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映画:鑑定士と顔のない依頼人

原題:La migliore offerta/英題:The Best Offer

今回はイタリア映画「鑑定士と顔のない依頼人」について語りたい。

初めに言っておくが、この映画を観た事がない方には前情報をあまり入れずに観て欲しい。
この「前情報をあまり入れずに観て欲しい。」という言葉すら正直余計だ。
これを聞いてしまうと、驚かしにくるやつだな?って思ってしまうからだ。
(←これも余計な事を言ったと思う。もう黙りたい。)


しかしながら、まだ観た事がないと言う方向けに、少しでもこの映画に興味を持ってもらう為にも、少しだけあらすじに触れよう。

【べにじるしの映画noteには珍しく簡単なあらすじ】
主人公は美術鑑定士ヴァージルという男。
彼は美術鑑定士として成功していた。
女性が苦手で潔癖症。
いつも手袋をはめている。
今まで一度も恋愛をしてこないままこの歳になった。

そんな彼は自身が開催するオークションで、本来の価値より低い金額設定で絵画を出品し、共謀者である友人のビリーに落札してもらい、裏で金を渡し、その絵画を自身のコレクションにしていた。(悪だ…)
その絵画というのが全て女性の肖像画であった。
己の豪邸の地下室に隠し部屋をもうけ、壁一面に展示している。
そう、彼女たちは全てヴァージルの愛する恋人たち。
毎日うっとりゆったり、孤独に恋人たちを鑑賞している。
そういう性癖の持ち主である。
そんなある日、ヴァージルの元にクレアという女性から電話を通じて依頼が入る。
何故だかクレアは姿を現そうとしない、謎多き依頼人であった。

この依頼がきっかけでヴァージルの生活が少しずつ変化していく。

よし!当たり障りのないあらすじはこんな感じである。

とりあえず一回観てきて欲しい。

もうお願いだから一回観てきて。

そいで、観終わったらまたここに集合って事で!
ちゃんと帰って来てください。

とりあえず言える事は元気な時に観てって事かな。

グロ要素はないよ安心して。

ジャンルはラブミステリーかな?

画面が常に美しい。

美術館や芸術品などがお好きな方にはまさにうってつけ!

はい。行ってらっしゃーーーい。







おかえりなさーーーい!!!!!
ちゃんと観ましたか?

ありがとう観てくれて!

もう本当に誰かと語りたくてたまらなかった!!!!!泣

なのに身近に観た事ある人いなかった!!!!!


それじゃあ。

気を取り直して行きます!



もうすでに観た事がある方はそのままこのnoteを読み進める事を許可する。



         ↓
         ↓
         ↓





       信じるぞ?




         ↓
         ↓
         ↓




不覚にも私はヴァージルに共感してしまった。
観ながら、こいつは私か??????と思った。

という事はこれは未来の私への予言映画。

ヴァー爺の末路は私のこれから進む未来。
(今あだ名つけちゃった)


そんな気がしてならなかった。

というのも私も美女が描かれた絵画を所有しており、
日々愛でているからだ。
えぇ一緒。このおじさん私と一緒。どうしようどうしよう。
まぁ、今の所私は美女画は一点しか所有していないがな。
何故ならば一途だからだ!!!と映画を観ながら張り合う始末。

ヴァージルの性癖に激しく同意してしまった私はもうひたすらに彼に自分自身を重ね、応援しまくった。

クレアにどんどん惹かれていくヴァージル。

わかる。わかるよ。
目の前に絵画から抜け出してきたような美女(しかも自分の事をめっちゃ頼ってくるミステリアス気まぐれガール)が現れたら気になるに決まってるやろがい。

初めての恋に戸惑いながらも、その気持ちを受け入れ、前に進むヴァージル。

それはそれは素敵なピンクの薔薇の花束を持ってクレアに会いにいくシーン。

思わずここで大号泣してしまった。

淡い。淡いよ。

あの偏屈爺さんがここまで人間らしくなってしまうのだから恋ってすげぇや。

少年のように生き生きしちゃってまぁ。

あんなに冷静だったヴァージルがクレアの事になるともう取り乱しまくり。

人を愛する事を知ったヴァージルの目の輝きが本当に眩しくて、
冒頭のシーン、いつものレストランで一人食事していた人物とはまるで別人なのである。

毎日楽しくて幸せでたまらないのだろうな。


恋愛に歳の差なんて関係ないよね。
お願いだから上手くいってくれ。
そんな事をひたすらに願った。


しかしながら、
これはただのラブストーリーじゃない。

ジャンルはミステリー。
このミステリーがどのように作用してくるのか私は気が気じゃなかった。


鑑賞済みのあなたは作品の結末にどう思いましたか?
またはどうなりましたか?


私べにじるしはこうなりました。



ヒュッッッッ

(↑空気を飲む音)


う…うわああああぁぁぁあああぁ。

そんなあぁあぁぁあああぁ。



物語の流れ的に不穏な方向へ進む予感はしていたんだ。

だってこれでもかっていう程に幸せを見せつけてくるじゃないか。

フラグ増し増し理想多めでしたもの。


でもでも…。


うわぁああああああああああああぁぁ!

(頭を抱えた)



全てを手に入れたはずのヴァージル。
これから先、クレアとの愛をさらに深めていくはずだったヴァージル。


ヴァージルに自分自身を重ねていた私はこれは彼の妄想ではありませんように。
そして、クレアは彼の良き理解者でありますようにと願っていた。


故にダメージを負ってしまった。


ゾッとした。

(ネムレナクナタヨ…。)

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この物語は鑑賞者によってハッピーエンドにもなるしバッドエンドにもなる映画だと思う。


依頼を受ける前のヴァージルは人を愛する喜びを知らない、孤独な男だった。

そんな彼がクレアと出会い、変化し、様々な感情を知る。


全てを失ってしまった彼だが、
その体験や記憶は何に変える事もできないほどの大きな財産となった事は間違いない。


それを知らずにいつも通りの日常を繰り返すのか、
たった一瞬でも最上に輝いた時間を過ごしたと言う事実があるのか。



クレアもクレアで、彼女の行動は演技であり、嘘ではあったが、
次第に本当の感情も存在していたのではと感じる。


ヴァージルはクレアの愛を受け、溺れる事が出来たのだ。


本当に幸福だったのだ。


「どんな贋作の中にも真実が宿る」
これは美術鑑定士としてのヴァージル自身の言葉。

このセリフは印象的だった。
真実であり、祈りのようでもあるセリフ。




美しい音楽とともに、物語は幕を閉じる。




この物語は

ハッピーエンドだろうか。

バッドエンドだろうか。



簡単に決めつけてはいけない気がする。



「偏屈爺さんが結婚詐欺にあった話」って言ってしまえばそれまでなのだが、いや実際のところそうでもあるのだが…。
ヴァージルは最後に廃人になってしまうので、堂々とハッピーエンド!!!とは言えないのだが…。

バッドエンドとも言い切れない。



初めにこの映画は未来の私への予言映画と言ったが、
ヴァージルほどに恋愛感情を揺さぶられるような出来事がこれから先、起こるのだろうか。

そんな保証はない。


故にヴァージルの事を少し羨ましくもあり、美しいとも思うのだ。




終わり。



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