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美味しかった。

読んで良かったと思う本は、いつ見つかるかわからない。
それはストーリーがどうのとか展開が好きだとかではない。わたしの場合は、ページを進めるごとに「あれ?、この人」と、なにか気がつく。

今読んでいるのは、雪舟えまさんの「凍土二人行 黒スープ付き」。

わたしは読書家ではないので、有名な人なのかは知らない。好きな作家さんが旅行中に、この方の本を読んでいますというインスタ投稿を目にして図書館で借りてきた。そんな至極ミーハーな理由。

でも、借りてきてとても良かった。
繰り返しになるけど読書家ではないので、雪舟さんのファンの方は気分を害さないでほしい。そんなわたしが、良かったと、もう一冊この人の本を読みたいと感じたのは二つ。
何となく句読点の場所と数が、自分と似ている。そんなふうに最初に感じ、安心感でほっとしていた。

句読点にコンプレックスがある。何かしら文を書くのが好きな人なら、きっとあると思うことにして自分を慰めているのだが、いつも気にしている。
ただ未熟なだけなのだろうが、なんか変だという感覚のままが続いている。

それでも自分で書きながら、読み返しながら、文を前後させたり考えるのが楽しい。それはそれで良いのかもしれないけど、明らかに読みやすい文を書ける人は多数いる。目が文字で流れないような、風通しの良さと機能性の両方を満たしたようなものを見ると、「やっぱり正解はあるんだよな」という現実で恥ずかしいような気になる。
例えば、村上春樹さんのような。スイスイ読めるくせに文字量が多い。それなのに、週末の掃除したての排水管のようにつっかえないで読み進む。
特別、内容や世界観が好きではないし、読後感が良いと思ったこともないけど、ハッキリと羨ましいなと思う文章だ。
そんなことを考えながら本を読んでいるわたしが、久しぶりに出会った本だった。

もう一つ。
読んでいて、「あー、こういうこと考える。あるある」と、これまた安心感なのだろう。登場人物の思考のスピードなのかなんなのか。
これこそが、「もう一冊読んでみたい」の正体なのかもしれない。だから、こんな風に読める本を見つけられたら、幸せだと思いながらページをめくる。

結局、どこが良いか伝わったかは分からないけど、なんだかんだ言っても誰かに読んでもらえるって幸せなんだなと思う。

テトリスも、ぷよぷよも。
大根も、トマトも。
どっちのほうが中身が詰まっているかなんて分かんないよ。
季節が味方したって、神様の悪戯だって、なんだっていい。

ありがとうございます。

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