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美味しすぎない「半中華そばとチャーハン」

会議が予定よりも早く終わったので、11時過ぎにランチと時化込む。今日は一日中会議のスケジュールなので少しぐらい良かろう。それにしてもこのご時世に終日話し合いとは恐れ入る。

春を感じる陽気ながらも、店内の中心には達磨ストーブが居座る。12時までまだまだ時間があるにも関わらず、そこそこに席が埋まっている。名店と呼ばれる、いろは食堂の古川支店。昼休みと言う概念を打ち壊す、悪い大人たちが次次に来店する。

大きなテーブルが立ち並ぶから、必然的にお一人様は相席になる。隣の夫婦は「懐かしい!」を連呼している。脳裏に焼き付いた、過去の幸せな思い出を求めてやってきたのであろう。幸運を祈る。

今日はチャーハン(800円)を食べたい気分だったので、半中華そば(500円)を一緒に頼んだ。半チャンラーメンの逆をいくスタイルだが、そもそもココには半チャーハンが無いのだから仕方がない。

それにしても天下のいろは食堂の中華そばを「美味しすぎない」なんて言ったら怒られるだろうか。だがココの一杯は間違いなく美味すぎない。その鍵となるのが卓上の胡椒である。冷凍技術が進化し、調理技術が発達した。素材の臭みを誤魔化す必要も無くなり、最早ラーメンに胡椒は必要ないと言うのが最近の定説なのだ。

だが、この一杯は胡椒の風味と辛味がよく似合う。

店主に気を使わずに、ワッサワサと振りかける。クシャミも厭わないほどに、スープの色が変わるほどに。隣の夫婦も、向かいの老夫婦も大きな胡椒の缶を揺り動かす。「美味い」に正解はない。美味すぎない一杯の半中華。もう半中華食いたい欲は、今日の主役でもあるチャーハンに収めてもらうことにしよう。


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