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多目的トイレを二個にしよう - ジェンダーとトイレと障がい者と親子

 私は手術をまだしていない性別違和者で、多目的トイレには助けられています。また、椎間板ヘルニアで車椅子生活になったことがあり、やはり多目的トイレにはかなり助けられました。しかし多目的トイレを使う際には「もっと不自由な人が来たら待たせてしまう」という焦りがあります。多目的トイレの個室は各トイレにそれぞれ1ヶ所づつしかない場合が多いからです。いわばトイレという社会構造が、弱者同士のパイの奪い合いを発生させている状態です。

 ジェンダーとトイレは、単純に多目的トイレを増やせばユニバーサルに助かる人が多い気がします。だいたい大きな施設でもトイレ1カ所に多目的個室トイレが1個しかないところが多い感覚があります。2個になるだけで障がい者だって赤ちゃん連れだって助かります。身体の動かない高齢者も増えていきます。議論にはこういうプラスな発想が必要です。

「犯罪が怖い」もやっぱり多目的トイレの増設が解決するかもしれません。歩けるようになったくらいの異性の子どもと親が、それぞれ一人づつしかいない場合、子ども一人で別のトイレに行かせる危険性を減らすことができます。犯罪をゼロにすることは難しいですが、犯罪を犯せる機会を減らすことはできます。

 多目的トイレの設置には、スペースや費用の問題もあるでしょう。1個はフルスペックの多目的トイレで、もう1個は設備を減らした準多目的個室トイレを増設してもいいかもしれません。基本的に両方使えるようにしつつも、身体障がい者は前者、歩ける子連れやトランスジェンダーは後者のようにピクトグラムなどで誘導することもできます。

 我々人類は「誰を排除するか」より、「なるべく多くの種類の人間をどう社会が受け入れる体制を作るか」を考えた方がいいです。まずは「どう困っているか」という当事者の声を聞く必要があります。これが人権の尊重です。次に「どう実現するか」議論するために知る権利と表現の自由が必要です。これが民主主義です。現代は物に溢れたテクノロジーの時代です。どうか皆さん、「どれだけ不自由を無くすか」「どれだけ多くの種類の人間を受け入れるか」をベースに考えてください。


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