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「普通に、先生に復職してほしい。もっと話したい。だから今は絶対に無理しないで。」

 休職を経験して自分のことを色々と発信していると、「休職明けでしんどそうな方やリハビリ勤務中の方にどんなふうに声をかければいいかわからない」というご相談というかお考えをきく機会があります。

これ、めちゃくちゃわかる。

私も、同僚が休職→復職されたものの、短い期間で退職してしまったという経験があります。

「退職してしまった」と書きましたが、その方は地元に帰られて、新しい職場も合っていたようで「迷惑かけてしまったけれど、あのとき退職してよかった」と教えてくださったので何よりでしたが…。

多くの復職者にとって復職は目標であり希望であり、だからこそそのハードルの高さや周囲の理解が得られない環境に打ちのめされてしまうこともあります。

そもそも、うつを始めとしたメンタル系の疾患は、擦り傷のように時間の経過とともに自然治癒していくものとは違います。

「三寒四温」なんて比喩されることも多いですが、本人の意志とはあまり関係なく「一歩進んで十歩下がる」みたいな進み方をします。

この、「本人の意志とは関係なく」というのが本当に厄介なんですよね。

当事者が「治りたい」とどんなに強く願おうとも、どんなに「良い」とされる行動を起こそうとも、または何もしなくとも、調子が悪いときは文字通り「何もできない」です。

周りから見ると、いつまで経っても良くならないように見えると思います。人間、何か理解できないことがあるとストレスが溜まりますので、自然と原因を探り始めます。解決策(?)を提示してくれることもあります。

「病院にいけば?」「カウンセリング?行ってみたら?」「このマッサージいいらしいよ」「いつ治りそう?」「少しは運動でもしたら?」「このサプリが効くらしいよ?」「テレビでこんな健康法やってたよ!」「考えすぎじゃない?」「わたしはこんな方法でメンタルよくなったよ!」

…ありがとう。

でもね、大抵もうやってるの。
ありがとう。大丈夫。

悪気はないのはよくわかるのですが、これは分かりやすく良くない声がけです。

もちろん、家族であったり本人のことをよく知っていて、本人の状態を十分見極めた上で言っているのならば「良くない」とは言い切れませんが。

もう一歩進めてみましょう。
せっかく親切にアドバイスをしてあげたのに、本人ときたら、いつまでたっても調子が悪そうです。

そんなとき、人は大きなストレスを感じます。その結果出てしまうのがこんな思い。

「本人のやる気がないのでは?」「本気で病気を治すための努力をしていないのでは?」「世の中にはもっと苦労している人がいるのに。甘えているのでは?」「何かしらの障害があるのでは?」

もちろん、そんなこと本人にしかわからないのですが。

これを口に出すとまずいということは分かっている方が多いので、私は直接言われたことはありませんが、TwitterなどSNSでは見かける意見ですし、感情的になったときにふと口にしてしまう人も中にはいると思います。

復職した/リハビリ勤務中の同僚に「絶対にしてはいけない声がけ」の答えはこんなかんじです。

まずは、というか、本当に、これらを言わないでもらえるだけで100点満点以上だと思ってもらっても構いません。

「何をいうかよりも何を言わないか」なんて言葉がありますが、まさにそれです。

これ、頭の中で思ってしまうのは仕方がないことです。むしろ、自分の素直な気持ちを無理に消そうとしたり否定してしまうと、気持ちがこじれてしまい、ふとしたときに爆発してしまう危険性もあります。

同僚という「利害関係」で繋がっている関係性で、ましてや直接的に被害を被っているケースでは、聖人君子のように全てを受け入れ、許すことはできませんよね。当たり前で、ごく自然なことです。


 さて、先日、とても嬉しいことがありました。

私は4月からリハビリ勤務をしています。少しずついられる時間や曜日は増えてきたものの、授業もしていなければ学年の仕事もしていません。

周りがあたたかくて何とかメンタルを保てていますが、頭の中には常に「役立たず」という強い自己否定が居座っています。

早く役に立たないと、そう思うと無理をしてしまいます。ですので対策として、自分は教員ではなく非常勤のサポートスタッフだと思い込むことで正気を保っています。職場に推しをつくり、その人に会うために職場へ行っています。(先生方素敵すぎて、最近推しが増えすぎている)

(もちろん、これはSSSさんが役に立っていないなんて意味ではなく、授業や生徒指導をしない言い訳として、使っているだけです)

そんな中、ある推しと雑談をしていました。先生のクラスここがいいですねー。あの子気になりますねー。あの子とこんな話したんですよー、なんていつも通り。

そしたらその方が「これ本当に思うから言うんだけど、変なプレッシャーになったら嫌なんだけど、普通に、先生に復職してほしい。もっと話したい。だから今は絶対に無理しないで。」

って言ってくださったのです。

わたし、ちょっと感激しすぎて硬直してしまって。その場で泣いてしまいそうだったのですが、幸い(?)その後すぐ退勤の予定だったので、そそくさと車に乗り、泣きました。

あ、これだって。

私史上最高の「復職者を目指すものとして嬉しい言葉」。

単なる自己満足というか、自分のわがままでまわりを巻き込んでまで復職しようとしているという認識しかなかったのですが、私の復職を待ってくれる人がいるという事実が本当に嬉しかったのです。

もっと職場にいてほしい。
それも、単に仕事の負担が減るからではなく、話したいと言ってくださったのが沁みました。私も話したい!!!そして聴きたい!!!

だからこそ、今は何もしないを頑張る。

もし、これを読んでくださった復職を目指す方々がいらっしゃれば、一緒に「何もしない」を頑張りましょ。






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