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「私、フクロウが好きなんです」と言われた

先日、知り合いの写真家が個展を開くということでギャラリーに行った。ギャラリーには、知り合いの写真家も来ていた。

今回の個展では、フクロウをテーマにした写真を多く展示しているようだった。

フクロウへの愛を語る女性

フクロウの写真を見ながら、ギャラリーを一周回って写真家に挨拶に行くと、写真家は若い女性と話していた。写真家と挨拶を交わした後、その女性との会話に加わることになった。そしてその女性に、

私、フクロウが好きなんです

と、唐突に言われた。

20代と思われるその女性は、写真家の知り合いではなく、フクロウの写真が多く展示しているという情報を聞きつけてわざわざやってきたらしい。その後も、

「フクロウはお好きですか?」

と聞かれ、特にフクロウは好きでもないし知識もなかったが「まあ、そうですね」と返事をしたところ、「フクロウのどこが好きですか?」「私は目とおでこの部分が好きなんです」「シマフクロウがやっぱり一番ですよね」…と、怒涛のごとくフクロウへの愛を語られた。

その話を聞いているうち、こういう人は強いなという感覚を持った。

低予算映画『ひみつの花園』に感動する

他人からすると理解が難しいほどに、特定の何かが好きという人がいる。

映画『ひみつの花園』(1997年)は、子どもの頃から周りからは理解できない程お金が大好きな女性が主人公の作品で、後に『ウォーターボーイズ』(2001年)が大ヒットし、ヒットメーカーの仲間入りをする矢口史靖監督の初期作品となる。

低予算で作られており、主人公が川で溺れるシーンでは隠すことなくマネキンを使っていたりと、吹っ切った低予算感が逆に魅力となっている。

この『ひみつの花園』は、個人的にとても好きな作品で、これまで何度も繰り返し見てきた。繰り返し見た回数でいうと一番多いのではないかと思うくらい、好きな映画である。

なぜそこまで好きなのかというと、何度見ても、お金大好き主人公・鈴木咲子(西田尚美)のひたむきな姿に胸が打たれるからだ。

お金のため銀行員を辞めて猛勉強、お金のためスイミングスクールに通って猛練習、お金のためロッククライミングも猛練習…と、とにかくお金のために猛烈に努力する主人公の姿が、コミカルに面白おかしく描かれているのだが、そのお金への執着とひたむきさに笑いとともに感動を覚えてしまう。

矢口史靖節炸裂の荒唐無稽コメディであり、感動作とは違う。しかし、この作品を観るといつも感動を覚えるし、そして、生きる勇気とか元気とか、そういったことをもらえる

そして、『ひみつの花園』の鈴木咲子にしても、フクロウへの愛を語る女性にしても、何かに執着する人は強いなと感じるのである。

執着できる人は強い

京セラの稲盛和夫氏は、成功の秘訣を「情熱」と著書の中で繰り返し語っている。

また、映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016年)は、マクドナルドを大企業にした実質的創業者レイ・クロックを描いた作品であるが、作中で成功の秘訣について「覚悟と執念」と語っている。

この「情熱」と「執念」で彼らが言わんとすることは、「執着」とほぼ変わらないだろうと思う。

これまで、独立起業した人や若くしてベンチャーを立ち上げた人を何人も見てきたが、それらの中で成功している人というのは、全員がそうとは言わないが、執着心が強い人と感じる。

何か話していても、自分の事業のことばかり話して、聞いているこちらは面倒になってくるのだが、ただ、その事業のことが好きでたまらないんだろうなということは伝わってくる。

逆に、会社員時代に優秀とされていたのに、独立後ぱっとしない人がいる。そういう人は、自分が立ち上げた事業について社会貢献等聞こえのいいフレーズを使うが、しかし彼らから執着心を感じることはない。

執着するほど好きなことを持てる人は、それだけで才能だと思う。

そして、そういう人から感じるのは「強い」という感覚で、その強さが成功を引き寄せるのだと思う。

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