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Culture|吉澤 葵さんに聞く、フィンランドのサウナ事情 〈01.日常の中のサウナ〉

ラプアン カンクリをはじめ、多くのブランドで活躍するフィンランド在住のテキスタイルデザイナー、吉澤 葵さん。今回は、表参道店にて開催中の「Sauna kauppa / サウナとリネン」にあわせて、葵さんの日々の暮らしからみえる現地のサウナ事情を、2回に渡ってお話しいただきます(後編はこちら)。

3月を迎えたヘルシンキは、太陽の光が眩しい日が多くなり、日も段々と長くなってきました。 春の暖かさを感じ始めましたが、まだまだ気温は低く、サウナで温まってゆっくりしたい時期です。

先月からスオメンリンナにあるアーティストレジデンシーに滞在し始めました。スオメンリンナについては昨年夏にも滞在したので、以前のコラムからも読んでいただけます。要塞があるいくつかの島からなる、世界遺産のスオメンリンナ。観光客も多いスポットですが、約800の人々が住んでいて、小さな村で生活しているような雰囲気です。

毎週使っているサウナは
このような可愛い建物の中にあります。

スオメンリンナには住民用のサウナがいくつかあります。住民の皆さんは世帯毎に1時間ずつのスロットを予約して、サウナを楽しんでいます。1時間ずつのスロットとは、火曜日の17時から18時までは何々さんの家族、金曜日の20時から21時までは何々のアパートの住民専用、 ということです。スオメンリンナには5つほどサウナがあり、掃除の日の月曜日以外は毎日夕方から夜まで使用することができます。私の滞在しているアーティストレジデンシーにもいくつかのスロットがあり、週2〜3回の割合でサウナに入っています。

サウナの合間やサウナ上がりに寛げる更衣室。
ロウリュを楽しむためのバケツと柄杓は
フィンランドサウナの必需品です!

ヘルシンキ市内のアパートの多くは、屋上や地下にサウナがあります。1時間の時間制で世帯毎に使用することが多いですが、住民なら誰でも使うことのできる時間を女性と男性に分けて週に1回ずつ設けているサウナも多くあります。私はそのような共同で使う時間によくサウナに入っていました。そこでご近所さんと話したりして、友達になったことも。サウナはご近所コミュニティーの大切な場所でもあるのかもしれません。

凍った湖に作られたアバント用の穴。

サウナの入り方ですが、海や湖がそばにある場合、サウナで暑くなったら外に出て泳ぎます。夏は何分でも泳ぐことができます。今のような寒い時期は、アバントスイミングと言って、凍った海・湖の氷面に穴を開けて水の中に入ります。私も去年からアバントスイミングを始めました。凍えるような寒さの海に入るのはやはり毎回怖いですが、上がった後のスッキリ感がたまらず、今も続けています。

水筒で水分補給!
右と真ん中にあるのが私のお気に入りのソープです。
手作りのKaurilan Saunaから発売されている
ローズ・ソルト・スクラブ。

アパートのサウナでは泳ぐことができませんが、他の楽しみ方で満喫します。最近、友達のアパートのサウナに入る時は、天然のスクラブやフットクリーム、ボディオイルなどを使ってマッサージをしたり、スパ気分を味わうようにしています。シャワーで流した後は、ビールやスパークリングウォーターを飲んだり、ちょっとしたスナックを食べたりして満喫します。ベランダに出て、涼みながらゆっくりお話しするのも心地よい時間です。



今回は、フィンランドに暮らす私の日常のサウナ事情をご紹介しました。水際にあるサウナと都会のアパートにあるサウナでは、楽しみ方が違います。でも、どんなサウナでも、フィンランド人はサウナを上手く使ってリラックスして、そこから新しいパワーを感じていくのだと思います。

フィンランドに移住してから11年目になりますが、これからもサウナの楽しみ方をもっと追求したいと思っています。

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