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『言志四録』の1巻『言志録』

 この本は、江戸末期に幕府の運営する学校、昌平黌で儒官(現代では大学長に相当する)を務めた、佐藤一斎が42歳から約40年間書き記した処世訓や修養訓です。『言志録』『言志後録』『言志晩録』『言志耋録』の4冊でまとめて『言志四録』となって。4巻全部で1133条の随想文が記されています。
 明治の政治家や維新志士達が愛読していたそうで、西郷隆盛は『言志四録』の中から101カ条を選んで座右のいましめにしてました。
 最近自分が読んでいて、参考になったり感銘を受けたりした条文を何個か紹介します。

1巻
17   心静かに、天地万物の創造化育された跡をみると、皆少しの無理もなく、しいて事を構えたようなところが全くない。

93 上手に布き並べられ、これ以上に節整する必要のないのは、山や川の状態である。

94    人は、地道を守らなければならない。地道とは、人をうやまい、自分はつつしむという「敬」ということだ。即ち、天理に従って身を修めるのみである。

157   心に敬があれば、妄念を起こさないから、心はいつも純粋でまじりけがなく、はっきりと明るい。 

『言志録』

 人をうやまい、自分はつつしむという「敬」。心からの敬もあれば、偽の敬もあって。敬は成長することもあるけど、衰えることもあるみたいです。たった一字ですが、ある意味恐ろしい言葉だと思いました。

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