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【英語X年目】で、洋書を読めるようになるには、どうすればいいの?


『中高ではそこそこ英語をがんばってきた。だから洋書くらい読めるだろう・・・!』

と思っていたけれど、いざ開いてみるとなかなか読み進めることができず、でも

『洋書って本棚に飾って置いておいたらおしゃれっぽいし知的っぽいから、このままにしておこう・・・』

あるあるですよね。私もそうでした。

でも待ってください!
洋書を飾ったままにしておくのはもったいないです!


なぜかというと、小説というのは「文章のお手本(の塊)」なんです。
母国語の小説では今更感じることではありませんが、外国語の小説を読むと、『なるほど、こう言いたいときは、こういうふうに書けばいいのか・・・』と学ぶことがたくさん出てきます。

そしてもう一つ、文章には書く人によって「文体」がありますよね?
外国語の文章において「文体」を感じ取るセンスって、やっぱり「洋書を読む」ことでしか磨けないと思うんです。

だから「洋書を読む」という勉強法は、他の方法では得られない効果を間違いなく持っています


私はこれまでいろいろと洋書を一応開いてはきました。
児童文学やコミックに触れる機会もありましたし、ジェーン・オースティンの「Pride and Prejudice(傲慢と偏見)」のような、今思い返しても『いや、いきなりそれは無理だろう』と思うような本に挑戦し、結局、苦痛に耐えながら紙の表面に目を走らせることしかできずに終わったこともありました。

ですが、その中で「『ある一線』を超えたこと」をきっかけに、洋書を使った勉強が『がんばって取り組むべき課題』から『普通にめちゃくちゃ面白い読書体験』に変わったという経験がありますので、今日はその話をしようと思います。

1、本を読むときに『辞書を引くか』問題。


いきなり質問ですが、あなたは子供のころ、本を読むときに辞書を引く派でしたか?引かない派でしたか?

私は正直、ほとんど引かない子どもでした。
親や先生からは「辞書を引きなさい(そうすれば頭がよくなれるから)」と言われるのですが、読書に集中しているときに辞書を引くのは、せっかくの楽しい読書の波が中断される感じがして嫌だったのです。

で、中学校で英語の勉強が始まってからも、英語の先生は「わからない単語の辞書を引いて、予習してきなさい」と言われていましたが、こちらも全然辞書を引きませんでした。
なぜかというと、せっかく頑張って辞書を引いても、辞書に載っている複数の意味のうち、その単語がどの意味で使われているのかが全然わからず
『なら、授業中に先生が教えてくれる意味をメモする方が断然早くね?』
と生意気でなまけものの学生だったのです。


で、なぜいきなり辞書の話を始めたかというと、洋書を読む秘訣は実はここなんです。
「辞書をどれくらい使いこなせるか?」
「辞書を引くことをどれくらい億劫がらないか?」

「あなたにとって、辞書は友達・相棒といえるか?」
が鍵になってくるのです。

というのも母国語ならば、意味の分からない言葉をわからないままにして読んでも、多少は意味を推測しながら読むことができますが、外国語になると、それが一気に難しくなります。
なんていうか「音と感覚の結びつき」みたいなものが、外国語だと母国語レベルに全然及ばないんですよね。

ですから、辞書を使わずに洋書を読むと、
「なんか本を読んでても、全然面白くない・・・」

となってしまい、その状態のまま洋書を読み続けるのは、なかなか厳しいものがあります。

読書は楽しいものであるべきです。たとえ洋書であっても!
そのためには洋書と辞書はほとんどセットだと思っておいた方がいいでしょう。

続けていけば、辞書の使い方もうまくなっていくはずですよ!


2、児童書なのに、わからない英単語がたくさんある理由。

洋書を開いてみて、
「知らない単語、こんなにたくさんあったのか・・・」
というのは、かなり多くの人が感じる事だと思います。

たとえそれが児童書であっても、です。
私も『大学受験を終えたんだから、ハリーポッターぐらい読めるだろう。子供のころ日本語版を何度も読んだし』と甘く見ていましたが、相当苦戦しました。

ショックかもしれませんが、自信をなくしたり、落ち込む必要は全然ありません。

それにしても、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?


思うにその答えは、日本の英語教育は結局、大学受験を突破すること、ひいては研究者が英語で論文を出すことを目的としているものであるために、単語の難易度の基準が英語圏の本来の基準とずれているからです。

つまり、基本的な単語とは何かという点について、
「堅い単語か、柔らかい単語か」
「ネイティブならば何歳ぐらいで知っているべき単語か」
という基準ではなく、

・「受験・研究において役に立つ単語か、知っていても役に立たない単語か」
という基準で評価されるので、語彙に妙な偏りが生じてしまうのです。

だから中高で英語をわりとやってきた人でも、一部の堅い単語は知っているのに、
「なんでこんな基本的な単語を知らないんだろう」
ということになってしまうのです。

具体例をいうと、
・「global warming(地球温暖化)については、早急に行動することが求められる」
・「これはdemocracy(民主主義)の危機といえる」

といった受験頻出の単語はすんなりわかっても、

・「それはトゲトゲして(prickly)いました」
・「彼は私をこづきました(prod)」

のように、いかにも簡単そうなところなのにもかかわらず、毎回立ち止まって辞書を引く羽目になる、ということです。


逆に考えると「洋書を読む」という勉強方法が、受験英語という枠組みを卒業し、バランスの取れた英語の語彙を身に着けるのに、どんなに役立つかがわかると思います。
もしざっくりと英語の知識や能力を伸ばしたいならば(つまり、仕事などの目的があって「この分野だけの語彙を埋めればそれでいい」という場合でなければ)、
「語彙のすそ野を広げる」という気持ちで洋書に取り組むのは非常に効果がある勉強法です。


3、辞書を友とし、洋書を読みこなせるようになるには・・・?


「さっきから辞書辞書って言ってるけど、別にネットでググればそれでよくね?」と思っているそこのあなた・・・!

・・・まあ確かにそういう場合もあります(←)。
ネットで検索して一番上の意味だけを見れば事足りることもありますが、
やはり精密に見ていかないと、その後の理解を左右するほどの重要な局面というのは、必ず出てくるものです。

外国語のわからない文章を「自力で理解しなければならない」とき、つまり「先生のような誰かが正解を教えてくれるわけではない」とき、ものを言うのが辞書を使いこなす能力です。


では辞書を使いこなしながら洋書をバリバリと読み進められるようになるにはどうすればいいのでしょうか?

・・・まあはっきりいって「とにかく辞書を引く」「慣れる」「回数をこなす」しかないでしょうね。
あと「追いつめられる」というのも、荒療治ではありますが効果はあるかもしれません・・・(←)。


私の場合は、前述のとおりもともと辞書はあまり好きではなかったのですが、
「翻訳コンテスト」に応募するために必死になっていたとき、辞書のありがたさに目覚めました。

辞書って「僕は私はこういうふうに訳したら・理解したらうまくいきましたよ」という、先人の知恵の積み重ねなんですよね。

以来、辞書は心の相棒です。

文法から品詞を導いて意味をたどり、それでもまだわからなかったら、例文を読み比べて吟味する・・・
手順を書けば、どこにでも書いてあるようなことの繰り返しになってしまいますが、事実、これに尽きます。

辞書と仲良くなれば、恐いもの知らずで、自分の進みたい方向に英語をどんどん深めていく自信が付きますので、
少しずつでいいので、まずは辞書を触ってみることから始めてみてください。


4、初心者はどんな洋書を選べばいいか?

ではここからは、私が読んできた中で初心者向けにオススメする本を紹介していきます。

レベルはだいたい中学校や高校でそこそこ英語を頑張ってきた方向けです。


①オススメはやっぱり児童書。

やはり一番最初は児童書がオススメです。
といっても、ハリー・ポッターではありません。
小学校低学年・中学年向けの児童書です。
小学校高学年向けの児童書は一気に難しくなるからです。

「え?『ヘミングウェイ』や『ジョン・アーヴィング』が読みたいんだけど、そこまでさかのぼらないとダメ?」とお思いかもしれませんが、

ええ、気持ちはわかります。
が、そこは先ほども言ったとおり、「どれくらい辞書に慣れているか」がものを言うので、ご自身のレベルとつき合わせて選んでみてくださいね。

ちなみに小学校何学年向けかどうかは、
本の長さ
字の大きさ
・文体の読みやすさ
・挿絵の頻度とか雰囲気
・内容の濃さ

などから、総合的に(感覚的に)判断しています。


最初にご紹介するのは「Charlie and the chocolate factory(チャーリーとチョコレート工場)」(著Roald Dahl)です。
・長さは長め
・字は大きくない
・文体はとても読みやすい
・挿絵や雰囲気は子供向け
・小説版は映画版の前半部分だけなので、内容は難しくない

長さこそ長いですが、文体にくせがなくさらっと読めるので、小学校中学年向けかな、と思っています。
私が洋書で初めて「ああ、なんだ、これくらいが自分には合っていたのか」と素直に思えた作品です。
あ、この小説の特徴である「詩」については、韻を踏む関係で単語が結構難しかったのですが、そこはさくっと読み飛ばしました(←)。
映画もやっていた関係で、原作も図書館に置いてあったりなど、手に入りやすいのではないかと思います。


次にご紹介するのは「Disney Fairies」シリーズです。
一言でいえばピーターパンのスピンオフで、ティンカー・ベルなどの妖精たちが主人公の物語です。

・一冊は長くないが、シリーズはたくさんある
・字は中ぐらい
・文体は、中学年向け
表紙のイラストの可愛らしさは他の追従を許さないが、挿絵はない
・感情描写などが意外に細かい

読んでいて、『小学校三、四年くらいのときに読んでいた感ある』と思ったので、小学校中学年向けと思うことにしました。
ぶっちゃけ言うと、姉の本棚に飾ってあったのを(勝手に)拝借させていただいたものです。
最初は「ディズニー感満載だったらちょっと引くかも・・・」と思っていたのですが、数ページ読むだけで、Mother Dove(妖精の主みたいな鳩)を中心に展開するファンタジーの世界観が面白く、また妖精同士のやり取りや感情の機微も読んでいて楽しく、わりとはまりました。


次は「Peanuts」です言わずと知れた、Charles M. Schulz氏のスヌーピーのコミックです。

・一話というか一単位はめちゃくちゃ短い(せいぜい1ページ、短いのは4コマ漫画くらいの長さ)
・コミックなので字の大きさはあまり問題ではない
・文体は、中学年以上の感じ
・コミックなので絵がメイン。言うまでもなく、ゆるくていい感じの絵。
・内容は、行間を読み取るのが少し難しい

スヌーピーのコミックは、とにかく文章が短くて読む量が少ないのですが、その分行間を読み取るのが少し難しかった覚えがあります。
でも慣れてくると、クスッとしながら、ついついページをめくってしまう、そんな本です。
私が小学校中学年のときに読んでいたら理解できたかと聞かれたら正直微妙ではあるのですが、英語自体が難しいわけではなく大人が読むと味わい深く感じる作品なので、ここでご紹介しておきました。
割と図書館にも置いてある系だと思います。



②裏技:辞書を使わないのに、きちんと内容を理解できるジャンルとは?


さて、これまで散々、洋書を楽しむためには辞書が必要と書いてきたわけですが、
ここでそれをひっくり返す裏ワザを一つ紹介します。
「辞書がなくても意味がわかる」かつ「読んでいて楽しい」を実現する、数少ないジャンルを偶然見つけたので、それをご紹介します。

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