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[論文リスト] magnetic alignment

magnetic alignment:
動物の体や体を動かす向きが地磁気の南北軸あるいはそれを基準とした特定の方角に偏る(偏っているように見える)現象。理由はわかっていないケースが多そう。


この記事↓を読んで、Twitterで新しい情報ももらったので、関連論文をざっとリストアップ&メモ。網羅はできていない&どの論文も全文は読んでいない、です。


論文リスト

コイ
上の記事で紹介されていた2012年の論文。チェコのクリスマスマーケットで売られている食用コイの写真を撮りまくって頭の向きを調べたら、磁南北にピークがあった、という話みたい。

・Yoshidaくんも書いていたけれど、みっちり水槽に詰まっているので各個体の方位が独立じゃなさそう。1匹ならどうなるだろう。
・磁南北以外にも結構向いてるようだ...


ウシ
magnetic alignmentあった:
2008年の論文。衛星写真に写ったウシとシカの体の向きを集計。偏角の大きな地域で調べることで地理的な南北ではなく地磁気の南北に沿っていることが示された。


magnetic alignmentなかった:
2011年の論文。上の研究と同様の手法で調べたけれど、alignmentは検出されなかった。問題点を指摘。


いや、ある:
2011年の論文。上の論文にさらに反論する形。データのフィルタリングと解析手法に問題がある、という指摘。


magnetic alignmentない:
2018年の論文。ウシの首に強い磁石をつけた場合とつけていない場合とで体の向きの分布を検証。どちらの場合もmagnetic alignmentは検出されなかった。

・磁石なしでもmagnetic alignmentがないなら、検証になっていないような?


キツネ
2011年の論文。草むらや雪に覆われた場所で獲物に飛びつく方角が北東に偏っており、他の方角へ飛んだ時よりも捕獲成功率が高かったらしい。消去法的に、地磁気を手がかりにしているのだろう、と考察。さらに、地磁気の伏角情報から獲物までの距離情報を得ているのではないかと推測。alignmentの機能(捕獲成功率を高める)についても言及できている点をアピール。

「地磁気から距離推定」の話はこの論文↓(2010年)から来ているみたい。この話知らなかった、読もう。


フラミンゴ
2017年の論文。4種のフラミンゴの体の向きを18箇所で記録。曇りの場合は磁南北に偏っていた。風がない時には太陽と地磁気を組み合わせて体の向きを決めている?


■ 水鳥
2013年の論文。無風状態で水鳥が着陸(着水?)する方角が磁北に偏っていた。8ヵ国14種のデータ。


イヌ
2013年の論文。排泄中のイヌの体の向きが磁南北軸に沿っている、らしい。


そういえばこの論文↓もだった。猟犬が飼い主のもとへ戻るときに磁南北軸に沿って移動する傾向があった。


齧歯類
2018年の論文。5種の齧歯類について、地中に掘られたトンネルの伸びる方向を分析。磁南北軸に沿っている種とそうでない種がいた。

・トンネルデータがすごいしおもしろいと思った(別の研究グループからもらったデータっぽい)。
・地中動物の研究いいなー。


レビュー
2013年。哺乳類のmagnetic alignment論文のレビュー。


magnetic alignmentを検証する方法

・偏角の異なる地域で同じ傾向があるかどうかを見る

・磁石をつける

・人工的に磁場を作る/操作する

・無理やり向きを変えてみて、元に戻るかどうか

・他の要因を潰していく(消去法)

など


思ったこと

・いろんな動物のmagnetic alignment報告が同じグループから出ていたのを初めて知った。

・なんのための「alignment」なのかわからない場合は、同じ種でも研究ごとに検出されたりされなかったりがあっても不思議はない。それぞれのケースで検証実験もセットでできたら理解が進むんだろうな。

・なんのために...?というのがやっぱり気になる。機能とかはなくて、なんとなくしっくりくる、みたいな感覚もありえるんだろうか。ヒトも、ぼーっと立ってると無意識に磁南北軸に沿ってしまうとかあるんだろうか。


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