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オランダ人のゴアグラインド耐性について論文が書けるくらいに科学する

 世界には様々な音楽がある。古典的なフォークから現代的なデジタルサウンドまで、それらが共存あるいは背反することによって、新たな音楽が日々開拓されている。
 しかし、そうした中においてメタル系ジャンルに部類される楽曲はひときわ「異形」である。理由は多々あるが、ピックアップすべきことは一つ、「文明の利器が生んだ古典的楽曲」であることだ。
 自分の持論では、音楽の「原型」は単なる拍子取りのために手や木を打ち鳴らしたことと思っている。メタルは、エレキギターやドラムなど現代的な楽器が使われてこそいるがその「原型」に則る形で演奏されるものが多いーーその極端な例が使われて今回のテーマとなるゴアグラインドだ。
 ゴアグラインドというジャンルは歴史的に見ても新しいことは否定できない。トラディショナルメタルからデスメタルが派生して市民権を得たように、ゴアグラインドもそうした音楽をルーツとしながら今日の音楽業界において独自進化したものである。
 自分が初めてゴアグラインドに触れたきっかけは、ネットミームになっていたオランダのゴアグラインドバンド・Last Days of Humanityを知ったことだ。冒頭からスネア主体のドラムが暴れるほどに主張して、意図的にモノコードを奏でるギターとベースを覆い隠している。もはやギターのリフさえ聴き取れないほどに。そこに重なるボーカルは「歌っている」というより「唸っている」と表現する方が似つかわしい。
 ネットミームの震源地となった楽曲の他にも、彼らのライブ音源に触れる機会があった。しかし音楽性は同様に確からしく、彼らは「原型」に則って演奏しているという「錯覚的結論」にさえ至ったくらいである。
 Last Days of Humanityを生んだオランダは、かねてよりパンク系音楽が盛んだった。彼らのようなバンドが存在することもある意味「音楽史上の必然」と捉えられるし、パンクとメタルの延長上にあるゴアグラインドが受け入れられることもまた必然と言える。
 しかし、あくまでも自己責任で検索していただけるとわかるがそうした音楽のCDジャケットはグロテスク極まりないものであり、日本は疎かアメリカでも規制がかかるほどだ。
 オランダ人はこうしたCDジャケットに抵抗はないのだろうか? もちろんそんなことはないだろう。とはいえ、自分たち以上にーーあるいは北欧諸国以上にーーゴアグラインドが「根づきやすい」土地柄、彼らにとって日常の断片にそうしたジャケットすらあるのだろう、とまで疑ってしまう。
 ある調査で、北欧諸国を始めメタル系を愛聴する国々は「幸福度合いが高い」ことがわかっている。ゴアグラインドが根づくオランダも幸福度合いは高め抵抗あるため、それにより一つの文化が確立しているとも取れる。
 かくいう自分たち日本はどうか。兄がこっそり「アキバ系ゴアグラインド」という、一見しても食べ合わせのようなジャンルのCDを買ったことがある。未だ聴いたことはないが、オランダで流行するようなゴアグラインドサウンドを基調としながらも、日本至近距離ポップカルチャーの味わいを導入したものと推察できる。
 つまり、日の目こそ浴びないがゴアグラインドは一つのジャンルとして存在していると言える。

 今回はここまで。推論を述べるに留まっているが、オランダにおけるゴアグラインドの立場を自分なりの視点で科学したことが伝われば幸いである。
 感想や意見、質問があればコメントで伝えていただきたい。

 それでは、また機会があれば。

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