人 (連載中)

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最近の記事

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ブログをやめた人①

今でもはっきりと覚えている。ブログを始めた日のことを。 私がブログを始めたのはお金のためだった。 当時は時代でいうと、FIREという経済的自立と早期退職を意味する生き方が、世のサラリーマンを中心に大きな注目を集め始めた頃だった。 FIREに特に強く関心を示していたのは、現在の働き方に不満や不安を持つ者たちで、私もそのうちの一人だったのだ。 私はとにかく、仕事がつまらなかった。 こんなことを言うと嫌みっぽく聞こえるが、何をしても上手くできてしまい退屈だったのだ。 子供のころ

    • 報告と御礼「いつかの私に勇気をくれた見知らぬあなたたちへ」

      サクラ咲く今日、久しぶりに投稿したのは、 みなさんへ報告と御礼をしにきました 職場でのいやがらせを上司に相談して1年半 上司に見切りをつけて会社総務に相談して1年 ようやく、戦いが終わりました 相手の懲戒処分が決まりました めまいで朝起き上がれなかった日もあったし 会社のトイレで咽び泣いた日も、 通勤途中に涙が止まらなくなり出社できなかった日もありました 上司や総務に相談し始めた頃は、相手が逆ギレして嫌がらせが酷くなったこともあるし 信頼して相談してた先輩が、嫌がら

      • 忘れてあげない

        突然告げられた別れは私の脳みそを貫いた。 あまりに驚きすぎて心はなんともなかった。ただ、頭を強く打たれたような衝撃が走った。 それが別れを告げられた瞬間の感覚だった。 30秒経って、彼がなんと言ったのか理解した。 1分経って、ようやく呼吸ができたような気がした。 5分経っても彼の顔を見ることはできなかった。 20分経った頃、彼が荷物を持って家を出て行った。 20分と3秒経って、いまさら涙があふれてきた。 30分経っても、それからさらに1時間経っても涙はポロポロ

        • 減点方式の社会

          100点満点のテストで20点をとると 「20点取った人」と見られるのが子供で 100点満点のテストで80点をとると 「20点落とした人」と見られるのが大人だ 社会は、わたしたちが80点取ったことよりも 20点取れなかったことに注目する 大人になると減点方式なのだ 子供の頃に積み上げたテストの点数たちは 自尊心というものだったと今になって気付く あるいは、自己肯定感とも言うかもしれない いつも20点だった歴史のテストだって わたしが80点分落としたことを責める人は誰も

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        ブログをやめた人①

          心に傘と、脚に支えを

          「止まない雨はない」なんて、励ますつもりで言ってるならやめてほしい。 止まない雨がないことも、明けない夜がないことも、十分理解している。 雨が止まないことが悲しいわけじゃない。夜が明けないことが辛いんじゃない。「いつになったら陽の光を浴びれるのか」それがわからないから辛いのだ。 「止まない雨はない」なんて、助けるつもりで言ってるならやめてほしい。 その言葉がもたらすのは救いではない。雷(いかづち)だ。 雨が止むのを待つことしかできない、そんな現実を叩きつけられるような

          心に傘と、脚に支えを

          わたしのじぃちゃんについて

          わたしのじぃちゃんは不老不死でした。 物心ついた時から、じぃちゃんは爺ちゃんで、 一緒に過ごした二十数年の間、じぃちゃんはずっと爺ちゃんでした。 わたしが5歳の頃、 じぃちゃんは蛇に噛まれて指がだるまみたいになったけど、全然平気そうでした。 わたしのじぃちゃんは不老不死なのかもしれないと思いました。 わたしが10歳の頃、 じぃちゃんは鎌で手をザクっと切ってたけど、小さな絆創膏1つ貼っただけで病院にも行きませんでした。 わたしのじぃちゃんは不老不死なんだと思いました。

          わたしのじぃちゃんについて

          ハッピーエンドよりも【3/3】

          むかし誰かが言っていた。 “恋愛映画を観て頭に思い浮かんだ人物が あなたが恋をしている相手だ”と。 普段はアクションやサブカルもの、ほのぼの系を好んで観る私だが、個人的にハズレがないと思っている監督の新作が気になり、あの日は珍しく恋愛映画を目当てに映画館に足を運んだ。 主人公は独自の”好み”をもつ男女2人。 趣味が合う彼と彼女はあっという間に意気投合して仲良くなり、会うたびに距離が縮まっていく。 2人が恋人になるのに時間はかからず、誰の目から見てもお似合いで、付き合うの

          ハッピーエンドよりも【3/3】

          953【2/3】

          2021年12月24日 この日のために1ヶ月間、駅前の夜を彩り続けたイルミネーションと この日のために誰かを想い準備をしてきた人たち 街全体が浮き足立って、星を散りばめたフィルターがかかっているようにみえる。 そんなクリスマスイブが好きだった。 誕生日からおよそ1週間後にやってくるこのイベント 我が家ではケーキ月間にならないよう、クリスマスにはアイスケーキを食べる。 何度溶けても冷凍庫に入れれば次の日も、また次の日もクリスマスの楽しい気分が続くし 仕事が忙しく、一年

          953【2/3】

          私の「」なもの【1/3】

          子供の頃、「すき」という言葉はとてもシンプルだった。 その2文字はただただ甘酸っぱく その響きはただただ心を弾ませた。 大人になった今はどうだろう。 年月と共にいろいろな恋を知り、その二文字はたくさんの意味を含むようになってしまった。 本当はもっと単純なはずなのに。 「彼」の隣で初めて眠った日の朝、布団の重みで目が覚めた。 背中に熱を感じて振り返ると、昨日まで”ただの仲が良い先輩”だった彼が静かに呼吸をしていた。 頭の先から順に、姿を確認していく。 どうやら夢で

          私の「」なもの【1/3】

          最終回は最後であって最後じゃない【彼は彼であって彼じゃない⑦】

          12月中旬 その年1番の寒い日だった 待ち合わせ場所に到着すると、やっぱり彼はすでに1杯目のビールを飲んでいた。 彼の2杯目と私の1杯目の生ビールを注文して、料理を待っている間、彼が鞄から紙袋を出してきた。 「誕生日おめでとう」 その日の数日前が私の誕生日だったのだ。 すごく嬉しかった。 誕生日を覚えていてくれたことと、悩みながらプレゼントを選んでくれたこと。 彼はお世辞にも細かい性格とはいえない。 だからこそ尚更、嬉しかったのだ。 ビールが二杯と、小さな鍋が運

          最終回は最後であって最後じゃない【彼は彼であって彼じゃない⑦】

          ザ・フール【彼は彼であって彼じゃない⑥】

          突然ですが、皆さんは異性の脈ありサインを見抜けるでしょうか? 私は、わりと得意です。 観察力と五感が他人よりちょっと優れているので、周りからも「勘がいい」とよく言われます。 さて、話を本題に戻します。 朝まで2人で過ごした私と「彼」は、お酒が抜けきった頃に車で帰路についていました。 お互いオールするほど若くはないので、車内はどことなく口数少なめ。 私が窓の外を見ながら、なんとか一晩乗り切ったという安堵感を噛み締めていると、彼がひと言 「俺、男としてアリかな」

          ザ・フール【彼は彼であって彼じゃない⑥】

          防御力ゼロのバリケード【彼は彼であって彼じゃない⑤】

          時刻は午後8時 2時間前に外にいた時よりも風が一層冷たくなっていた。 「2次会どうする?いく?」 と聞かれたので、「行きますか!」といつものように返事をする。 お忘れかもしれませんが、私のスタンスはこの時でも変わらず、 何も始まらせない何も終わらせない。 できるだけ「いつも通り」を心がけて 変に防御を固くしたり、変に意識したりしないよう心がけていた。 「お腹もいっぱいだし、ウチで飲み直す?」 こちらが脳内でスタンスの確認をしていた矢先、彼が仕掛けてきた。 「う、

          防御力ゼロのバリケード【彼は彼であって彼じゃない⑤】

          充足感ってこういうこと【彼は彼であって彼じゃない④】

          電話で話した次の日、待ち合わせ場所の個室居酒屋へ到着すると、「彼」はすでに一杯目のビールを半分飲み終えていた。 私も生ビールと料理を少し注文すると、注文を終える前に彼がビールを飲み干して二杯目を追加注文した。 緊張していたのだろう。 他愛もない話をしていると、料理と二杯のビールが届いた。 「おつかれさま」とグラスをコツンと合わせて乾杯をし、料理の感想を軽く言い合う。 彼は必ず一言添えて「乾杯」をする。美味しいものには「美味しい」という。店員さんとも仲良く話す。 今

          充足感ってこういうこと【彼は彼であって彼じゃない④】

          「ただの仲良しな先輩後輩」【彼は彼であって彼じゃない③】

          「転勤するって聞いたけど本当?」 彼が私の転勤をどこかで知ったようだ。 後から聞いた話だと、私と仲が良い「彼」が転勤を知らないはずがないと思って、チームリーダーが話題に挙げてしまったらしい。 一瞬動揺したが、いつか知るかもしれないと予想していたので、出来るだけ「軽く」返事をした。 『バレましたか!』 返信するとすぐに電話がかかってきた。 ひと呼吸おいて通話ボタンを押し、出来るだけ「軽く」挨拶すると、彼が一気に話し出した。 動揺と混乱と疑問がごちゃ混ぜになった彼は

          「ただの仲良しな先輩後輩」【彼は彼であって彼じゃない③】

          何も始まらなければ何も終わらない【彼は彼であって彼じゃない②】

          令和3年も残り1ヶ月に迫った頃 以前から希望していた異動願いが通った。 仕事上の直接的な関係がない人たちには通知義務がなかったので、私が来月から異動することを知っていた人は限られていた。 「彼」とはチームが一緒でも同じ仕事をしていなかったので、私が伝えなければ彼が知ることはなかった。 とても迷った。 この頃は、世界的に感染症が大流行していたので飲み会もほとんどなく、 彼に伝える機会がなかなか無かった。 それ以上に、 伝える時に「仲良しな後輩」を自分が保てるのだろ

          何も始まらなければ何も終わらない【彼は彼であって彼じゃない②】

          昭和ジェントルと平成ガール【彼は彼であって彼じゃない①】

          社会人になって1ヶ月が過ぎた頃、平成が終わった。 2019年5月 31年続いた平成の時代がおわり、令和がやってきたのだ。 平成生まれとしては、自分が過ごしてきた日々が色褪せていくような気がして、なんだかソワソワしたし、 冬に更新したばかりの免許証に書いてある「平成36年」は幻になった。 ちょうど同じ頃、新人研修を終えた私たち新卒は、希望が通ったり通らなかったりということはあったが、それぞれが無事に各部署に配属された。 私が配属されたのは100人くらいの部署だったが

          昭和ジェントルと平成ガール【彼は彼であって彼じゃない①】