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公務員志望者に知ってほしいこと

公務員=安定?

私の肌感覚だが、若くて優秀な公務員の退職が増えている。
せっかく「安定」を求めて入庁しても、途中で辞めてしまっては意味がない。

退職の理由は様々だが、「職場への失望」が大きな要因だと感じる。

「安定しているから」という理由で公務員を志望し、「職場が近いから」と深く考えずに地元自治体を選ぶのは安直すぎる。
せっかく高学歴・新卒入社したのにもったいない。

少しでも志望自治体の現状を知るために、以下の2点を実践してほしい。

役所へ行こう

昼の部

役所は誰でも入れるのだから行かない手はない。
公共交通機関を利用して通勤する場合は予行演習にもなる。

まずは中に入ってぶらぶらしてみよう。
職場の雰囲気を感じてみて欲しい。

その後、オフィスが奥までよく見えるかをチェックしてみよう。
住民から丸見えのオフィスは、職員にはあまり居心地がよくない。
しかも、オープンオフィスは生産性が低下するという研究まである。
開放的な庁舎には要注意。

個人的には職員がおそろいの「制服」を着ているかもポイントとなる。
「制服」は基本的に貸与だが、例えば2着しか貸与しない自治体の場合、平日に2回も洗濯機を回す羽目になる。
週末にしか洗濯したくない方は要注意。

食堂や売店の存在も重要だ。
残業のときに重宝する。

喫煙者は喫煙所の存在も要チェック。
最近、休憩時間以外は喫煙禁止の自治体も増えている。
ヘビースモーカーには相当ツラい職場環境だろう。

夜の部

余裕がある方は、夜の役所を訪問してほしい。
20時や21時頃がオススメ。
用事がない限り中に入ることはできないが、外から眺めるだけでいい。
必ず多数のフロアに明かりがついているはずだ。
そこには残業中の職員がいる。

役所は配属部署や上司によって残業時間に大きな差が出ることが多い。
運次第で夜遅くまで残業する可能性があることを知っておいてほしい。

「自治体名 人事行政」でググる

役所を体感した後は、数字でも職場環境を調査しよう。
「自治体名 人事行政」で検索すると、「人事行政の運営等の状況」という資料を見ることができる。
(自治体には公表義務がある。)

例として神奈川県川崎市をチェックする。

※パッと名前が浮かび、扱いやすい資料をアップしていただけで、選んだ自治体に特に意味はない。



退職の状況

ここからは「令和3年度 川崎市人事行政の運営等の状況」から数字を引用しながら、自治体の状況を見ていく。
自治体によって掲載している情報に差があり、ここで紹介する数字が拾えない可能性もあるので悪しからず。

【3ページ(2)退職の状況の退職者数】
事務職で入庁して配属される可能性が高い「市長事務部局」を見てみると
定年退職 156人
普通退職  96人

普通退職とは自己都合による退職のことで、ここに冒頭で述べた「若手職員」が含まれる。
市長事務部局の退職者合計317人のうち、約30%が自己都合退職している。
退職の理由までは載っていないが、公務員になったからといって「60歳(定年)まで安泰」というわけではなさそうだ。

有給の取得率

【26ページ(6)休暇の状況】
川崎市では1年に20日間の年次休暇(有給)を与えられ、使わなかった分は繰り越して、最大40日までためることができる。
しかし、40日を超えた分は繰り越しできず、余った有給は捨てることとなる。

市長事務部局の平均取得日数は15.1日となっている。
これはかなり優秀な数字だと思う。
有給を取得しやすい自治体と言える。
ぜひ受験を考えている自治体と比較してみてほしい。

また、31ページを見ると育児休業の取得状況も分かる。
1つの自治体だけだと多いのか少ないのかよくわからないが、同規模(人口が近い)自治体と比較することで、ある程度「育休の取得しやすさ」が推測できる。

休職の状況

社会の多様化により公務員の業務は複雑化している。
昔より減ってはいるが、月100時間以上残業する職員もたくさんいるのが現状だ。

そんな職場環境では体調やメンタルを壊し休職してしまう職員も発生する。

【29ページ 長期病気休暇者の状況】
川崎市では負傷又は疾病による1ヶ月以上の休職が532回取られている。
そのうち市長事務部局では237回
理由は様々だが、私の経験からは「精神疾患」が多数を占めると予測される。

私の周りでも、メンタルを壊して休職したことがある職員は驚くほど多い。

特に、心優しく「NO!」と言えない人は要注意。
職場でどんどん仕事を押し付けられ、住民からの理不尽な要求にも真剣に悩んでしまう。

公務員に限った話ではないが、理不尽な上司や住民には毅然とした態度で対応し、断ることはキッパリ断ることが重要。
そのためには地方自治法や所管部署の関係法令をしっかりと勉強しておくこと。
公務員では特に、法律が自分を守る大きな盾となる。


まとめ

ネガティブな情報を中心に紹介したが、そういった情報ほど入庁前に知っておいて欲しい。

もちろん公務員のメリットもたくさんある。
特に昨今は、官民連携(包括連携協定)やSDGs関連事業などで民間企業と関わる機会も増えている。

さまざまな人と関わり、多種多様な仕事を経験するチャンスがある。

しかし「安定」だけを求めて入庁してきた職員では、チャンスを掴むことはできない。
思ったよりハードで、やりがいのない事務仕事に忙殺され、職場に失望して辞めていく。

そうならないために、しっかり下調べをして慎重に自治体を選んで欲しい。

もし不安なことや不明な点があれば、是非コメントをいただきたい。
できる限りの情報をお伝えします。


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