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当事者だからできる「誰もが働きやすい環境づくり」

ハッタツソン2020のプレイベントとして、「働く」をテーマに発達障害の当事者にリアルな声を発信していただく、全5回のオンラインイベントを開催しました。

第4回目は、会社員として働く鹿野 千絵(しかせん)さん。今までに19回も転職し、障害者雇用から一般雇用までさまざまな雇用形態で就労。その中で気づいた職場環境との向き合い方について、お話を伺いました。

鹿野さん

鹿野 千絵(しかせん)
1982年、奈良県生まれ。25歳で自閉症とADHDと診断される。社会人生活20年の間に19回転職し、現在は障害者支援の支援員として就労。障害者雇用から一般雇用、派遣までを経験。
Twitter(@shikano_chie)

これまでに飲食店や営業、医療助手、工場の品質管理、販売員、コンビニ店員などジャンルを問わず働いてきたしかせんさん。その中で7年続いたスーパーの店員で経験した、職場環境の改善事例を中心に話が進みます。

小さい頃から毎日ランドセルを忘れるほど、物忘れが激しかったそう。社会人生活では人の顔を覚えられず、プライベートで上司の顔を認識できないなど、苦労したと言います。特に計算が苦手だったため、期限切れ商品の日付を間違ってしまい、クレームであわやクビになりそうに。そのときに上司からの提案で、職場環境改善プロジェクトのリーダーに任命されます。

当時の職場では、商品状況がわかりにくいうえに、業務過多でミスを起こしやすい環境になっていると分析したしかせんさんは、食品の期限表を提案。古参の従業員からは「パソコンの使い方がわからない」と反発がありましたが、不慣れな人でも操作しやすいフォーマット作りを行い、導入を決めます。

しかし、当初1ヶ月単位の表にしていたため、字が細かくて見えにくい、行を読み間違えるなどの問題点が浮き彫りに。ブラッシュアップして日単位に作り直した結果、見切り商品の7割削減へ。食品期限表は全店導入に至り、しかせんさんは会社から表彰状をもらうなどの功績をあげました。

この経験からしかせんさんは「働きやすい環境は、提案して作っていくことが大切」と強く言います。苦手分野が極端な発達障害当事者だからこそ、働きやすい環境は作れる。そのためには、できないことを誰かに助けてもらうことや、一目見てわかりやすいツールなどを取り入れて誰でも働きやすい環境にすることが、一番の効率化だと伝えます。

また、転職についても、将来のスキルになったそう。19回もの転職活動で得たものや、今までやってきたことを整理。そして、自分を簡潔に売り出すことで、ネガティブに捉えられやすい転職回数をカバーできると教えてくれました。

働きやすい環境づくりに障害者かどうかは関係ない。むしろ当事者だからこそ、提案できることがあるという、力強いメッセージを感じました。

記事制作:林 小夏(@littlesunmer100)
編集:浜田 みか(@Mika_Ham1977)

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ハッタツソン2020のプレイベント第2段としてみんなの座談会「日常を、みんなの視点で考えよう」を全3回開催!
詳細及び参加申込はこちら

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ハッタツソンは発達障害の当事者の方(いわゆるADHDやASD、LDなどの診断のある人やグレーゾーンの方)とそうでない方(いわゆる健常者や定型発達と呼ばれる方)がチームを組んで仕組みやサービスなど考え作っていく3日間のプログラムです。今年は「誰もが働きやすい社会をつくる」をテーマに12月5日〜7日に開催します!

詳細及び参加申込はこちら

プログラム参加枠(いわゆる健常者や定型発達と呼ばれる方)として参加される方

当事者枠(いわゆるADHDやASD、LDなどの診断のある人やグレーゾーンの方)として参加される方


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