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勘違いも甚だしい

芸能界というのは、こんなに世間と懸け離れた世界なのかと改めて思う出来事が多い。芸能事務所と所属タレントの隷属とも思える契約内容やジャニーズ事務所における性加害事件、そして今回の宝塚歌劇団の所属団員の自死により発覚したパワハラなどの労働環境問題。

かつては修業中という名目で、目上の先輩たちに従うという社会構造は芸能界だけでなく、一般社会にも存在した。例えば料理界、スポーツ界では“鉄拳制裁”は日常であった。しかしそれは修業する者の奮起を促し、ステップアップさせるということで、本人も了承していたところはある。

時代は根性論から合理性、論理性、機能性を求められる時代へと移り変わってきた。しかし多くのフアンを持つ宝塚歌劇団は、伝統の意味を履き違えていたのではないだろうか。フアンは演出される歌劇に感動を覚えているのであり、その労働環境に賛同している訳ではない。下級生に対して上級生が躾というパワハラを行わなければ、あの歌劇を演じることができないとでも言うのだろうか。『清く、正しく、美しく』と言われた歌劇団のイメージにそぐわないと思わなかったのだろうか。役をいただいて出演するのは、個々の努力は必要に思われるが、他人からのパワハラなくして得られないほどのものなのだろうか。

今回、パワハラをした上級生などが問題視されているが、その方もかつては同様のパワハラを受けてきていたのであれば、パワハラを継承してきたという間違った伝統を築いてきたことになる。それは事件の当事者だけでなく、歌劇団の組織に問題があるということである。

『清く、正しく、美しく』を実践するのは、組織そのものなのではないだろうか。今回の会見でも思うのは、どこか他人事のように思っているのではないだろうかと視聴者にイメージさせる役員たちの対応である。真に必要なのはパワハラを以て彼らに伝統を教えなければならないのかも知れない。

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