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変幻✨꒰꒱✨音声配信アプリ⑭

🦌駆け回る小鹿ちゃん🦌


小鹿ちゃんは女子高生だ。

すごく大人っぽくて様々な知識がある。
お父さんと仲良しで、お父さんと音楽や映画、本の話をよくするそうだ。

本も制限なく買ってもらえるそうだが、読書感想文の提出が必須だそうだ。
またお父さんと映画館に映画を一緒に観に行くことも頻繁にしているようだ。
小鹿ちゃんが1人カラオケがしたいと言うと、一緒に行こうとお父さんから返答が来るそうだ。

このアプリを始める際の条件があった。

“ アプリを始めるに当たってのメリット”

を原稿用紙に書きなさいとのこと。
小鹿ちゃんは、原稿用紙3枚にまとめてお父さんに提出したそうだ。
始める前にメリットを書けというお題は、かなり難航したと教えてくれた。
いやはや、その辺の女子高生や大人とは始めるにあたっての、心意気が違う。

小鹿ちゃんは一人っ子だ。

これはアプリを始めてから、うさみみが知ったことなのだが、一人っ子は1人でおままごとや戦隊モノごっこ遊びをするらしい。
小鹿ちゃんの場合、1人でおままごとする時、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、妹、ペットの構成でするそうだ。

ペットはマストだそうだ。

またお母さんは外国人で、毎日パーティーよ!と言ってパーティーが始まるらしい。

他のリスナーさんからも教えてもらったことだが、1人で戦隊モノをする時は、1人で五役するらしい。
かなり体力を使うためかなりヘトヘトになるそうだ。

小鹿ちゃんは、中学生の時にいじめにあったそうだ。
原因は仲良しだった、幼なじみの女の子が悪いことをしようと小鹿ちゃんを誘ったが、小鹿ちゃんがその誘いに乗らなかったからだ。
その子が周りに小鹿ちゃんの悪口や、あることない事を風潮した。

その女の子は求心力のあった子であったため、一気に大規模ないじめに発展した。
無視や暴言は当たり前で、万引きの強要もされた。

でもいじめられていることを、家族には言えずに必死に隠していたそうだ。

当たり前だ。

いじめられるなんて情けないし、みっともなくも思う。
中学生にもなって親に解決してもらうのか、親が介入すると余計にややこしくなるのではないか。
思いをめぐらすだろう。

また、こういう時に兄弟がいたら違ったかとも考えたそうだ。

ある時、学校を歩いていると後ろから男子生徒に蹴られて、背中を骨折したそうだ。
さすがにそれは隠し通せなかった。

背中を蹴った犯人の特定も学校側はしてくれなかったそう。

「いじめられるのは、お前が悪いから」

先生からも言われたそうだ。

学校の女子トイレに入っていた時に、上からバケツで水をかけられびしょ濡れになったこともある。
濡れたまま、教室に小鹿ちゃんはいたそうだ。

その姿を見た先生はこう言い放つ。

「お前一人だけなんで濡れてるの?」

そんな古典的ないじめを現代の子達もしてる事にもうさみみは驚いた。

多感な時期な女の子が、着替えるものもなく濡れていたらまずは何か手配するだろ。
話を聞いているとあまりにも大人の対応も杜撰で、うさみみは腹が立った。

一連のいじめはを把握したお父さんからは、「君は何もしなくていいから」と諭されたそうだ。

お父さんは小鹿ちゃんには内緒で、クラスメイト一人一人の家庭に連絡をとり、犯人の特定に努めたそうだ。

うさみみは、以前結婚式で新婦が子どもの頃いじめられていた時に、お父さんに助けてもらって心強かったし嬉しかったと、新婦の手紙で読んでいた人を思い出した。

その子もなんだか大人っぽかった。
大人っぽくなら無ければいけない背景があったから、大人っぽくなったんだなと思った。

しっかりして頭の良い子だからこそ、ここまで大事(おおごと)になるまで、いじめも隠し通せたのだ。

天真爛漫な人なんて、そうそういないと思う。
そう相手について思う人ほど、天真爛漫で心が子どもだ。

子どもの世界の方が、大人の時よりも不条理で凶暴だ。
逃げ場がないのだ。

こどもであることを盾に、秩序を創り出す。
大人の介入を防ぎ、事件を事故に仕立て上げる。

こどもたちだけで解決させる。
それが自分の力になる。そう思い込んでいる大人がいる。
それは危険なんだ。
仲良しごっこから、いじめで統一を謀るのだ。

若しくは、面倒事から逃げたい。
そうやって大人はいじめという言葉で、片づける。

その後、小鹿ちゃんは不登校になった。

高校進学も諦めていたが、進学もした。

今は有名大学への進学に向け、勉強を頑張っている。

小鹿ちゃんのお父さんが理解ある逞しいお父さんで良かったと、うさみみは思った。
お父さんは、アプリでの交友関係の把握もしているそうで、うさみみの存在も知っている。
小鹿ちゃんは今、様々な人たちとの交流を楽しんでいる。
お父さん、娘さんと仲良くさせてくださいね。
よろしくお願いします。

そしてうさみみもいつか母親になった時に、小鹿ちゃんのお父さんのように子供を守れる人間になりたいです。

そして何より、悪い大人もいるけれどそこそこ良い大人だっているのだって、うさみみは小鹿ちゃんに思ってもらいたいんだ。

小鹿ちゃんがまた大人を信じようとして、うさみみと仲良くしてくれたはずだから。そして小鹿ちゃんの存在は必要で、みんなに愛されているのだよと。

うさみみは小鹿ちゃんに分かるよう、届くように、目に見える形で表現したいのだ。

小鹿ちゃんの存在が、うさみみの頑張る動力のひとつでもあるのだ。
小鹿ちゃんの存在で、変われた人間がここにいるのだ。


*20話完結です!オムニバス形式ですが、順に読んでいくのがオススメです!*

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