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人と共有しやすいExcelのコツ【データのカタチ①『構造のはなし』】

「前任者から引き継いだExcelファイルの内容がわかりづらい!!」

と感じた経験はないでしょうか。私はあります!何度も!

会社では複数人で1つのExcelファイルを共同利用する場面は多く、
「複数人で管理していくうちに、内容が複雑化してしまった」
「人によって使い方が違い、計算式の変更や直し方がわからない」
などなど、「Excelファイルを共有して使う」場面でお困りの経験をした方が多いのではないかと思います。

「作業を効率化するためのExcelだったはずが今や・・・」

人事情報や給与計算の管理は、今や専用のアプリケーションやシステムを導入している企業がほとんどかと思いますが、そのシステムに投入するデータはExcel管理、というケースは多いです。給与計算や人事情報は万国共通に見えて、企業ごとの特色は異なるので、導入したシステムの中だけで完結させることは難しいのが実情です。
また、Accessといったデータベース管理ツール使用を経て、”結局はExcelが融通利くよね”とExcel回帰するという話も昨今、耳にします。

でも、給与計算にはExcelファイルが不可欠。
ではどういったことを踏まえてExcelファイルを使用していけば、より人と共有しやすいExcelファイルになるのでしょうか。
今回は【わかりやすいExcelファイルの作り方】について、
【データのカタチ①『構造のはなし』】
【データのカタチ②『見た目のはなし】
【データのカタチ③『操作のコツ』】

の、3編に渡りお話をさせていただきます。

■Excelのデータのカタチ
【大きく4つのパートを意識する】

Excelが複雑化してしまうケースでは、データの多さやデータそのものの複雑度いかんに関わらず、「見えづらさ」「見えづらいことによる理解のしづらさ」が共通する問題解決のポイントとなります。

わかりづらいファイルでは「大元となるデータはどこなのか?」「計算式の結果がなぜこうなったのか?」と全体像の理解がしづらく、計算式を解読しないと正しく使用継続することが難しくなります。

そこで、データを4つのパートに分けて考え「見えづらさ」を解消することを意識しましょう。

①元のデータ

計算などで使用される元のデータです。式の中に値を組み込まないようにし、値があるセルや表の位置を分けるようにします。
(給与計算の例)「身上情報」「基本給与情報」「勤怠情報」など


②計算の経過

元のデータを使用してどのような計算を行っているのか、分けておくことで経過が分かりやすくなります。計算の経過は元のデータとは別のセルや表の位置に設けます。また、IF関数式を使用する場合など、計算式が複雑化する場合は、1つの式にまとめるのではなく、複数のセルに分けて、計算式の経過がわかるようにします。
(給与計算の例)必要な情報をかき集めている部分…各手当の控除等を計算、勤怠用の時間単価等の計算、各変動手当の計算、社会保険などの控除の計算、など
 ※段階的に式が複合している場合もあり

③計算の結果

ここでいう計算の結果とは、各計算式の結果というより、計算の経過を重ねた最終結果のことです。計算が複雑ではない場合は、計算の経過と分ける必要はありませんが、文書で言う「結論」の部分を意識して分けることで、Excelの内容や構造の目的が明確になります。
(給与計算の例)「各支給項目」「支給額合計」「各控除項目」「控除額合計」「差引支給額」

④報告用(ビュー)

第三者的立場に対して報告や結果のみを開示する必要がある場合には、報告用のビューを元のデータや計算経過、結果と分けるようにします。見せる必要があるデータのみをかき集めて見た目を整えます。データをかき集める際も、リンクやルックアップで自動的に計算結果や必要なデータを引用する仕組みにしておくことで、報告の都度のデータ作成の手間を軽減することができます。
(給与計算の例)「給与明細」や「賃金台帳」「源泉徴収票」など
 ※共通の元データから幾多の計算を経て、目的に合った見栄えや必要項目を引用していると言えます。


■データの向きを意識!

4つのパートに分けたデータは、小規模な表では
(←表の左側)           (表の右側→)
 「元のデータ」/「計算の経過」/「計算結果」
というように、それぞれが混在しないように配置するとわかりやすくなります。Excelは基本的に横書きですので左側に元データ、右に行くにつれて計算の経過、さらに右に計算結果、というように、時系列的に左から右に展開するような構成にします。
人間の目は左から右、上から下に認識していくので、
 △「左から右にいって再度左に戻る」
 △「左から右に行って上に進む」
 △「ヘッダとなるべき情報が右側にある」
など視覚的順序が守られていないと、内容を認識するために労力が必要となります。(人によっては全く認識できなくなることも)

▲この流れに加えて報告用ビューがあるイメージ

 大規模なファイルでは、これをシートごとに分けると効果的ですが、小規模な表と同じように表の中で領域を分けたうえで1つのシートに「元のデータ」「計算の経過」「計算の結果」とまとめても大丈夫です。ただし、「結果報告用のビュー」については必ず別のシートにする形が良いです。
 報告が必要な項目が何であるか、という認識整理にも役立つ構造ですし、報告の形式にバリエーションが必要な場合など、シートをコピーして複製してアレンジするなどの操作も行いやすくなります。

■1つの表の同じ列の中に異なる式を入れない
【式のタテとヨコを揃える】

 1つの表の中の1列の中で、「値のセル」「関数式のあるセル」が混在しないようにします。混在していると値の更新や式の修正が漏れ間違いの要因となります。「元のデータ」か「計算の経過」かどうかもわかりづらくなってしまいます。

もしも必要な場合は、指定値を設定するセルを分け、IF関数で採用値を選択する形式にしましょう。

また「絶対番地」を活用し、1列の中の関数式を統一することができれば、表のわかりやすさ、管理のしやすさはもちろん、格段にExcelのスキルは向上し、作業にかかる時間を減らすことができます。絶対番地はちょっとだけ重い腰を上げて取り組んでみて欲しい機能です。

<絶対番地>セル番地の固定したい行/列記号に「$」をつける
 ・列だけ絶対番地指定する
   $A1
 ・行だけ絶対番地指定する
   A$1
 ・範囲を絶対番地指定する
   $A$1:$B$15
 ・範囲の起点だけ絶対番地指定する
   $A$1:B15

他のセルにコピー&ペーストしたときに「$」がついている個所はずらさずに式を適用できます。

※詳しくは別の機会があれば解説させていただきますが、解説している記事も多いので一度お試しください。

【データのカタチ】を意識することで、Excelは人から見て格段にわかりやすくなります。

データのカタチをわかりやすくする【見た目の簡単なコツ】も抑えておきましょう。お次は【『データ見た目』のはなし】へ続きます。

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