くまのプーさん

  最近、夫と息子の間で「プーのおバカさん」というセリフ(クリストファーロビンを真似た優しい声音で)が流行っている。〝バカ〟ということばを使ってほしくはないが、この場合ニュアンスとしては悪い意味ではなく、親愛を込めたものだとわかるので注意すべきかどうか迷っている。先日、本屋へ行くとアシェットから出版されているディズニーゴールデンブックというものを発見した。創刊号のくまのプーさん、たったの190円!迷わずレジに向かった。

  プーさんは可愛いし、ディズニーの中でも好きなキャラクターの上位に入る。しかし、アニメーションを観ると何かが引っかかる。例えばこんなセリフ。「ハチくんはハチミツを作るためにいるんだよね。で、ハチミツは食べるためにあるんだ」ハチミツはプーさんが食べるために作られているわけじゃない!と何故だかムキになってしまう。とはいってもハチミツは何のためにあるのか、本当のところは知らなかったので調べてみると、ハチミツはミツバチの保存食で子どもたちの食料でもあるのだそう。

  この気持ちの正体は何だろう。おバカさんでも、自己中心的でも、みんなが「ふふふ」と笑って許してくれる、そんな〝愛すべき存在〟であるプーさんのことが、わたしはきっと羨ましいのだ。ちゃんとしていなくても、自分の欲ばかりを求めても、それでもみんなに愛されるプーさんが。ずっと、いい子でいようと頑張ってきた。聞き分けが良く、我慢強く、母の望むいい子で在ろうと自分を押し殺して生きてきた。プーさん、いつかあなたのことを「ふふふ」と笑えるわたしになるからね。

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