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頑固な心と、公園、ベル・ジャー。

暑くもないし、寒くもない。何を着たらいいのか迷う。いつもギリギリに家を出る。夜はお布団にも迷う。タオルケットは早すぎるような、でも羽毛布団はあったかすぎるし。


先週。母から「鯛焼きを食べに行こう」と誘われ、四ツ谷へ。曇りの日。その日、出かけるつもりはさらさらなかったので、急いで髪と顔を整える。服がなかなか決まらなくて、電車を一本逃す。四ツ谷は母の思い出の街、らしい。この道をね、泣きながら歩いたのよ、ウイダーインゼリー飲みながら、と珍しく感傷に耽る母を横目で見ながら、「たいやき わかば」の鯛焼きをもぐもぐ食べる。おいしい。塩気がきっちり効いたあんこがみっちり入ってて、重くて、香ばしくて、熱くて、おいしい。「たいやき わかば」の差し入れ、誰か持ってきてくれないかな。

素朴な焼き菓子を求めて「サンパオリーノ東京四谷」にも寄る。修道院食品・製品のお店。ポルボロンやクッキーを購入。

帰り際、オープンカーに乗ったピーポくんを見かける。手を振る。投げキッスが飛んでくる。幼い頃は着ぐるみがものすごく苦手だったのに、今は投げキッスも返せるようになった。成長したなぁ、私。

I never say no to taiyaki🐟
今度はあんこも買おう。

天気が良い日が続くとね、外に出ないと勿体ない気がしてくる。無駄にしたくない、この日差しを!このそよ風を!(花粉とか色々気になるけど!)パジャマからTシャツに早着替えして、本を抱えて、ヘッドフォンを持って、身軽に公園に行こう!と思ったんだけど、朝は株、朝ごはん、メールチェック、お洗濯…てんやわんや。なかなか準備が進まない。公園の緑を頭に浮かべながら、落ち着いてひとつずつこなす。

結局、予定より遅めに家を出ることになってしまい、ランチタイムにちょうどぶつかった。人で溢れかえり始めた公園で見つけたベンチに腰掛ける。

噴水を眺めながら、一息つく。近くのベンチに座っているおじさまも同じように、ぼーっとしている。木陰は日差しも風もちょうどいい。「あまずっぱい小梅」を一粒口に放り込む。「男梅」は苦手なのに、「小梅」は好きなのはなぜ。

あと100ページほどで読み終わるSylvia Plathの「The Bell Jar」を開く。彼女の半自伝的な小説。精神の闇しか感じないのに、美しい。Sylvia Plathの人生について調べながら、読み進める。痛い、心が。天才や自殺などのキーワードで捉えられ、誰にも本当の姿を理解されていない。でも同時に、この生き方は彼女の運命だったのかな、とも勝手だけど、思う。私を含め、現代を生きる人々が1960年代に生み出された彼女の作品に安らぎを覚える。それって、どんな賞よりも、どんな賞賛の言葉よりも、本当に、すごい。文学、言葉が持つ力は時間を超える。悲しみも、喜びも、すべてを超える。

How could I write about life when I'd never had a love affair or a baby or seen anybody die?

Sylvia Plath " The Bell Jar"

無印良品のノートも一緒に持っていたので、脳内の整理に使う。浮かんできたアイデアを書き留める。今の気持ちを忘れないように、書き書き。日記でもない、メモ帳でもない、どこのジャンルにも属さないノートを1冊持っておくと、心が楽。便利。

そしてまた、噴水を眺める。鳩が足元にやって来る。私、何も持ってないよ。

ふとスマホを開くと、LINEを交換した後、1回も連絡を取ったことのない大学のクラスメイトからの連絡が目に飛び込んでくる。思わず、え、という声が漏れる。その人との間には共通の話題があったから、私が辞めなければもうちょっと話せてたのかなぁ、友達になれてたかなぁ、とたまに思い出していたので、驚いた。そして、その人は私が大学を辞めたことを知らなくて、驚いてた。なんだか失望させてしまったようで、謎に一瞬落ち込むけど、振り払う。まーまー、しょうがない。この道を選んだのは私なんだから。人は人、私は私。またご縁があれば巡り逢える。

その日の朝には、大学で知り合って今も仲良くしてくれている友人からも連絡が来ていたので(厳密にはね、夜中に来てたんだけど、私はもう寝てた。ごめん。)…うん、不思議な一日。ちょうど1年前の自分のこと、今までの選択、自分が認識している性格と、人から見られている自分、大学のこと、学生時代のこと。考えざるを得ない一日でもあったけど。考えても考えても、終わりは出ないというか、ずっと付き合っていくしかない。自分に向き合い続けるのが人生なら、楽しく面白く、悶々としたいね。

「私はLaicaちゃんの自分のやりたいことにまっすぐで、Laicaちゃんがかもしだす雰囲気と大きな心を尊敬してるわ」とその友人からLINEで言われて、くすぐったい気持ちと、彼女への感謝(あなたのほうがよっぽど私より真っ直ぐだよ、きっと)と、私はただただ頑固なだけだ、よく泣くし、よくムキィーってなるし、という心の声が混ざり合う。でも、周りからそう思われてるならそれでいっか、と最近すとんと腑に落ちた。自分が自分自身のことを分かってあげられているか、あげられていないか。今の私に大事なこと。


帰宅後、ジュンパ・ラヒリ「べつの言葉で」を少し読む。彼女の初エッセイ。「言葉の採集」という章が好き。カバーを外したところも素敵。

わたしは絶えず言葉を追い求めている。

ジュンパ・ラヒリ「べつの言葉で」
here I go ignoring the whole world just to read some good books✍🏻


夏が近づいてくると、めかぶが無性に食べたい。もずくも食べたい。と、思っていたら、母が刻みめかぶを買ってきてくれた。歓喜。



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