見出し画像

労働者党の逆襲

 Twitterをやってみてよく聞かれたのは「労働組合」って何やっているのかわからない、詳しくない。それだけ特殊な団体だと思われている事に非常に驚きですが、そう思われても仕方ないかもしれないです。排他的なわけではないですが、極めて市民運動と距離を取り、身内ばかりというか企業別の単組の倫理ばかりが優先される組織において組合に入ってない人は分かりにくいでしょう。
 労働組合の収入は組合費で1番支出が多いのは人件費です。ようは普通の会社組織と似て非なるものですが、これといって特別な事をやっていません。人件費の次に多いのが交付金でこれは地域協議会の予算です。当然地域協議会も人件費がかかるので地方の連合の予算は人件費が3割から4割が人件費です。まさに普通の会社組織と変わらないです。
 連合でこの有様ならいわゆる共産党支持の全労連も似たようなもので組織率が下がっているのは連合も全労連も一緒。つまり全く全労連が受け皿として機能していないと同義です。反共扱いされる連合ですが、そもそも産別クラスでようやくであり小規模の単組だとそもそも共産党とあまり会ったこともないので「反共」という話は歴史的スローガンになっているだけです。全労連も上部団体は勇ましいですが傘下単組にでもなれば組織を維持するだけで精一杯です。ただ若干全労連系の方が団結力が高めで長老クラスもそれなりに引退するような状況でもなく組織の立ち上げはまともに経験のない連合オルグに比べれば巧みだと感じる事はあります。
 連合はオルグの育成に熱心ですが経験者も少なく伝説的なオルグの神様で長きにわたり連合の相談員を務めていた二宮誠も亡くなりました。組織率もかつて自民党も舌を巻いた組織選挙も昔ほどのローラー作戦ができないため集票力は年々低下しています。私が組合の選挙に初めて動員された時はとにかく選挙前に労組や支持者の名簿を作成し、選挙戦ではその名簿をもとに人員を動員して組織票にする作業は結局候補者が靴をすり減らして一人一人握手する気概がなければまともな運動になりませんでした。今はネットで有権者でもない人が身勝手に反共だー立憲共産党だーと無責任に騒ぎ立てているイメージです。民主党は一応まだ労組と一蓮托生でしたが立憲民主党や国民民主党は随分と労組を軽んじている事も多いです。軽んじられても仕方ないけど。
 労働者のための政治ははっきり言って職種ごと問題が違い、統一された政策は打ち出せません。経済政策一つとっても色々な考えがあってどうやって多くの労働者のための政策になるのか労働組合も分からずスローガンばかりが虚しく響きます。派遣雇用を無くしたところで、どこまで労働者を助けられるのか?企業が安く正社員にして名ばかりの待遇を与え結局労働者の一部はインフォーマルセクターに流れ込んだのがメキシコの派遣法改正でした。雇用問題は改善したつもりが結果としてもっと面倒な問題が浮上する事よくあります。労働者党の逆襲は来年起こりえるのでしょうか?

選挙が下手に?

 上記した二宮誠はオルグの鬼と呼ばれましたが選挙も熱心でした。彼は著書で小沢一郎選挙術を誉めています。個人的に小沢一郎は苦手ですが選挙に限って言えば彼の手法は正しいです。もはや歳を取りすぎて自分が落選しましたが。
 小沢が民主党代表だった時、ある労組の集会に出席しようとしました。秘書は「どこか会場を借り切って、労組の組合員を集め先生の演説を聞かせましょう」と小沢に言ったそうです。小沢は秘書に「こっちが投票を頼むのに、わざわざ組合に交通費出させるなんて非常識な事ができるか。俺たちが行くんだよ。」と言ってわざわざ100人単位の小さなところまで挨拶に出向いたそうです。小沢は嫌いですが、この程度もできずにネットウケすればいいという候補者が現在の民主党がいまいち伸びきれない要因です。自民党は地域の空手同好会みたいなところまでわざわざ出向く人がいるのに民主党の政治家はネットでおちゃらければ票が出ると思っているらしいです。枝野、玉木、前原、山本太郎。福島瑞穂も同じスタイルの選挙活動かもしれません。
 私の私見ですが選挙は別に自分のイデオロギーを開陳する場ではなく相手より1票でも多く票を奪い取るものでそこにはスポーツマンシップはなく、どう綺麗にやっても泥試合を仕掛けるしかないのです。怪文書は飛び交って当たり前の選挙戦で味方になるはずの勢力を腐し、政治ゴロにハマる候補者が多いのが現在の民主党が伸びきれない大きな原因です。票を積み上げるのは大変ですが、票を溶かすのは簡単なんです。一部の旧民主党候補者は票を溶かすことばかりやっている。そして一部はイデオロギーに基づいて支持者を固定化しようとしている。敵を作らず相手候補者だけを打ち破るのが選挙の秘訣でそれがやれている人は民主党の政治家にいなくなりました。あの小沢ですら小さな小さなコアな支持者だけ優遇しているだけでもはや民主党に選挙が上手な人はほとんど存在せず今後もこの傾向を改めないと厳しいでしょう。

ポスト社会主義模索中

 冷戦終結は共産主義どころか社会主義も「第三の道」路線が主流になりクレメント•アトリー路線はすでに失敗した政策になりつつあります。ただ資本主義は万能なイデオロギーだったわけではありません。その歪みは全世界で多くの矛盾を生み出しています。政治右派で経済右派の保守派もまだまだ根強いですが、減税派も財政再建派も袋小路に入っています。それに対していわゆる左派政党は社会主義ではない新たな左派の経済政策を模索していますが、それについてはどうしても無駄削減をいまだに引きずっている感じがします。民主党政権は反自民連合であり、自民党特有の多くの利権問題に引き摺り込まれた市場万能主義から新しい経済政策を打ち出すことはできませんでした。どこまで行っても自民党の亜種です。崩壊した社会主義。それに変わる新しい対抗軸は随分右派が混じったポスト社会主義者なら厳しいでしょうね。再国有化政策は今できそうにないです。色々なレッテルを貼られると思いますから。

労組が目指す理想郷とは。

 政治運動の行き着く先が資本主義を甘んじて受け入れろという悲しいものでした。そもそも資本主義で何も得ることがなかった人たちが労働組合を作った歴史において資本主義に屈服する未来ならもはや労働組合も歴史的役割を終え、歴史のゴミ箱行きでしょうね。資本主義は万能ではない。新しい道を見つける事が弱りきった組織労働者の使命でしょう。何故ならもはや労組があるだけで既得権益とまで言わないが贅沢な身分と思われているなら組織労働者として予算が使える分、多くの未組織労働者をまき込んだ運動体が必要です。
 日本では微妙に自民党と維新は仲がいい関係ではありませんが、彼らは結局保守派でそもそもアメリカ共和党もイギリス保守党も自民党プラス維新が欧米式保守主義です。
 それなら保守政権を倒すべきですし、危険なイデオロギー維新のネオリベ路線は絶対的に労働組合が受け入れてはダメな思想です。彼らは労働者の消滅を願っています。彼らの頭の中に労働者は存在せず、人件費がかかりにくい都合のいい自営業者に置き換えようとしています。グラウンドキャニオンに柵はない。維新はその歪みきったイデオロギーを押しつけようとしています。労働組合に明日はない。来年は組織化に向けて反攻する年になります。2025年はもうすぐ。2024年は労働者政党の逆襲を全世界に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?