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年内最後のオルタナティブ福祉を前に

12月16日の朝日新聞朝刊書評欄に、『母がゼロになるまで』の書評が掲載されていました。

書いてくださった方は、小澤英実さん。

わたしが母と関わったあの時間の中で感じたことや、それによって世間や社会に伝えたいことなどを大きく汲み取ってくださいました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

全編は朝日新聞DIGITALでお読みいただけます。




この本を読んだ後、「大変だったんだね、お疲れ様でした。」と感想をお寄せくださる方が時折いらっしゃいます。
感想は人それぞれなので構わないのですが、わたしは悲劇の物語を書いたつもりはありません。
この本に書かれていることは、世の中に溢れかえっている数えきれない問題の中のたったひとつです。
しかしそのたったひとつもひとつのケース。
このようなことに似た出来事がある日あなたに襲いかかって困ってしまった時に、この本を思い出して少し落ち着いて次の行動に移ることができたらという願いであったりですとか、困った家族を抱えているのは何もあなただけではないのですから、皆で話しをして、少しでも楽になりましょうよ、という呼びかけであったりですとか。
母とわたしの出来事が、本になったからおしまいなのではなく、本になったことにより始まりました。誰かが死んで、それで終わってしまうこともあります。しかし、死んで、その失う過程で得たものというのは、皆多かれ少なかれあると思うのです。
その、得たものを人々と共有する。それが、この『母がゼロになるまで』なのです。

わたしはまた、オルタナティブ福祉という座談会も、この思いを元に開催しています。
悩み事なんていうものは人の数だけ存在するものです。中でも特に家族の悩みなんていうものは、なかなか気軽に他者に話せることでなかったりします。

わたしはこれまで、お会いしたことのない方々から悩みのご相談をメールなどでいただきました。この、読者と著者という距離感はとても悩みを話しやすいことがとてもよくわかりますし、わたしが逆の立場でも同じようにメールを送っていただろうなと思います。
話しにくいことを話し合える関係にある方々は、皆わたしの事情を本で読んで知ってくださった方たちです。
「うちも同じで…」や、「うちの場合は…」など皆たくさんのことを打ち明けてくださいました。

オルタナティブ福祉でも同じく、会場で挙手して話してくださる方から、会が終了した後わたしとふたり、隅の方で悩みを打ち明け、話してくださる方、翌日メールで話してくださる方。
ご自身のタイミングで、無理のない方法で、しかし吐き出して、悩みを共有してくださることで、その場で解決せずとも、解決までの道筋が立てやすくなったり、話したことによりスッキリしたりと、大きな変化は無くとも、昨日より穏やかな気持ちになれることは、とても良いことだと思います。

そんなオルタナティブ福祉が、明日12月18日にございます。年内最後のオルタナティブ福祉。
今現在悩み事を抱えている方も、抱えていた方も、また、特に無いけれど今後に備えて…など事情は何も問いません。
話さなくても構いません。
12月18日19時から東京仙川タイニーカフェで、お待ちしております。

オルタナティブ福祉も、おかげさまで5回目の開催です。




最後に、前出の小澤英実さんによる、『母がゼロになるまで』書評の最後の5行を抜粋させてください。



「母を支えた著者にもまた、支えてくれる人がいた
ことが救いだ。そんな支援の輪を広げていく最初の一歩に、この本はなる。」

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