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グルテンフリーは健康にいいのか?

お疲れ様です。Dr.たっちぃです。

最近よくグルテンフリーという言葉を聞きますよね。

欧米の小麦を主食とする国々でグルテンが含まれない炭水化物に注目が集まっており、テニスプレーヤーのジョコビッチ選手が取り入れていることで話題になっています。

スーパーの棚などでグルテンフリー製品をよく見ますし、麵類やパンなどでもグルテンフリーの食品を見かけます。

では、このグルテンフリーは健康によいのでしょうか?

グルテンとは

グルテンは、小麦、大麦、ライ麦などの穀物に自然に含まれるタンパク質の混合物です。

生地の弾力性に関与しており、パンにモチモチとした食感を与えているのもグルテンです。パンの生地を膨らませるために添加されることもあります。

小麦のグルテンを構成する主なタンパク質は、グリアジンとグルテニンの2つです。グリアジンはグルテンの一部で、人によってはアレルギー反応を示すことがあります。

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グルテンフリーは健康に良いのか

結論から言います。

・小麦アレルギーの方
・セアリック病の方
・グルテン不耐性の方

それらの方を除いては、グルテンフリーで健康になれるというエビデンスはありません。

グルテンを避けるべき方

・小麦アレルギーの方
小麦アレルギーは、グルテンが原因ではないですが、小麦を食生活から取り除くことになるので、自ずとグルテンフリーの食生活になります。
私の家族が小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーを持っているので、私も家族と食卓をともにする際はグルテンフリーの生活を送っています。

・セアリック病の方
セアリック病はグルテンが原因で発症する遺伝病で、グルテンにより小腸に炎症が起き、下痢、おなかの張り、全身の倦怠感、体重減少、貧血などの症状が表れる。日本人では2000人に1人くらいの割合なので、かなり頻度が少ないです。
こちらは、病院に行くと簡単に診断ができます。

・グルテン不耐性・グルテン過敏症の方
セアリック病と診断されなくても、小麦によって下痢、腹部膨満感、関節痛、脳のモヤモヤなどの症状が出ることがあります。グルテン不耐性や非セアリックグルテン過敏症と呼ばれます。

もし、小麦を食べることで体調が悪くなる、という方がいれば、上記3つの可能性があります。病院で診断できますので、気になる方は、医療機関を受診することをお勧めします。

グルテンフリーで損をする方

上記に該当しない方でも「健康によさそう」という理由で、グルテンフリーを選択するケースが見られます。

しかしながら、グルテンフリーにすると、本来取れていた栄養を摂れずに、むしろ栄養バランスを崩してしまう危険性があるので、グルテンフリーにしないことを推奨されています。参考論文(Lebwohl et al., 2017)

その結果、グルテンの摂取量が少ないグループは、冠状動脈性心臓病のリスクが上がることが、227万人を26年追跡調査した研究結果から分かっています。参考文献

ですので、自身が何かしら小麦やグルテンに対するアレルギーや病気を持っていない方は、グルテンフリーは推奨しません。

もし、効果があったと感じても、おそらく気のせいです。

グルテンフリーに関する難しい問題

最近、非セアリック病グルテン過敏症というグループが発見されました。こちらはセアリック病の診断に引っ掛からないものの、グルテンにより体調が悪くなります。(参考文献)

残念ながら、非セリアックグルテン過敏症を診断する臨床的方法はありません。

この点が、人々がグルテンフリーを魅力的に感じてしまう点です。

特に、上記3つの症状がないのにも関わらず、

「もしかしたら自分がグルテンフリー過敏症かもしれない」
「小麦を抜いたら健康になれるんだ」
「グルテンフリー生活をしている自分、頑張ってる」

というトレンドに乗って、安易にグルテンフリーを始めるケースが多いです。

その食生活で本人が幸せなら何も言うことがないですが、食品選択の幅を狭めて本人が食べたいものを食べられない、栄養バランスを崩して将来的に病気のリスクを上げてしまう、という不幸せなケースに陥らないことを願ってます。

私自身、家族が小麦アレルギーなので、食の選択がかなり狭まって、とても残念に感じてしまうことが多いです。

まず、ご自身が本当にグルテンフリー生活をするべきなのか、よく考えて、時には医師にご自身の症状を相談して、決断されるとよいと思います。

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