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6年ぶりにショートにして気づいたこと。言動とビジュアルが一致すると本来の自分で生きれる気がする。

2月の第一週だけで、二度いきつけの美容室にお世話になった。

最初に断っておくと、

一度目の仕上がりに満足しなかったからお直しをした、とか決してそういう訳ではなくて、一度切ったらもっと切りたくなってしまったという衝動を抑えきれなかった、、という子どもみたいな理由だった。

冷静にカレンダーを見つめ返すと一日おきに通ったことになるw

一度目は、ロングからセミロングという比較的変化が掴みにくい髪型のチェンジに。

しかし、その翌日の夜にやっぱりにショートにしたかったんだ、という居ても立っても居られない衝動に駆られて、

その翌日に、当日予約をしてバッサリとトータルで30cmほど切ってもらった。

美容室難民だった頃のハナシ

二十代の頃の私は、取っ替え引っ替えするようにあっちへ行っては違う、こっちへ行ってはもっと違うとブーたれて美容室難民をしていた。

もうかれこれ10年くらい。

担当していただいたかつての美容師さんには大変申し訳ないが、毎回の仕上がりに対するジャッジメントはいつも減点方式だった…。

だからこそ、一刻早く自分にフィットする美容師さんはいないものか、と自分の望みを100%叶えてくれる美容師さんに出会いたい!!と心の底から思っていた。

出会いは突然に・・・

そんなある時、弟の紹介である美容室を紹介されて行ってみることにした。

最初は、弟の担当の美容師の女性にお世話になっていたのだが、自分が切りたいタイミングで彼女の手が空いていなかったのを理由に、その時はじめて指名フリーにしてみたら、今の私の担当であるSさんという男性の美容師さんに出会った。

その彼にお世話になってもう3年近くになる(意外と短い…!)

今では彼以外には切ってほしくない、と毎回偉そうに指名させてもらっているが、

Sさんの最初の印象はあまり良くなかったというか、正直言って全然ピンときてなかった…。

飄々ひょうひょう としていて、つかみどころがない。

やる気があるのか、ないのか分からないような目つきと態度。

だけど、それがむしろ良かったのかな、と後から思った。

私は、美容室ではあまり饒舌に話しかけられたい方ではない方で、美容室難民をしていた当時、毎回担当者が変わるたびに上っ面の話をしても疲れるだけだと思っているので、必要以上に話しかけない彼に救われた。

Sさんの初回の仕上がりに満足したから、二回目以降もお願いするようになった。

見た目の印象とは裏腹な手先の器用さとセンスはこれまでの誰とも違うことがすぐに分かった。

そのうち段々と関係性ができてきて、もうほとんど何も言わなくてもこちらの意図が伝わるようになった。

例えば、

カラーをしたい時、

「今ならチョコレートのようなカラーが似合うと思う」と言われればじゃあそれで、とあとは何も言わずにおまかせ。

パーマを当てたい時、

「毎朝コテ巻くのが面倒だから、コテで巻かなくてもゆるく巻いたような仕上がりにしてほしい」という無理なオーダーにも、もちろん、応えてくれる。

ちなみに、違う時はちがうとハッキリ言ってくれるのも有難いポイントだ。

私は何事においてもこだわりが強いタイプ。

誰でもかれでもどころか、“おまかせ”なんてフレーズ自分が使うとは思わなかった。

でもある時、彼に任せておけば大丈夫。

そう気づいてからは、細かい指定はもちろんしないし、ざっくりとこうなりたい、という方向性を伝えて後は完全におまかせスタイル。

補足しておくと:私自身のこだわりがなくなった訳でも、何かを諦めた訳でもなくて、寧ろそこには彼の技術への安心感があるから、ヘタに自分が口出しをするんじゃなくて任せておこう、というプロを信頼する気持ちが芽生えたのだと思う。

自分が曲がりなりにもクリエイティブに関することを生業にしているからこそ、途中であれこれ口出しされると萎える。

そういったとき、「だったら自分で1からやれよ」という言葉が喉元でいつもクラウチングスタートのポーズをとっている🏃‍♀️(もう走り出してる。。)

だからこそ、こちらが任せたら後は余計な口出しをしない、ということは最低限のそして、相手に対する最大限のリスペクトだと思う。

幸いなことに、私の髪型は彼にお世話になるようになってから、自分史上好きな髪型を更新し続けている(すごい話だ。)

ちなみに美容室というのは高頻度で通ってもらうようにするというのがフツウという風に思っていたが、

彼は仕上がりと同時に「これでもうしばらくは来なくても大丈夫ですよ。」と言ったりする。

カラーであればより綺麗なカラーが長く持つようにひと工夫してくれ、

カットであれば長く綺麗なかたちがキープするように、美容師の手が離れても自身でセットが決まるように整えておいてくれる。

これを勝手にS氏のひとさじの魔法と呼んでいる。

そう言われれば、人間あまのじゃくでなくても、またすぐにでも通いたくなるものだ。

・・・

ある時、新店舗を構えるからと彼が店を移ることになる告げられると、私もS氏と一緒にお引越しした。

最近まで知らなかったのだが、新店舗で店を出るタイミングで彼がその店の店長をしているということを初めて知った。

「Sさん、全然店長っぽく見えないですよw」といじると、「僕もほんとにそう思います」とネタのような会話ができるまでには、関係性ができた。

そんな彼はとにかく手が速い(恋愛のクズという意味ではもちろんないw)

カットだけの時は、シャンプーも含めて入店からお会計まで40分くらい。

だからと言って、何かの工程を省略しているとかではなくて、とにかく丁寧で女性の髪ファーストである。

余計なことをしない代わりに、ここぞというところに手間ひまをかけているところも好感ポイントだ。

ちなみに今の彼は、出会ったときと比べて随分と長髪になった。

理由は、女性の気持ちが分かるようになりたいから、という実にシンプルな理由でセミロングにしているそうだ。

どこまでも、女性の「髪」ファースト。

自分のことを嫌ってくるタイプには、見向きもしない。それは、誰を助けたいかが明確だから。

ある時、S氏がボソッと言った。

「自分は好き嫌いが分かれるタイプ」だと。

ふ〜ん、と聞き流しながらもそりゃそうだろうな、と思った。

だけど、

自分のことを嫌う人はどうぞ嫌ってくれて構わない。むしろ何とも思わない。社交辞令で通ってもらうくらいなら、自分のことを本当に必要としてくれる人が来たいときにいつでも来られるように席を空けておきたい」と低い声で言うのだ。

誠にことの本質をついている。
程度問題はあれど、その姿勢は見習いたい部分が多いにあると思った。

こういうところ、マーケティングとしてやっているなら本当にウマいと思うけど、当人は思ったことを口にしているだけのようだ。

ちょっと世の中のことを斜に構えているというか、批判的な側面を持ちながらも自分の意見をしっかりと持っている。

最初は、鼻につく?と思ったこともあったけど、いつしかSさんと私はちょっと似てるかも、そんな風に思うことも増えた。

という訳で、ここまではSさんのためのnoteのようになってしまったが、

まとめると、スルメのような魅力を持つS氏に私の髪は大いに支えられてきた。

10年前、美容室難民をしていた私、安心してと手紙を書いて伝えたい。

6年ぶりにショートにして気づいたこと。言動とビジュアルが一致すると本来の自分で生きれる気がする。

最近の自分の自身の言動やこうありたいと思いにロングヘアの自分がフィットしていないような気がずっとしていた。

その違和感に無理やり名前をつけてしまうなら、髪型に頼ってその場をかわいくおさまろうとする自分へのアンチテーゼだった。

そう気づいてから、大好きだったはずのロングヘアの緩やかなウェーブもただの重たい飾りのように思えて、ちょっと辛かった。。

好きだから手塩にかけてお手入れするのか、お手入れするからこそ好きになっていくのかわからないけれど、今の自分はたとえ後者の理屈が通る場面でも、短い髪の自分を早く愛したい、とたしかに言っていた。

Kahoさんってこうだよね。と幸か不幸か染みついたイメージを払拭しないとあらたなステージにいけない、そんな気だけはたしかにあった。

だから、生き急ぐようにこちらからビジュアルを合わせに行ったのかもしれない。

他者のこうあってほしい、に寄り添うことで救われている部分も多分にある。だけど、それによって自身が守りすぎている部分だってきっとある

言わなきゃいけない場面でいいたいことを言えずにガマンしてしまう。

これを言ったら、イメージと違うといって嫌われてしまうかもしれない…そんな恐れという名の荷物が呪いのように肩にドーンとのしかかっていた。

それがこのタイミングで髪を切りたい、イメージを変えたいと真夜中に私の心を揺さぶり訴えかけてきた。

結果、ショートヘアにして本当によかった、と心から思う。

まだ上手く言語化できていないけれど、そう思えたなら自身の言動やこうありたい、という想いに寄り添った結果だと思う。

美容室からの帰り道、私の心は髪の量に比例するように軽かった。

かほ|旅とエッセイ。
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