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中道の暴走

 あてにならないWikipediaの記事ですが中道とは急進主義や反動から距離をとった穏健派でイデオロギーに囚われない現実主義、議会制民主主義も擁護し少数派の意見を汲み取る政治勢力を指すと書かれています。日本の政界では極端な人が敵対する極端な人のとりわけ極端な主張を取り上げて糾弾する、分断するというより分断を望む人たちが極端な人に多いので、これが真の意味での中道勢力結集ならドラスティックな改革は無理でも、安定した勢力になるはずが自らを中道と自称する人たちに限ってなまじ社会政策は中道主義だからその他は相当偏っているのに変な信者がついてきてしまう現代政治の現象です。そもそも反動、右派、タカ派の区別もつきにくく、急進左派、リベラル、ハト派も区別がついているとは言えません。海外でも中道主義という言葉はありますが、中道政党は大体社会政策は若干リベラル、経済政策は若干場合によってはネオリベラルというのがスタンダードらしいですが、中道政治家の代表格エマニュエル•マクロンは社会政策がリベラル気味なのをいいことにガンガン新自由主義政策を推し進めています。減税!公務員は削減!解雇規制は緩和!そして何より年金制度改革まで手をつけました。政府の歳出は切り詰めるまさにマルクスよりも息が長いミルトン•フリードマンのイデオロギーがぎっちりとマクロン政権には詰まっています。マクロンは元フランス社会党の人でしたが、社会党イデオロギーを持ちながら経済政策は80年代の政策に固執しています。極右とも、「現代中道」とも労働者は闘わねばならず、硬骨漢な左翼が現在も一定数求められていると思います。

野田佳彦の失敗

 民主党政権は3人の首相を輩出しました。左派政党というより非自民政党という性格が強く、鳩山由紀夫は完全にタカ派の右派政治家でした。菅直人は市民運動出身です。ただ彼もイギリス労働党トニー•ブレアの信奉者で新自由主義的な一面もありました。消費税導入も伝統的な社会主義政策の実現というより、財務省とそれなりに対応していくうちにこれは政策を曲げないと不味いと思った結果だと思います。菅直人がまだ誠実だったのは選挙前に消費税のことを言ってしまった事です。どうしようもなく選挙戦には拙いやり方ですが一国の宰相としてちゃんと選挙でその是非を問おうとしました。
 さて3人目は全く機能していたと言い難いベビーブーマー世代の鳩山、菅直人に比べ彼らより若く政策通だった野田佳彦が首班となりました。野田は松下政経塾という、新自由主義政治家養成校、松下幸之助肝煎の政治塾出身の一期生で、当時伝統的な共同体主義が主流で門閥政党だった自由民主党には松下政経塾出身者の門戸は逢沢一郎と言った世襲議員に限られ、多数は民主党から代議士や参院議員になりました。と言っても小泉政権からそうした旧来の利権誘導型保守主義者から都市型新自由主義者が跋扈し、自民党も急速に松下政経塾の人間を登用しますが。野田は松下政経塾出身者には珍しく社会政策も右派的で、それはまだいいのですが兄貴分になれても親父になれない人材で野党時代「偽メール事件」で大失態をして引責辞任をしています。人柄はいいのでしょう。他人に対しても思いやりがある人なんでしょう。ただ彼の粗忽な面が結果として民主党という党名に泥を塗りました。
 野田も不運な部分もあったとは言え、当時それなりの勢力だった消費増税反対派というより親小沢グループの切り崩しができていたとは思いません。野田は人間的にはいい人だとは思いますよ。希望の党ができた時、排除されるメンバーの一人でしたが「股を潜る頃はできない」と見栄を切りました。ある意味潔かったです。韓信は股をくぐっても大成する人材でしたが野田の場合は股をくぐれば、それも細野豪志が大きな顔をする急造政党であれば誰もがいい顔しないでしょう。いい気になっていた希望の党チャーターメンバーはことごとく失脚しました。
 野田佳彦の派閥は「花斉会」百花斉放から取られているなら、野田は強引に尖閣諸島を国有化を目指しました。正しいと思ったなら彼は暴走を止めません。小沢グループの離反も結局は野田佳彦の政策の良し悪しはともかく性急に事を進める事にありました。野田は野党転落後もまだ身を切る改革を訴えた人間です。反動派から見れば野田は中道的ですが、その新自由主義イデオロギーは消えないでしょう。

議員が身を切っても私達に還元がなければ

 どうもかなりの数の有権者は「議員の給料を下げよう」「そうすれば私達の苦しみも分かるでしょ」ぐらいです。議員は大物になれば様々な圧力組織が非常勤の仕事を用意するので生活は苦しくならないし、その圧力組織を締め付けると実は全く政治と関わりが薄い庶民の生活が苦しくなります。議員が身を切った結果私達の生活が1秒も楽にならないならそれはただの自己満足で有権者がその責任を負う事はしかたない事でしょう。私はなんとしてでも責任を負いたくないのでそう言った身を切る改革の人間を批判し、身を切ると強がりをいう人間には票を入れたことありません。
 アメリカ民主党にはタカ派グループ「ブルードッグ」があります。彼らは民主党最右翼としてある意味アメリカ民主党の幅の広さを肯定していますが、その民主党内で多数派になる努力をせず少数派として存在するだけで一定の地位があります。それはまだいいですよ。ただ日本の場合はその最右翼が首班となり、その最右翼が党内で安泰の地位に就く。組織がぐちゃぐちゃになっても、なんとなく擁護される立場。それはないでしょう。彼は政権に就く前から失態多く、内閣成立後も安倍晋三の挑発に乗った軽い人です。野田がせめて百花斉放そして百家争鳴を成し遂げるなら多少は違う評価になるはずです。自由な意見を求めています。中道という言葉が錦の御旗にならないように。
 岸田文雄も俗に言う中道暴走の典型ですね。中道派できた政治家人生。反動右派も含んだ清和会時代、一種のガス抜きで重用され挫折あれど一気に政権を獲得しました。彼のエキセントリックな政策はまさに「極中道」右でもない左でもないと言う人間ほど暴走をするのです。誰も望んでいないのに中道という言葉を使ってです。

中道太れば、極端な思想も肥える

 中道とは言うなれば「できれば多数派を得たい」というマインドですが多数派は常に正しいわけでもなく、その失敗を数年後多数派が支払う事になるのですが、その時多数派また違う敵を見つけそこから搾り取ろうとするのです。その多数派中道は今は福祉を削減する事で財源を奪おうとしますが、たとえ財源の組み替えがあっても結果としてもっと資金力のある資本家の人気取りに近い寄付活動を補強し、多数派中道の思惑通り行きませんが、あいつらはがめついので次の標的を見つめます。福祉は特権らしいですが、富裕層の税金逃れにはなんとなく甘い「エキストリーム・センター(過激な中道)」は全く支持していません。中道という名の下に彼らはやりたい放題です。極右でもない極左でもない過激派が政権の座についた時結局悲劇です。小泉純一郎は別に自分が保守ともリベラルとも言わなかったのでしょう。彼は中道。封建国家のように地方ではその土地の有力者が、中央はただ見て見ぬふり。自分の取り分確保ならどうでもいいという態度にしか見えないです。
 と言っても政治的な玄人は違うんでしょうね。ぼったくりって大企業もやりますから。庶民に求められているのはラジカルというよりユーティリティですよ。中道主義は現在ユーティリティではなく急進的です。私は先祖にはお布施をしますが、中道主義に額に汗をし、毎日考え、時には大泣きしたいぐらい辛い労働で稼いだ給料をただ単の凡庸な中道派に払うほど安くないんですよ。もう組合役員になって10年以上が経っている今私は後輩の思いを背負っています。主婦が出費を覚悟するのは大体必要経費です。それ以外に金を払わせようとするならずっと生きやすい社会制度を是非魂で訴えてほしいです。

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