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その23)ベーシックインカム時代の住まい

ベーシックインカム社会になった時の人々の住まいは、世帯の所得差がそのまま暮らしぶりになると思われます。これは社会階層もそのまま反映されるし、現在の社会からも続いている世界観に近いものでもあるようです。

ベーシックインカムのみで暮らす層は、部屋を借りてその家賃を払って暮らす人が多数になります。暮らす家も政府からあてがわれた住宅に住む感じになるかもしれません。スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」という映画に登場する貧民街はこれに近いかもしれません。

持ち家の人もいますが、いずれは修理したり解体しなければならなくなったりしますし、固定資産税が高くなれば手放さざるを得なくなる宿命になる場合も考えられます。

集団でDYIによる集合住宅を作って住むケースはあるでしょう。あてがわれた住宅よりは理想に近い家に住める可能性が高いです。

貯蓄やローンの支払いができない世帯はこの中でやりくりしていくしかなくなります。ただ、建設業も必要な業界なので、住まいに関しては新築の家が手に入る宝くじみたいなのが発売されるかもと思っています。もちろん、ベーシックインカムで家が建てられるくらいの収入が得られれば何の問題もないですが、お金はいくらあっても足りないのが人の性なので、そこは難しいかも。

仕事が完全になくなることは考えにくいです。ごみ収集、保育士、医者、ラストワンマイルの物流など、エッセンシャルワークはベーシックインカム時代になってもロボットが代替するまではしばらく残るでしょう。ある程度の優遇措置があれば持ち家を持てる可能性もありますが、ローンが組めるかどうかは職種によってくるため、将来を考えると賃貸を選択する人も多いかもしれません。ホワイトカラーの与信は絶望的に通らないかもしれません。

日本の人口は減り続けているので、空き家をリフォームするスタイルは今以上に増えると思われます。ただし、資材の再利用が重要になるので建築基準も厳しくなると思います。

新築の家やマンションを持てる階層は、ベーシックイン以外の収入や資産が十分にある世帯に限られます。それは超高度にバランスの取れた循環社会の中で、生産や物流、販売などに携わる経営者などがイメージしやすいです。

食品や日用品をはじめとするフィジカル(物質的)なサービスをロボットによる自動化で提供する産業がメインですが、人件費よりも安くロボットが使い、ロボット税を払って経営する人々になります。ただし、この層はさらに上の層によってその権利をコントロールされるので、何かを独占したり、極端に利益を上げたりはしにくくなるので、それなりに豊かな暮らしができる・・・くらいかもしれません。社会的な立場としては企業の中間管理職みたいになって、責任が重い代わりに少しだけ優遇される人々みたいになる可能性もあります。

さらに上層にいるのはAIやロボット、エネルギーなどの、根幹となる資源やシステムを支配する人々です。政府は責任を取る人以外はいなくなって小さな政府になっていくので、実質この層の人たちが国の支配者になっていくかもしれません。住まいを含めた全てをコントロールしますが、それはAIによる自律運営です。この層の人々は超循環社会のバランスさえ狂わさなければ何でもできるという感じの暮らしぶりになると思います。

ベーシックインカムの社会は、現代よりも暮らし易くはなりますが、その時の現在の暮らしから別の階層に移行するのは、現代よりも難しくなるのかもしれません。

こんな社会の中で低層から這い上がってくるのはどんな人でしょう。次回は、BI社会で飛躍する人について考えていきます。

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