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【徹底解説】コンサル業界は一体どこへ向かうのか | 現役コンサルが分析

業界分析シリーズ第一弾の「経営コンサルティング業界のこれまでとこれから」についてです。現在コンサルティング業界にお勤めの方もそうでない方も必見の記事となります!「コンサルはどこへ向かうか」を知れば、入社後の自己ブランディングにも役立つはずです。

0.はじめに

近頃、コロナウイルスの影響により、企業の在り方や業界の動向が話題になることが多いと思います。今後、様々な業界のこれまでとこれからの2観点から動向を分析し、記事として出していきます。そこで今回記念となる第一弾として、我々が職としている「経営コンサルティングファームの姿・経営コンサルティング業界の動向・クライアントから求められていることの変化」を、これまでとこれからという観点から紹介できればと思います。コンサルティングファームに在籍している方、また転職や就職を考えている方は必見の記事になっています。

1.経営コンサルティング市場のこれまで

まずは、経営コンサルティング市場のこれまでについて、コンサルティングファームが提供するサービス・業界という軸に分けて、大まかな流れを整理していきましょう。

1-1.提供するサービス軸におけるこれまでの変化

経営コンサルティングファームが提供するサービス(=供給)という観点から見てみましょう。経営コンサルティングについて少しでも知っている方は、戦略系・総合系・会計系・IT系・企業再生系・人材系、等の言葉でコンサルティングファームが分類されているところを目にしたことがあると思います。(実際に就職活動でこれらの分類を目安に業界研究される方も一定数いらっしゃると思います。)

1970年代に日本に経営コンサルティングというビジネスが上陸してから、しばらくは「マッキンゼーの7S」や「BCGマトリックス」など経営コンサルティングファームが開発したフレームワークを駆使した全社戦略・事業戦略策定の支援の依頼をすることがメインでした。時代が進むとアクセンチュアなどの総合ファームやBig4と呼ばれる会計系ファームなどがコンサルティングの規模を拡大し、戦略策定後の組織変革、財務改革などの支援を行ってきました。更にIBMのようなテクノロジー企業がコンサルティング部門を持つことで、ITに関連する支援まで行ってきました。このように各ファームは先述の分類にあたる自分の得意領域のサービスに絞ってサービス品質を維持・向上してきました。

では、クライアントにあたる企業(=需要)という観点ではどうでしょうか。時代が進むにつれて、企業は戦略の絵だけ描かれても企業側には実行するイメージができていない・実行する人材が不足している等の理由から、経営コンサルティングファームに戦略から実行まで包括的に支援してほしい・結果(=利益)までコミットしてほしいという要望を抱くようになります。

コンサル市場の変化

この需要を満たす為、古くはIBMのPwC買収やデロイトトーマツコンサルティングのモニターデロイト(=戦略部隊)設置等、各ファームはサービス領域を拡大・強化していきます。

モニターデロイトの立ち上げ経緯についてこのように述べています。「我々は企業変革の実行局面で求められるガバナンス、業務プロセス、組織、人事、ITプラットフォーム、会計・税務・法務等の様々な領域の専門家をデロイトグループに有し、変革の実行まで一貫して支援し最終的に成果を出すことまでを見据えて戦略策定を行ってきています。」

企業の「戦略から実行まで包括的に支援してほしい」という需要を満たす為、提供サービスの幅を拡大・強化してきた

もう皆さんも聞いたことがあると思いますが、就活生であれば誰もが気にするような「戦略系・総合系・・・」のような区切りの境界は、徐々に曖昧になっているのです。昔は最上流戦略だけを担当していたようなファームも、今は実行までセットで考えることが殆どなのです。(それ故、コンサルファームの志望理由で「戦略がやりたいから」というと倦厭されることも・・・)

1-2.業界軸におけるこれまでの変化

提供サービスだけでなく、業界という軸でも変化がありました。では、どのような変化があったのでしょうか。

これまでコンサルティング業界は、金融・製造・通信/メディア・公共・小売、等のように業界を分けることで各業界の専門性人材・アセットの獲得・育成を行ってきました。業界動向をいち早くキャッチし、常に対象業界の企業から「ここのファームは我々の業界をよく理解しており、最新トピックにも詳しい」と信頼して選んでもらえるようにする為です。

しかし、提供サービスでも企業の需要と供給にギャップがあったように、業界の軸でも需要と供給にギャップが生じています。これまで企業は、「銀行であれば金融業界」「自動車会社であれば自動車業界」と自社の土俵でシェアを拡大するべく、自事業に専念してきました。しかし、業界が成熟するとともに企業はこれまで戦ってきた土俵だけでは事業の成長・維持ができないことを考え、新たな事業に進出しようとします。ここでの新たな事業とは、「小売業が○○銀行の事業を行う」というこれまで存在していた事業もあれば、「IT企業がeSports事業を行う」というこれまで存在しなかった事業もあります。

当然、企業はこれまで限られた事業のみに注力してきたため、進出先の事業の知見が不足しています。ここで経営コンサルティングファームに求められるのは、対象企業の属する業界知見だけでなく、進出先の業界の知見まで含めて理解でき、それは個別個別で知見があればよいというわけではなく、異なる業界が絡むことによるシナジーを理解できていないといけません。経営コンサルティングファームは、業界の枠を超えた知見・人材を獲得したり、外部から得た知見と既存知見の関連付けられる能力・人材を獲得し、これまでの業界軸では定義できない部隊に変化していきます。

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