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私の心に “足跡” を残していった本。

今回は「私の心に足跡を残していった本」を綴ります。

正確な数字はわからないのですが、
私は「本の虫」で年間200~300冊の書籍を読んでいるため、きっとこれまでに2500~3000冊くらいは読んでいると思います。

どの本も私の人生を豊かさをもたらしてくれましたが、私の前を足早に立ち去っていく本もありますし、その一方で、私の心に” 足跡 ”を残していく本もあります。

その本の中から「私の心に” 足跡 ”を残していった本を5冊」綴ります。


あえてこの観点で書き綴る背景としては、私のライフワークであるコーチという仕事は、スキルより何より “ 心の在り様 “ がコーチングの質に影響すると私は考えています。

その理由は以下の記事に綴っていますので、お時間ある方は先でも後でも読んでみてください。


では、早速始めます。


❚ 1冊目


『 無人島に生きる十六人 / 須川 邦彦 』

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明治31年、太平洋上で無人島に座礁した船、「龍睡丸」の乗組員の実話です。

座礁し脱出した16人を乗せたボートは、珊瑚礁のちっちゃな島に漂着しました。そこで他船による救助を希望に、文明から断絶された生活と人間模様を描いた一冊。

無人島に漂着した初日、船長が船員たちに向かって、この様に伝えました。

「島生活は、今日から始まるのだ。初めが一番大切だから、しっかり約束しておきたい。一つ、島で手にはいるもので、暮らして行く。二つ、できない相談をいわないこと。三つ、規律正しい生活をすること。四つ、愉快な生活を心がけること。さしあたって、この四つを、固く守ろう」


「死」が頭をかすめている精神状態で、この様なことを語れる在り方が本当に素晴らしいと思いました。余裕のない時ほど人の本質が出るかと思いますが、船長は日頃から自己の在り方を研鑽されていたのだと思います。

ちなみに、実際に漂流した島は、大西洋ど真ん中にある「パールアンドハーミーズ環礁」という小さな島。

▼位置

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▼航空写真

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また、漂着後に船長はこの様にも語っています。

「私は、この時から、どんなことがあっても、怒らないこと、そして、叱ったり、小言を言ったりしないことに決めた。みんなが、いつでも気もち良くしているためには、小言は、邪魔になると思ったからである」

「いままでに、無人島に流れついた船の人たちに、死んで行ったりしたのは、大概『自分はもう生まれ故郷には帰れない』と絶望してしまったのが、原因であった」

「一人のすることが、十六人に関係しているのだ。十六人は一人であり、一人は十六人である」


これもリーダシップや人間関係の本質を語ってくれている気がします。

“事実は小説より奇なり”

とはよく言いますが、本当にこのような聡明な人物がいたのならば、自分もそういう人間になりたいと思わせてくれます。

「ないもの」ではなく「あるもの」に注目する
「できないこと」ではなく「できること」に注目する


このような在り方は、コーチの基本的な考え方でもあると思うので、人としてもコーチとしても心に響く一冊でした。


❚ 2冊目


『アルケミスト〜夢を旅した少年〜』

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概要は、主人公の羊飼いの少年サンチャゴが、自分が夢の中で見た「宝物の在り処」を目指して遠い遠いピラミッドへ旅をする話です。

童話に近いテイストですが、人生の教訓が全て詰め込まれていると言っても過言ではない一冊です(私自身、10回以上は繰り返し読んでいます)

心に留めておきたくなるフレーズも満載です。

『傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだ』

『夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。それは失敗するのではないかという恐れだ』

『人生で簡単に見えるものが、実は最も非凡なんだよ。賢い人間だけがそれを理解できるのさ。わしは賢い人間ではないから、何か技術を学ばなければならなかったのだよ』

『瞳はその人の心の強さをあらわす』

『近すぎて分からないことや、見えないことも、少し距離を置いて遠くから眺めてみると、求めていた答えが見える。

私はこの本に、24歳の時に出会いましたが、初めて手に取ってから毎年1回は読み直しています。読む度に以下のことを真正面から問うてきます。

「私はいま挑戦をしているだろうか?」
「私はいま冒険しているだろうか?」
「私はいま自分の価値観や直感に従って生きているだろうか?」

そして、挑戦を目の前にする度、羊飼いの少年、サンチャゴの姿が頭をよぎります。

もし「私はいま挑戦をしているだろうか?」の問いに対し、すぐさま「YES」といえない場合は、自分を谷底に突き落とす様な想いをもって、自分に挑戦・冒険をさせてあげています。

私はAudibleバージョンでも聴きました。
音声バージョンだと物語を読み聞かせてくれるので没入感があり、世界観にも入り込みやすかったです。ちなみにAudibleは初回の1冊だけ無料で聴けるので、興味の湧いた方は試してみては。


❚ 3冊目


『誕生日を知らない女の子 虐待―その後の子どもたち / 黒川 祥子』

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親から虐待を受けた子どもたちが救出された後、「育ち直し」の現場であるファミリーホームで虐待の後遺症に苦しみながら生活する姿と、その子供たちを支援する大人たちに密着したノンフィクションの本です。

これを読んで分かることは、様々な環境で育つ子供がおり「育つ環境」が子供のライフスタイルに大きな影響を与えているということ。

本当に様々な体験をしている子がいます。

家族に誕生日を祝われたことがなかったため、自分の誕生日を知らない女の子

親にひどい虐待をされ続けてもなお、親を愛し、施設を脱走して親の元に戻りたがる子。そして、それを拒絶する親

長らく「人との対話」を経験をしてこなかったため「人の声」には一切反応をせず部屋の隅に座って一点を見つめている。起床・食事・お風呂・就寝の際になる「ベル」にだけ反応して行動する女の子

お風呂に入る習慣がなく、いつも不衛生な状態で生活している子


ベストセラーの「ファクトフルネス」にもある通り、世の中から貧困は減り、犯罪も減っています。その上で、目に見えている世界だけではなく、日本のどこかにそういった子供が存在している事実は常に心に留めておきたいとも感じます。

そして、虐待をした張本人である親自身も苦しんでいるケースも見受けられるため、子供への直接的な働きかけはもちろん、周囲への働きかけ、環境への働きかけ、構造的な働きかけなども大事だと思います。

だからこそ「私の今日のちょっとした善行が回り回って、子供たちの環境をより良きものにする助けとなる可能性がある」という淡い期待をもって一日を過ごすキッカケを与えてくれた一冊です。


❚ 4冊目


『捨てられしものを描き続けて / ガタロ』

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こちらは画集です。
画集といえば「海」「山」「花」「夜景」「人物」といったものを想像するかもしれません。

しかし、
この画集には「掃除用具」が描かれています。

作者は清掃員画家と言われているガタロさん。
広島市中区の基町アパートで清掃員として働きながら、相棒である掃除道具をはじめ、人に顧みられないものを描き続けています。

このため、画集をパッと見た感想として「美しい」という言葉は出てきません。

しかし、じっくり見ていると奥から滲み出てくるような美しさを感じます。この感覚はガタロさんのコメントを見て腹落ちしました。

「何の文句も言わず、汚い所を綺麗にしてくれている。そういうものが美しくないわけがない」


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機能やデザイン、見た目の美しさではなく、そのモノがこれまでにやってきたこと。つまり、「“営み” としての美しさ」を描いています。

感じたことがないほどに「個性」「息遣い」「生々しさ」「力強さ」を感じます。とにかく「生きるとはこういうこと」と感覚的に理解させてくれます。

そんなガタロさんが掃除用具を描く理由はとてもシンプルで「ボクが描かなかったら誰も描かないから」。モチーフは、清掃の道具の他にも、原爆ドーム、人間も描いています。

これらの画からは、生命力、人間愛、そして、怒りに似た激情も伝わってきます。
ちなみに、私の大好きな画家『アーニー・バーンズ』の作品にも近しいメッセージを感じます。

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ちなみに、人前で話すのが苦手らしく、画集の出版記念パーティではビールを飲んでから登壇されたという話もあり(笑)非常に人間味の溢れる人物です。

興味を持たれた方は、Amazonでは価格が高騰していましたので、まずはGoogleの画像検索で作品を観て頂くと良いかと思います。


❚ 5冊目


『こころのチキンスープ / ジャック・キャンフィールド』

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心を揺さぶる物語を世界中から集め、それを書籍化したのがこの「こころのチキンスープ」です。

一冊あたり30~40エピソードほど掲載しています。
どのエピソードも素晴らしい教訓を与えてくれるので、何度も何度も私の心に足跡をつけていきました。当然「どの巻が1番」とも言い難いので、最近読んだものの中から一つエピソードをご紹介します。

<スマイル>

「星の王子さま」の著者サンテグジュペリは、第二次世界対戦中にパイロットとしてナチスとの対戦で死亡していますが、スペイン市民戦争でも戦いました。
その経験をもとに「スマイル」というストーリーも書いています。

スペイン市民戦争の真っ只中、敵の手に落ちた彼は監獄に放り込まれていました。看守の侮辱に満ちた目つきと乱暴な扱い方から、翌日の処刑は疑いのないものに思われました。

<ストーリーの一部を抜粋>
僕はもうすぐ処刑されることになっていた。
神経がキリキリ研ぎ澄まされ限界だった。タバコが吸いたい…。

ポケットの隅にやっと一本を見つけたけれど、指がブルブル震えて口に持って行くのもおぼつかなかった。なんてことだ!今度はマッチが見つからない。
鉄格子の隙間から看守が見えるが僕を全く無視した態度だ。それも無理はない。 僕はもう死んだも同然なのだから。

「ちょっとすみませんがマッチはありませんか?」

看守は僕をチラッと見ると「今更何の用だ」と言いたげにやってきた。
看守が僕のタバコに火をつけたその瞬間、目と目が合った。僕は思わず彼に微笑んでいた。死がそこまで来ているというの敵に微笑むとは僕はどうかしてしまったのだろうか!?

神経がものすごく高ぶって判断がつかなくなっているのかもしれない。それとも人間とは人と向かい合った時、無意識に微笑むようにできているのだろうか?なぜかわからないまま、僕はただ微笑んでいた。

しかし、あれは錯覚だったのだろうか?目が合ったその瞬間、火花が二人の心と心の間を飛び交ったような気がした。 看守も微笑み返すつもりなどさらさらなかっただろうに。 あたかも僕の笑みが鉄格子を超え看守の口元を緩めたかのようだった。

彼はタバコに火をつけ終えた後もその場に立ったまま、笑みを浮かべじっと僕を見つめていた。僕もずっと微笑んでいた。 もう看守と囚人ではなく対等の人間同士だった。やがて彼の視線が微妙に変化し始めた。

「お前には子供がいるのか?」

「ああ、写真がある。見てくれ。」

ブルブルと震える手で家族の写真を引っ張り出し、看守に見せた。
彼も自分の子供達の写真を取り出すと、子供達への夢や期待などを話してくれた。それに引き換え僕は二度と家族に会える見込みはない。可愛い子供たちの成長を見ることもない。 僕の目には涙が溢れた。看守の目にも涙が浮かんだ。

その時だった。突然。看守は何も言わず監獄の鍵を外すとこっそりと僕を外に出してくれた。そして人目を避けて裏道を使い街のはずれまで連れて行くと僕は逃してくれた。

そして、そのまま何も言わずに帰っていった。

分かるだろうか?僕の命を救ったのは他でもない、このささやかな微笑みだったんだ。 

このようなストーリーです。

私はこのストーリーから「いかなる状況でも自分のコントロールできることに集中する」「誰も始めないとしても、そして、周りが協力的でないとしても、まずは自分から始める」という教訓を得ました。

▼こころのチキンスープ


ぜひ、あなたの心に足跡を残した本もコメントなどで教えて下さい。



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