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【メディア解剖連載 Vol.2】MarkeZine副編集長 道上飛翔さん

現在、B2B企業向けに広報部門立ち上げコンサルティングを行うリープフロッグ松田純子PRコンサルタント高橋ちさ、ライターとして参加してくださる企業広報の3名(橋尾日登美さん、前田弥生さん、堤はるなさん)が共同で、【メディア解剖連載】を行っています。

※連載の趣旨は、こちらの記事の冒頭をご覧ください。

毎回、松田と高橋が専門とするBtoB分野のメディアの方をお招きし、
以下のような項目を中心にヒアリングしてnoteにインタビューを掲載
していきます。各社の広報の方に、ぜひお仕事の参考にしていただければと思います。

・媒体コンセプト、ターゲット読者
・取材の注力分野
・広報担当者との関り方
 など


第2回は、MarkeZine 副編集長の道上飛翔さん

にお話を伺います!

 
MarkeZineの媒体資料
プレスリリースの送付先:magazine@shoeisha.co.jp
 ・取材・寄稿応募フォーム


MarkeZine 副編集長 道上飛翔さん

プロフィール
大学卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心からMarkeZineを読んでいたことをきっかけに、2015年4月翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副編集長に就任。マーケティングイベント「MarkeZine Day」のオーガナイザーを務める。


■MarkeZineのコンセプト、ターゲット


Q:本日はよろしくお願いします。まずMarkeZineのコンセプトとターゲットについて教えてください。

MarkeZineのコンセプトは、「劇的に変化するマーケティングの今を発信する」です。最新のマーケティング関連情報を幅広く掲載しています。2006年の立ち上げ当初はSEOやインターネット広告関連の情報が中心でしたが、昨今はTikTokやInstagram、TwitterといったSNS、TVerなどマスメディア由来のオンラインメディアの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)など様々なジャンルの情報を取り扱っています。

そして、メインとなる読者ターゲットは、事業会社でマーケティングを担当されている方です。このほかに広告会社やコンサルティング企業、ツールベンダーなどで働く方、マーケティングを経営に活かしたいマネジメント層の方など、読者層は広がっています。


MarkeZine


Q:MarkeZineが取り上げるテーマは具体的にどういった内容になるのでしょうか?

大きなテーマとしては、企業のブランディング、BtoBマーケティング全般、データ活用、SNS、消費者インサイト、ダイレクトレスポンス(問い合わせや購入などユーザーからの反応を得ること)などです。これに加えてマーケティング領域におけるDXや組織・人材などもテーマとして扱います。これらのなかでも、特に企業の直接の売り上げに繋がる広告やプロモーション関連の情報は絶対に逃さないようにしています。


Q:さまざまなマーケティングメディアがあるなか、MarkeZineの差別化ポイントはどこにあるのでしょうか?

いわゆるメディアだけでなく、マーケティングの情報を発信するオウンドメディアも増えてきていますよね。MarkeZineの特徴としては、まずは事例記事が多いことです。またウェブメディアに限らず、数千人規模の大規模イベント、雑誌、有料コンテンツの会員サービス、音声コンテンツ、調査事業など、幅広いチャネルでコンテンツを発信していることも特徴です。
 
加えて、「調査データ」関係の記事が多い点も特徴です。生活者(Z世代、シニア世代etc.)のインサイトに関する調査コンテンツは、よく読まれている印象です。たとえば、「今年の冬はある世代に、あるカテゴリの商品がもの凄く売れている。その理由は何か?」といったような情報をプレスリリースで送っていただいたり、取材のご案内をいただけたりすると有り難いです。


■編集部が注目しているトピック


Q:次に編集部について伺います。取材範囲はどのように役割分担をされているのでしょうか?

編集部には全体で11名ほどが在籍していますが、特にこの分野を誰が担当するという決まりはありません。メンバー間で情報共有を行っているので、マーケティングに関わる情報であれば、どのメンバーに情報提供をしていただいても問題ありません


Q:それは助かりますね。編集部が最近注目しているトピックは何ですか?

TikTokなどの「新興デジタルプラットフォーム」は読者の注目度が高い
と感じています。最近では、TikTokやPinterest(ピンタレスト)の広告関連ニュース、マイクロソフトが日本で広告事業を始めたニュースなどがよく読まれていました。
 
そのほか、まだ実証実験段階の「メタバース」への注目度もかなり高くなってきました。「メタバースとは何か、それがどうマーケティングに関わってくるのか」という所が注目しているポイントです。
 
あとは、「データ活用」周りのトレンドですね。クッキーレスの話題や2022年4月にあった個人情報保護法の改正から約半年経って実務をする上でどんな変化があったのかなど、ちょうど課題が出てくる時期なので情報収集したいと思っています。


■道上さんの情報収集の方法


Q:道上さんは普段どのように取材先探しのための情報収集をされていますか?

私の場合、取材自体が一つの重要な情報収集の場になっていると思います。企業さんに取材させていただくなかで、「最近どの分野に注目していますか?」といった質問をし、取材先のマーケティング担当の方が知りたい情報を探ったうえで企画を考えるようなこともあります。
 
あとはTwitterやFacebookなどのSNSをかなり見ています。これまで取材したマーケティング担当者さんや広報さんなどとSNSで繋がっているので、そうした方々が今気になっていることや面白い事例として投稿している内容はチェックするようにしています。


■広報からの情報提供・取材提案


Q:MarkeZineには事例の掲載が多いと伺いましたが、広報側から事例に関する情報提供や取材提案をすることは可能ですか?

もちろん大歓迎です。MarkeZineはスタートアップから大企業まで幅広く情報をカバーしているので、事例に関して、BtoB、BtoC、業界、企業規模などは特に問いません。
 
ただし、単にその企業さんのツールの紹介やPRにとどまる内容だと記事にはしづらいです。事例をご提案いただく際のポイントとしては、サービスなどを導入したあと、結局「やってどうだったのか」と「数字」を明確にしていただくことです。読者が一番知りたいのは、やっぱり結果(成果)です。
 
成功、失敗はどちらでも良いのですが、単に「やりました」だけではなく、「やってどうなったのか」を定量的に説明できる事例だと伝わりやすいです。記事を作る時は数字がフックになりやすいですから。
 
もう一つ、事例企業のネームバリューもポイントになります。やはり誰もが知る企業の事例ほど読まれやすいので企画として進めやすいです。
 
こういった「事例」や先ほどお話した「調査データ」はよく読まれるので、ぜひ積極的に情報提供していただきたいです。


Q:なるほど、分かりやすいです。ちなみに、道上さん個人には1日にどのくらい企業からメールが届きますか?

MarkeZine編集部のプレスリリース送付先は別として、私個人のメールでは1日に40〜50件ほど受け取っています。メールは毎日大量に届くので、ある程度フィルターをかけて面識のある方や繋がりのある方、記事化しやすいなと思う方からの連絡は見逃さないようにしています



メールはフィルターをかけて確認



Q:広報さんとの新しい繋がりはどのようにして作っていらっしゃいますか?

面識のある方からの紹介や広報さんが集まる会などで繋がることが多いですね。最近は単純に直接会う機会が減り、オンラインになることが増えました。でも、TwitterのDMやFacebookメッセンジャーは見ていますし、興味があったら少し話を聞いてみようかなと思うこともあります。
 
なので、MarkeZineが取り上げるべきだと思う情報があれば直接DMなどでご連絡いただければと思います。全部に返信はできないのですが、返事が無ければもう一度送っていただいても大丈夫です。


■受け取りたいプレスリリースとは?


Q:メールやDMでさまざまなプレスリリースが届くと思いますが、どういったプレスリリースが目に留まりやすいんでしょうか?

個人的に目がいくのは協業や業務提携などの情報です。「そことそこがくっつくんだ!」と驚くことも多く、思わず見てしまいます。
 
一般論で言えば、プレスリリースに注目させるために一番大切なのは「タイトル」だと思います。興味がないものはタイトルの段階で、はじいてしまいますね。弊社もメールマガジンを配信しているので分かりますが、やっぱりタイトルは大切だなと。
 
特に「送り主の社名・ブランド名」と「キーワード」は必ず見ます。キーワードというのは、例えば、先ほど言った「メタバース」「TikTok広告」であったり、僕たちが注目しているトレンドに関連する言葉などです。あまり会社をよく知らなくても、この「キーワード」を踏まえてタイトル作りをしていただけると目を通すと思います。


Q:やはりタイトルは大切なんですね。読んで分かりやすいプレスリリースとはどんなものでしょうか?

何よりもまず、要点がまとまっていることですね。このプレスリリースで何を伝えたいのかがはっきり伝わると読みやすいです。「どんな新規性があるのか」、「このサービスならではの差別化ポイントは何か」など、何を伝えたいのか分かりやすいことが重要です。
 
また、分量の話で言えば、プレスリリースを元に記事を書くこともあるので、情報を取捨選択しやすいようにコンパクトにまとまっていた方が掲載しやすいです。もしプレスリリース自体が長くなってしまう場合は、見出しをつけてブロック分けして欲しいです

逆を言えば、記事にするのに必要のない情報ばかりがたくさん書かれているプレスリリースは良くないプレスリリースと言えます。
 
いくら送られてくる情報が大量でも、タイトルなどを見てMarkeZineに合いそうな情報には目を通しますし、そうしたプレスリリースは結果的に記事化や取材に繋がっていると思います。


Q:プレスリリースは何時くらいに送った方がいいものなんでしょうか?

午前中に出した方がいいと思います。一般的なB2Bメディアだと営業時間内に記事をあげるので、それに間に合うようにするためです。自社にとって本当に重要なプレスリリースなどは、事前に情報を提供いただけたら発表と同時に公開できる可能性があります。ただし、送った後に情報に変更があると手間がかかるので、最終の情報を送っていただきたいです。
 
また、メディアの立場からすると毎日同じ会社の情報を取り上げるわけにはいかないので、最低でも2,3営業日は空けてプレスリリースを配信した方がいいと思います。見落としも含めて、やはりコンスタントにプレスリリースを出す会社さんの方が結果的には目に留まりやすいかなと思います。


■広報にして欲しいこと、して欲しくないこと


Q:最後に広報担当者にして欲しいこと、して欲しくないことを教えてください。

広報さんのなかでも、「こういう切り口で取り上げて欲しい」が見える提案をしてくれる方は凄いと思いますね。
 
そうした方は、「業界に大きなインパクトがある○○について発表するので、ぜひ記者発表に来てください」などと連絡をくれます。単に、「何日に記者発表があるので来て下さい」だけだと、なぜ来て欲しいのかが分からないですよね。
 
ほかにも事例の提案であれば、「この情報が読者に刺さるはずです」など、一緒に記事を作れる感覚になれると凄く嬉しいです。
 
あと、広報はお仕事的に人間力が大切になると思っています。特にファーストインプレッションは重要です。一回目の取材でやりやすいと感じたら、その後もその方から連絡が来た時に検討しやすくなります。


Q:広報との“仕事のやりやすさ”のポイントは何ですか?

取材調整が早かったり、その後のやり取りがスムーズなことですかね。取材前に取材対象者にメディアの紹介をしておいたり、取材で話す内容について打ち合わせをして準備をしておいていただけると良いなと思います。そうした基本的なことをしていただけていれば、変な印象を持つことは無いです。


なるほど。基本的なことをしっかりと、ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました! 今回伺ったお話を今後さらにしっかり意識して広報活動を行いたいと思います。
(本記事は22年12月時点の情報です)


※過去の「メディア解剖連載」はコチラ


(ライター:堤はるな  Twitter@tSutsumi_13
1999年3月生まれ、兵庫県出身、人に対する“諦め”をなくす組織コンサル会社のブランディング担当。大切にしているのは誠実さと経験。好きなものはチーズとアイドル

(編集・構成:リープフロッグ 代表 松田純子)
B2B企業向けに、伴走型・人材育成型による広報部門の立ち上げ支援コンサルティングを行うリープフロッグ代表。「広報の目的=企業成長」と捉え、新人、ひとり広報でも最速で効率よく広報部門を立ち上げ、企業成長に資する広報活動が行えるよう支援。各種メディアでの執筆、登壇多数 
リープフロッグHP


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